2型糖尿病、肥満の減量手術は死亡リスクを低下させる可能性
新しい研究では、肥満の人の減量手術に関連する健康上の重要な利点が発見されています。
2013年〜2014年のデータによると、米国では成人の3人に1人以上が過体重であるか肥満体であるとされています。
2型糖尿病、高血圧、心臓病、および脳卒中は、肥満に関連する合併症のひとつにすぎません。
今年、フランスのパリで開催された欧州心臓病学会において発表された新しい研究は、肥満手術または体重減少を目的とした手術が、標準的な治療よりも早死や心臓血管の問題のリスクを軽減できることを示しています。
オハイオ州クリーブランドクリニックの心臓血管研究室の最高学術責任者であるスティーブン・ニッセン博士は、この研究の主著者であり米国医師会誌にも掲載されています。
心血管疾患のリスクが40%低下
ニッセン博士と博士のチームは13,722人の研究参加者からのデータを調べました。
そのうち2,287人は肥満と2型糖尿病があり減量手術を受けていました。
研究者らは、このグループのデータを、標準的な治療のみを受け同様に治療された11,435人での情報と比較しました。
減量手術を受けた2,287人の参加者のうち、75%がボディマス指数(BMI)が40以上でした。これは「極度の肥満」であることを意味します。
この参加者グループの最小BMIは30で、この値は肥満の下限しきい値です。
手術を受けたことのある参加者はそれぞれ下記の4種類の減量、または代謝手術のいずれかを受けていました。
- 胃バイパス術
- スリーブ胃切除術
- 調節可能な胃緊縛術
- 十二指腸スイッチ術
研究者が調査したのは、死亡、冠動脈疾患、脳血管疾患、心不全、心房細動、腎疾患でした。これらは、肥満と2型糖尿病での主な合併症です。
この研究により、減量手術を受けた人は、8年間の追跡期間でこれらの疾患のリスクが40%低いことが明らかになりました。
具体的には、死亡リスクは41%も低かったのです。
さらに、代謝手術を受けた人の体重は平均15%減少し、血糖値は15%低下しました。
クリーブランドクリニックの肥満外科医であり、この論文の第一著者であるアリ・アミニアン博士は、この発見について次のようにコメントしています。
「代謝手術後に見た印象的な結果は、患者の実質的かつ持続的な体重減少に関連している可能性があります。」
「しかし、これらの外科的処置の後に、体重減少とは無関係の有益な代謝、およびホルモンの変化があることを示す証拠が増えています。」
「肥満と糖尿病による心血管合併症は壊滅的な結果となります。」とニッセン博士は付け加えました。
「こういった注目に値する結果が見られたため、2型糖尿病と肥満の患者の主要な心臓の問題の発生を代謝手術で減らすことができるかどうかを明確に判断するため、適切なランダム化比較試験が必要となります。」
とニッセン博士は言います。
著者は、研究にいくつかの制限があったことを認めています。研究者たちは次のように記しています。
第一に、その観察的研究という性質のため、因果関係を証明できません。
第二に、研究者らが情報を収集したデータベースであるクリーブランドクリニックの電子健康記録の誤診により結果に偏りがある可能性があります。
第三に、フォローアップ中の糖尿病と心血管薬の状態を評価するために、この研究では、薬の処方せんを評価しましたが、これは必ずしも実際の薬物使用と同じではありません。
著者らはさらに、異なるタイプの減量手術の結果を比較しませんでした。そして、対照群の参加者の中で有意に心血管に利益のある薬物を服用していたのは10%未満でした。
しかし、研究者が実施した分析には鋭感性があり、それは調査結果が強固なもであると著者らは自信を持っています。
【以下のウェブサイトより引用】
Type 2 diabetes, obesity: Weight loss surgery may lower death risk
MEDICAL NEWS TODAY