1型糖尿病でのダパグリフロジンの使用を探る予備研究
新しい2型糖尿病治療薬ダパグリフロジン(フォシーガ、アストラゼネカ/ブリストル・マイヤーズスクイブ社)は、1型糖尿病の追加治療として潜在的な可能性があると予備研究では示唆されています。
1型糖尿病の患者62人へのプラセボ対照、用量測距研究について、企業主催による無作為化二重盲検での2週間の調査結果が、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のロバートR.ヘンリー博士らにより、Diabetes Careのオンラインに掲載されました。
ダパグリフロジンはナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)の経口阻害剤ですが、これは、インスリンからは独立して腎臓のグルコース再吸収を阻害することにより、血糖を低下させます。
これは、単剤療法として、またはインスリンを含む他の血糖降下薬と組み合わせて使用するため、食事や運動の補助として2型糖尿病患者での使用のために2014年1月に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されました。
1型糖尿病では、「インスリンは100%必要とされますが、血糖値は上がり下がりが激しいためインスリン単独で制御することは非常に困難です。
ダパグリフロジンは、グルコースの変動を低減するのに役だつことがあり、1型糖尿病の肥満の方への体重減少に一役買うことがあります。」
と、UCSD医療センター医学部の教授であり、研究の共著者であるスティーブン・エデルマン博士はMedNewsへ語りました。
【主な目的:安全性および忍容性】
最初に70名の1型糖尿病患者が研究に登録されました。平均年齢は35歳、ベースラインでのHbA1c値は8.5%でした。
全ての被験者は、毎日複数回の注射、もしくは注入ポンプを使用し、インスリンを摂取していました。
彼らには、無作為に毎日1.0mg、2.5mg、5mg、または10mgのダパグリフロジン、または、プラセボが投与されました。
研究開始2週間以内に合計8名の被検者は、重度の低血糖、および胃不全麻痺などにより研究が中止されました。
低血糖症は、プラセボ摂取者を含む全てのグループに共通してダパグリフロジンの投与量に明確に関係がありました。
2週間の試験期間中、低血糖発生数は、10 mgの用量のダパグリフロジン群での23件から、1.0 mgの用量群の76件まで、そのほとんどが重度ではありませんでした。
泌尿生殖器感染症は、プラセボとダパグリフロジン1.0mg、2.5mg、および5 mgのグループでそれぞれ1人発生しました。性器と尿路感染症は、薬物のSGLT2阻害剤クラスでの副作用として知られており、2型糖尿病患者で見られています。
「そこの懸念はありますが、1型糖尿病での上昇で最も可能性の高いのはグルコース値の上昇です。すべての薬にはその副作用があり、これが主なものです。」とエデルマン博士はMedscape医療ニュースに語りました。
水分摂取量、体重、または血圧に対するダパグリフロジンの明らかな効果は認められませんでした。
尿中ケトン体検査の結果は、プラセボを含むすべてのグループにベースライン時で見られますが、試験中に、プラセボと1.0mgおよび2.5 mgのダパグリフロジン群で減少しました。被験者はいずれも、糖尿病性ケトアシドーシスは経験していません。
ケトンの理由は明らかではありませんが、研究に先立つインスリン投与量の過度の低下に関連している可能性があるとエデルマン博士は推測しています。
プラセボと有意差はありませんでしたが、7日目に空腹時血漿グルコース、毎日の平均グルコース、および血糖エクスカーションの平均振幅が、ベースラインから下がり、それらは、低用量の摂取と比較して5mg、10 mgのダパグリフロジンの摂取者で大きくなりました。
また、ダパグリフロジン5mgと10 mgの用量は毎日の総インスリン投与量で7日目での有意な減少(それぞれ19.3%と16.2%、対プラセボ群1.7%増)と関連していました。
エデルマン博士はこの分野でのより大きな研究が必要とすることに多くの人が関心を持っていると、本誌に語りました。
(記事元)http://www.medscape.com/viewarticle/832951