12段階のコロナウイルス対策
ネロ皇帝は、ローマが燃える間バイオリンを弾いていたと言われています。
少なくとも彼はローマ人に対し、家事は大したことないなどとは伝えませんでした。
トランプ大統領は、株式市場に目を向け新型コロナウイルスを軽視したことで、貴重な2ヶ月間を無駄にしました。
政府が診断を打ち切ったため、今でもどれだけのアメリカ人が感染しているのかは分かっていません。
数日前の時点で、韓国では一人当たりの検査数が米国よりも700倍も多くなっています。
トランプの対応が遅れたことで人命が犠牲になるでしょう。
しかし、季節性インフルエンザより感染力が強く、何倍も致命的であることが明らかなこの感染症のパンデミックによって、病院が回らなくなるリスクを避けるために出来ることがまだあります。
米国疾病管理予防センターの元ディレクターであるトム・フリーデン博士は、起こり得る最悪のシナリオでは、このウイルスによって100万人以上のアメリカ人が死亡する可能性があると警告しています。
私は疫学者や公衆衛生の専門家に意見を伺い、まだ時間がある内に大統領やその他当局職員が取るべき12個の実践的な対策を以下にまとめました。
1.
感染者を特定するため、無料で大規模な検査実施に投資します。
ワシントン大学は、感染が疑われる人がクリニックにウイルスを持ち込むことなく検査が出来るように、ドライブスルーシステムを構築しました。
韓国も、同様の対策を取っています。
私たちには、すぐに結果が出る「迅速な検査」が至急必要です。
そしてまもなく、誰がウイルスに感染し、現状免疫を持っているのかを判断するための検査の必要性も急増します。
2.
州知事のジェイ・インスレーがワシントン州で行ったように、国のコミュニティ内での感染拡大が起きている地域では、大規模な集会は中止します。
雇用主は、可能な限り従業員が自宅で仕事をするよう奨励すべきです。
社会的距離を置いたとしても、最終的には3分の1以上のアメリカ人が感染する可能性があります。（ドイツのアンゲラ・メルケル首相は自国民に対し、最悪の場合、70％が感染すると警告しています。）
しかし、感染曲線をなだらかにすることで、感染症の増加速度が遅くなり、命を救うことができます。
1億人のアメリカ人が18週間かけて感染するよりも、18か月間かけて感染したほうがはるかに良いのです。
またこうすることで、科学者が治療法を検査し、ワクチンを開発し、暖かい気候で状況が緩和されるかどうかを確認する機会ができます。
韓国の事例により、積極的な対策を取ることが効果的であることが示されました。
3.
患者が家にいながら医療アドバイスを受けることができるように、遠隔医療を拡大します。
この目的は、患者が必要で無い限り病院や救急救命室へ行かなくなることです。
4.
中国の武漢やイラン、イタリア北部で起こったように、病院が混乱することに備える。
疫学的モデルでは、4月下旬までに何百万人ものアメリカ人が感染する可能性があることが示唆されており、別の疾患を患う人が混乱の中で医療を受けられず死亡する危険があります。
複数の疫学者は、米国では新型コロナウイルス感染症例が1億件に上ることは容易に想定でき、内5～10％は入院が、1％は人工呼吸器が必要となると指摘しています。
これはすなわち、Covid-19感染者だけでも100万人近くの人が人工呼吸器を必要とするということであり、症例全てが同時に発生する訳ではないとはいえ、米国ではわずか7万2千しか人工呼吸器はありません。
5.
コロナウイルス感染患者の急増に対処するため、医療従事者の休暇をキャンセルし、退職した医師や看護師を呼び戻し、心臓専門医や小児科医の再配置を行います。
この際、記録的な数の医師が感染し、働けなくなることを予測しておく必要があります。
また、軍医が救急救命室の支援を行えるよう、準備する必要があります。
6.
個人用保護用具の使用を奨励し、訪問者を制限することで、老人ホームや生活支援センター、ホームレスセンター、刑務所、透析治療センターの安全性を高めます。
7.
消防士や救急隊員などの大勢の緊急対応要員が病気になった場合に備えて計画を立てます。
この際、州兵の招集が選択肢となる可能性があります。
8.
できるだけ多くの人が医療を受けられるようにします。
すなわち、メディケイド（アメリカの医療扶助事業）を残りの州まで拡大し、全ての人がCovid-19の検査や治療を無料で（自己負担または控除を含む）受けられるメカニズムを確立します。
9.
議会は、全ての労働者に有給の病気休暇を義務づける法律（恥ずかしくも、過去16年間引き延ばし続けてきた）を速やかに可決する必要があります。
10.
病院で必要な個人用保護具の生産を大幅に強化します。
一部の病院ではすでにN95マスクが不足しており、アメリカの緊急備蓄用N95マスクはわずか1,200万個しかありません。
これは、エピデミックにおける国全体の約1日分の供給量にしかなりません。
11.
最も影響の大きい地域の公立学校では、生徒が自宅から授業に出席できるよう準備を行う。
研究者によると、1918年のスペイン風邪では、学校や公共集会を閉鎖した都市は、早期に閉鎖をおこなったことで、他の都市よりも良い結果となったことが判っています。
残念ながら、アメリカでは現状少なくとも600万人の学生が、自宅にインターネットを利用できない状況にあります。
ということは、学校がホットスポットやノートパソコンを、自宅にパソコンのない学生に与える必要があるかもしれません。
ファーストブックという非営利団体は、子供が自宅に居る間少なくとも本を読むことができるよう、600万冊の本を低所得の学校に送ることを計画しています。
12.
航空会社やクルーズラインを救済する代わりに、隔離中の人々を失業保険の対象にし、給付プログラムの労働要件を無効にします。
厳しい状況に置かれた家族が突然家賃を支払えなくなったり、住宅ローンの支払いに間に合わなくなり、ホームレスになることは避けねばなりません。
大統領はバイオリンを弾くことを止め、行動して下さい。
出典 2020年3月11日更新 The New York Times - Opinion『12 Steps to Tackle the Coronavirus』（2020年3月12日に利用）
https://www.nytimes.com/2020/03/11/opinion/coronavirus-united-states.html?action=click&module=Opinio...
少なくとも彼はローマ人に対し、家事は大したことないなどとは伝えませんでした。
トランプ大統領は、株式市場に目を向け新型コロナウイルスを軽視したことで、貴重な2ヶ月間を無駄にしました。
政府が診断を打ち切ったため、今でもどれだけのアメリカ人が感染しているのかは分かっていません。
数日前の時点で、韓国では一人当たりの検査数が米国よりも700倍も多くなっています。
トランプの対応が遅れたことで人命が犠牲になるでしょう。
しかし、季節性インフルエンザより感染力が強く、何倍も致命的であることが明らかなこの感染症のパンデミックによって、病院が回らなくなるリスクを避けるために出来ることがまだあります。
米国疾病管理予防センターの元ディレクターであるトム・フリーデン博士は、起こり得る最悪のシナリオでは、このウイルスによって100万人以上のアメリカ人が死亡する可能性があると警告しています。
私は疫学者や公衆衛生の専門家に意見を伺い、まだ時間がある内に大統領やその他当局職員が取るべき12個の実践的な対策を以下にまとめました。
1.
感染者を特定するため、無料で大規模な検査実施に投資します。
ワシントン大学は、感染が疑われる人がクリニックにウイルスを持ち込むことなく検査が出来るように、ドライブスルーシステムを構築しました。
韓国も、同様の対策を取っています。
私たちには、すぐに結果が出る「迅速な検査」が至急必要です。
そしてまもなく、誰がウイルスに感染し、現状免疫を持っているのかを判断するための検査の必要性も急増します。
2.
州知事のジェイ・インスレーがワシントン州で行ったように、国のコミュニティ内での感染拡大が起きている地域では、大規模な集会は中止します。
雇用主は、可能な限り従業員が自宅で仕事をするよう奨励すべきです。
社会的距離を置いたとしても、最終的には3分の1以上のアメリカ人が感染する可能性があります。（ドイツのアンゲラ・メルケル首相は自国民に対し、最悪の場合、70％が感染すると警告しています。）
しかし、感染曲線をなだらかにすることで、感染症の増加速度が遅くなり、命を救うことができます。
1億人のアメリカ人が18週間かけて感染するよりも、18か月間かけて感染したほうがはるかに良いのです。
またこうすることで、科学者が治療法を検査し、ワクチンを開発し、暖かい気候で状況が緩和されるかどうかを確認する機会ができます。
韓国の事例により、積極的な対策を取ることが効果的であることが示されました。
3.
患者が家にいながら医療アドバイスを受けることができるように、遠隔医療を拡大します。
この目的は、患者が必要で無い限り病院や救急救命室へ行かなくなることです。
4.
中国の武漢やイラン、イタリア北部で起こったように、病院が混乱することに備える。
疫学的モデルでは、4月下旬までに何百万人ものアメリカ人が感染する可能性があることが示唆されており、別の疾患を患う人が混乱の中で医療を受けられず死亡する危険があります。
複数の疫学者は、米国では新型コロナウイルス感染症例が1億件に上ることは容易に想定でき、内5～10％は入院が、1％は人工呼吸器が必要となると指摘しています。
これはすなわち、Covid-19感染者だけでも100万人近くの人が人工呼吸器を必要とするということであり、症例全てが同時に発生する訳ではないとはいえ、米国ではわずか7万2千しか人工呼吸器はありません。
5.
コロナウイルス感染患者の急増に対処するため、医療従事者の休暇をキャンセルし、退職した医師や看護師を呼び戻し、心臓専門医や小児科医の再配置を行います。
この際、記録的な数の医師が感染し、働けなくなることを予測しておく必要があります。
また、軍医が救急救命室の支援を行えるよう、準備する必要があります。
6.
個人用保護用具の使用を奨励し、訪問者を制限することで、老人ホームや生活支援センター、ホームレスセンター、刑務所、透析治療センターの安全性を高めます。
7.
消防士や救急隊員などの大勢の緊急対応要員が病気になった場合に備えて計画を立てます。
この際、州兵の招集が選択肢となる可能性があります。
8.
できるだけ多くの人が医療を受けられるようにします。
すなわち、メディケイド（アメリカの医療扶助事業）を残りの州まで拡大し、全ての人がCovid-19の検査や治療を無料で（自己負担または控除を含む）受けられるメカニズムを確立します。
9.
議会は、全ての労働者に有給の病気休暇を義務づける法律（恥ずかしくも、過去16年間引き延ばし続けてきた）を速やかに可決する必要があります。
10.
病院で必要な個人用保護具の生産を大幅に強化します。
一部の病院ではすでにN95マスクが不足しており、アメリカの緊急備蓄用N95マスクはわずか1,200万個しかありません。
これは、エピデミックにおける国全体の約1日分の供給量にしかなりません。
11.
最も影響の大きい地域の公立学校では、生徒が自宅から授業に出席できるよう準備を行う。
研究者によると、1918年のスペイン風邪では、学校や公共集会を閉鎖した都市は、早期に閉鎖をおこなったことで、他の都市よりも良い結果となったことが判っています。
残念ながら、アメリカでは現状少なくとも600万人の学生が、自宅にインターネットを利用できない状況にあります。
ということは、学校がホットスポットやノートパソコンを、自宅にパソコンのない学生に与える必要があるかもしれません。
ファーストブックという非営利団体は、子供が自宅に居る間少なくとも本を読むことができるよう、600万冊の本を低所得の学校に送ることを計画しています。
12.
航空会社やクルーズラインを救済する代わりに、隔離中の人々を失業保険の対象にし、給付プログラムの労働要件を無効にします。
厳しい状況に置かれた家族が突然家賃を支払えなくなったり、住宅ローンの支払いに間に合わなくなり、ホームレスになることは避けねばなりません。
大統領はバイオリンを弾くことを止め、行動して下さい。
出典 2020年3月11日更新 The New York Times - Opinion『12 Steps to Tackle the Coronavirus』（2020年3月12日に利用）
https://www.nytimes.com/2020/03/11/opinion/coronavirus-united-states.html?action=click&module=Opinio...