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JapanRx / 1日1回のルリコナゾール外用薬による表在性真菌症治療に対する批判的評価

1日1回のルリコナゾール外用薬による表在性真菌症治療に対する批判的評価

ルリコナゾールは新しいイミダゾール系薬剤であり、皮膚糸状菌およびカンジダに対するイン・ビトロ(試験管内)での有効性を実証しています。 第III相試験では、ルリコナゾール1%配合のクリームを1日1回2週間投与した結果、臨床的兆候および症状の改善に成功し、足白癬を引き起こす真菌を根絶することを示しました。また、ルリコナゾール1%配合クリーム投与開始後1週間で、体部白癬と股部白癬に対し、臨床的および菌学的に良好な結果が得られました。臨床試験期間中に確認された副作用としては、主に薬剤適用後の局所反応がありました。既存の治療法に対する耐性が高まりつつあるため、新しい抗真菌剤の開発は適時行われます。ルリコナゾールによる治療は短期間で完了するため、患者の治療中断による疾患再発の軽減に役立つ可能性があります。

結論
ルリコナゾールは幅広く使用可能な新しいイミダゾール系抗真菌薬です。その抗真菌力は、イン・ビトロでの試験において既存の医薬品を上回ることも示されています。第III相試験の溶媒対照研究の結果から、ルリコナゾール1%配合クリームは根底にある真菌感染を根絶することに加え、足部白癬および股部白癬の兆候や症状を、溶媒と比較してはるかに迅速かつ効果的に改善することが示されました。足部白癬に対するルリコナゾール1%配合薬とビホナゾール1%配合薬の有効性を比較した際は、全体の治癒率や症状の解消率、それぞれの薬剤間における菌学的なマイナス反応における有意差は認められませんでしたが、足部白癬に対するルリコナゾールを使用した2週間の短期治療は、ビホナゾールを4週間使用した治療効果と同等であることが実証されました。

ルリコナゾール1%配合クリームとその他外用薬の中からセルタコナゾールクリームを選択して比較した2つの研究では、両研究共に、ルリコナゾールよりも、セルタコナゾールでの治療を行った被験者において、臨床的兆候や症状の解消率が高い結果となりました。しかしこれらの結果は、研究計画上の欠陥や研究実施に関する不明瞭さ、報告の曖昧さがあることから、疑問の余地があります。よってルリコナゾールとセルタコナゾールの比較有効性および安全性は依然として不明であり、より新しい抗真菌薬を用い、適切に計画された1対1での研究を行うことで、これらの薬剤の白癬感染症の治療における相対的有効性を確立することができると考えられます。

ルリコナゾールの有効性やその他抗真菌薬との比較有効性に関する情報は限られていますが、本研究結果を要約すると、ルリコナゾール1%配合クリームは、既存の抗真菌薬と同様の副作用を有するものの、表在性真菌症治療において有効であることが実証されたと言えるでしょう。長期の治療は患者にとって困難であるため、ルリコナゾールによる短期治療(足部白癬には2週間、股部白癬および体部白癬には1週間)は利点となります。ルリコナゾール1%配合クリームは現状、紅色白癬菌および鼠径表皮菌による足部白癬、股部白癬、体部白癬治療を目的とした1日1回の使用が認められています。更に、最小発育阻止濃度データによると、ルリコナゾールはカンジダ症の治療にも有効であることが示されています。従来のイミダゾールによる真菌感染症治療にルリコナゾールが加わることで、外用薬の普及による抗真菌薬耐性の増加を緩和し、患者の治療中断による疾患の再発防止に役立つ可能性があります。

PMC Journals, 2016年1月18日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4723097/