ADHDと高齢者ドライバーの自動車事故との強い関連性
日付:2023 年10 月4 日
情報ソース:コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院
概要:注意欠陥・多動性障害(ADHD)の有病率と、高齢者ドライバーにおける衝突リスクとの関連性に関する研究で、研究者らは、ADHDの高齢者ドライバーは、ADHDがないドライバーと比較して、衝突リスクが大幅に高いことを発見しました。
事例としては急ブレーキによる事故、自己申告による交通違反切符、車両衝突事故などです。
これまで、ADHD と運転の安全性に関する研究は主に子供と若者に限定されており、高齢者における ADHDと衝突リスクの関連性を評価した研究はほとんどありませんでした。
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注意欠陥・多動性障害(ADHD)の有病率と高齢者ドライバーにおける衝突リスクとの関連性に関する研究で、コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院の研究者らは、ADHD のないドライバーと比較してADHDのある高齢者ドライバーは衝突リスクが著しく高いことを発見しました。
事例としては急ブレーキによる事故、自己申告による交通違反切符、車両衝突事故などです。
これまで、ADHD と運転の安全性に関する研究は主に子供と若者に限定されており、高齢者における ADHDと衝突リスクの関連性を評価した研究はほとんどありませんでした。
この報告はオンラインメディアのJAMA Network Open で公開されます。
ADHDのある高齢のドライバーは、そうでないドライバーに比べて、交通違反切符は、走行100万マイル(約160万km )あたり22件対10件、車両事故は走行100万マイル(約160万km )あたり27件対13.5件と、こういった事故に巻き込まれたと報告する可能性が2倍以上高いことがわかりました。
「私たちの調査結果は、安全な移動、そして、健康的な老化を促進するために、高齢者のADHDの診断と臨床管理を改善するための効果的な介入が必要であることを示しています。」
ADHD は、不注意、衝動性、多動性などの症状を伴う慢性の神経発達障害です。
ADHD は一般に小児期の障害であると考えられていますが、成人期まで持続し、高齢者の日常生活での行動へ影響を与える可能性があります。
米国では、ADHDの有病率は17 歳未満の子供で9% ~13%、18歳~44 歳の成人で8% であると報告されています。
報告されている成人のADHDの有病率は、診断の改善により近年増加しています。
一般に、ADHD の有病率は年齢が上がるにつれて減少します。
研究参加者は、2015年から2017年にかけての高齢ドライバーに関する長期調査である「LongROADプロジェクト」に登録された65歳から79歳の現役ドライバーで、車載データ記録装置と年次評価を通じて最長44カ月間追跡調査が行われました。
データ分析は2022年7月から2023年8月の間に実施されました。
調査された2,832人のドライバーのうち、2.6%のあたる75人にはADHDがありました。
不安症またはうつ病のある高齢者における ADHD の有病率は 7.2% でした。
人口統計上の特徴と併存疾患を調整すると、ADHD は急ブレーキをかけてしまうリスクが 7% 増加し、自己申告による交通違反で切符を切られるリスクが 102% 増加、そして、自己申告による車両衝突のリスクが 74% 増加しました。
研究者らは、米国においての下記の5 つの拠点にあるプライマリケア診療所と住宅コミュニティからの2015年7月から2019年3月までのデータを収集しました。
ミシガン州アナーバー
メリーランド州ボルチモア
ニューヨーク州クーパーズタウン
コロラド州デンバー
カリフォルニア州サンディエゴ
参加者はLongROADプロジェクトに登録した65歳から79歳までの現役ドライバーで、車載データ記録装置と年次評価を通じて追跡調査を受けました。
「私たちの研究は、健康で安全に年をとることに関する研究に対して、顕著な貢献をふたつ行っています。」
とコロンビア大学メールマン公衆衛生大学院の疫学教授で主任著者のグオホア・リー医学博士は述べました。
「この研究は、高齢者のADHDに関する疫学データのギャップを埋め、ADHDのある高齢者ドライバーはADHDのないドライバーよりも衝突リスクがはるかに高いという説得力のある証拠を提供しています。」
リー博士と同僚は、高齢者ドライバーの安全な移動手段でのニーズを理解し、それに応えるために、2014 年にLongROAD プロジェクトを立ち上げました。
米国老年医学会誌に掲載されたリー博士と同僚による 2016 年の研究では、高齢者が運転をやめると健康状態が悪化することが示されました。
今年初めに研究チームは、Artificial Intelligence in Medicine誌に掲載された研究において、車載記録装置で捕捉された運転データが、軽度認知障害や認知症を予測するための有効かつ信頼性の高いデジタルマーカーであることを報告しましたた。
「米国には 4,800 万人の高齢ドライバーがいます。高齢化が進む中、この数は 2030 年には6,300 万人に達すると予想されています。
画期的な LongROAD プロジェクトからのデータにより、高齢化の過程における安全運転という点での医学的、行動的、環境的、技術的な要因の役割について調べることが可能になります。」
と、リー博士は述べました。
博士はコロンビア・バゲロス内科医・外科医大学麻酔科の教授であり、コロンビア傷害科学予防センターの創業取締役でもあります。
【以下のリンクより引用】
Strong link between ADHD and car crashes in older adult drivers
Sciencedaily