1型糖尿病試験においてエンパグリフロジンは良好な結果
第3相EASEプログラムの結果では、1型糖尿病患者におけるインスリンの補助薬としてのエンパグリフロジンによる治療は、低血糖を増加させることなく血糖コントロールを改善することが示されました。
この調査結果はEASD(欧州糖尿病学会)の年次総会で発表され、医学雑誌、『Diabetes
Care』のオンライン版に掲載されました。
ナトリウム - グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤であるエンパグリフロジン(ジャディアンス)は、2型糖尿病(T2DM)の成人において、血糖管理を改善するための食事および運動の補助薬として、また、T2DMで心血管(CV)疾患の合併症がある成人においての心血管(CV)死亡リスクを減らすために現在承認されています。
第3相EASEプログラムには、1型糖尿病の成人におけるインスリン療法の補助としてのエンパグリフロジンの有効性と安全性を調査する2つの二重盲検プラセボ対照試験が含まれていました。
EASE-2(N = 720)では、エンパグリフロジン10mgと25mgの投与量をプラセボとの比較にて評価しましたが、EASE-3(N = 960)では、2.5mg、10mgと25mgの投与量でプラセボと比較しました。
EASE-2からの結果は、10週目および25
mg投与量に対するHbA 1Cのベースラインからのプラセボ補正平均変化が、26週目でそれぞれ、-0.54%と-0.53%であることが示されました。
そして、EASE-3の結果は、26週目のHbA1Cのプラセボ補正平均ベースライン変化は、エンパグリフロジン2.5mg、10mgおよび25mgでそれぞれ、-0.28%、-0.45%、-0.52%でした。
さらに、エンパグリフロジンによる治療は、平均体重の減少、時間範囲内でのグルコースの増加、1日の総インスリン投与量の減少、および収縮期血圧の減少と関連していました。
安全性に関しては、重度の低血糖はまれであり、その頻度はエンパグリフロジンとプラセボの間でほぼ同様でした。
さらに、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と判定された症例数は、エンパグリフロジン10mg(4.3%)と25mg(3.3%)ではより高かったものの、DKA発生率は、エンパグリフロジン2.5mg(0.8%)とプラセボ(1.2%)とほぼ同じ頻度でした。
「1型糖尿病患者の糖尿病性ケトアシドーシスの危険性を考えると、エンパグリフロジンの2.5mgの投与量というのは、DKAまたは他の重篤な有害事象の危険性を増加させることなく、患者の血糖および代謝の改善のバランスが取れているようです。」とトロント大学医学部の教授で、カナダのトロントにあるマウントシナイ病院内のルーネンフェルト-タネンバウム研究所の科学者であるバーナード・ジンマン医師は述べています。
プレスリリースで、ベーリンガーインゲルハイムは、EASEプログラムの結果に基づいて規制当局による議論が始まったと述べました。
「米国で1型糖尿病を患っている成人で、血糖値の目標をインスリンのみで常に満たしているのは、3分の1未満であることを考えると、私たちは、この潜在的治療薬が1型糖尿病患者に利用できるかどうかを探究するために、米国食品医薬品局と協力できると期待しています。」
と、ベーリンガーインゲルハイムファーマシューティカルズ社の医学・規制問題の担当で上席副社長であるトーマス・セック医師は述べています。
【以下のウェブサイトより引用】