CDK阻害剤は再発乳がんの免疫療法で有効性を改善する可能性
オハイオ州立大学総合がんセンターの研究者が主導した新しい研究によると、ホルモン療法と併用した場合に、乳がんの進行を阻害するクラスの薬剤は、再発性の転移性乳がんの場合の免疫療法の有効性を高める可能性もあります。
Cell Reports誌に掲載された動物実験の結果は、CDK4およびCDK6(CDK4 / 6)阻害剤と呼ばれる薬剤が、転移性のエストロゲン受容体陽性(ER +)乳がんに対する免疫療法の有効性を改善する可能性があることを示唆しています。
「CDK4/6阻害剤は、新たに診断された乳がんの進行を効果的に遅らせることはわかっていますが、がん細胞を死滅させることはありません。」
と、OSUCCC(ジェームズトランスレーショナルセラピューティクスプログラム)のメンバーであり、オハイオ州立医科大学の助教授である、主任研究員のアンナ・ビルゲルム医学博士は述べました。
「その結果、病気はよく再発し、そして、病気の再発のための効果的な治療法がないので、それは通常は致命的となります。」
「私たちの発見は、CDK4/6阻害剤を免疫療法と組み合わせることで、再発性の転移性ER +乳がんの効果的な治療法が提供される可能性があることを示唆しています。」
とビルゲルム博士は述べています。
具体的に、この研究は、CDK4/6阻害剤が、乳がんの動物モデルにおける養子T細胞移植やT細胞活性化抗体などのT細胞ベースの治療法の有効性を改善できることを示しています。
免疫療法は、さまざまながんの効果的な治療法であることが証明されていますが、進行性乳がんに対しての治療法ではありません。
問題の一つには、乳房腫瘍の腫瘍内に癌を殺すTリンパ球の数が少ないことが多いということです。
こういった腫瘍は、免疫療法への反応が悪い傾向があります。
「さらに、腫瘍浸潤リンパ球の数が少ない乳がん患者は、腫瘍に浸潤リンパ球の数が多い患者と比較して、生存率が低い傾向があります。」
とビルゲルム博士は述べています。
新しい研究では、CDK4/6阻害剤が乳房腫瘍にケモカインと呼ばれる小さなタンパク質を分泌させてT細胞を引き付けることを示しています。これは、癌免疫療法に対する患者の反応を改善するのに役立ちます。
この研究において、ビルゲルム博士と彼女の同僚は経口のCDK阻害剤パルボシクリブとマウスモデル、乳がん細胞株、および、がんゲノムアトラス(TCGA)の分析を使用して、腫瘍免疫微小環境におけるCDK4/6阻害剤とケモカイン産生の影響、そして患者の転帰について研究しました。
主な調査結果は次の通りです。
- DK4/6阻害剤による前処理は、腫瘍へのT細胞の導入を改善し、動物モデルにおける養子細胞免疫療法の結果を改善します。
- DK4/6阻害剤で治療されたヒト乳がん細胞は、T細胞動員ケモカインを産生します。
- CGA分析は、ケモカインの発現が乳がん患者の好ましい予後をもたらす因子であることを示しました。
- DK4/6阻害剤によるケモカイン誘導にはmTOR調節代謝活性が必要です。
- 細胞動員ケモカインは、免疫療法治療のために患者を層別化するための有用な予後マーカーである可能性があります。
「全体として、私たちの調査結果は、DK4/6阻害剤がT細胞を乳がん腫瘍に引き付けることができる治療方法を提供し、免疫療法に対する感受性を高める可能性があることを示唆しています。」
とビルゲルム博士は述べています。
【以下のリンクより引用
CDK inhibitors may improve immune therapy effectiveness for recurrent breast cancer
Medical Xpress