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JapanRx / COPD患者においてメトホルミンの成果が向上

COPD患者においてメトホルミンの成果が向上

血糖を制御するために、インスリンではなく、メトホルミンを使用した場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有していた糖尿病患者は、肺関連の入院のリスクが低かったと、研究者らは報告しました。

ベースライン変数について調整した後、メトホルミンを服用していCOPD患者の入院率は、インシュリン治療を受けていた患者と比べて、全ての原因による入院の中で著しく低い比率だったと、ガルベストンにあるテキサス大学メディカル支部のラジュビシュワカルマ博士は、MedPage Todayに語りました。

米国胸部専門医学会の年次総会、CHEST 2016での彼のプレゼンテーションでは、ビシュワカルマ博士らは2008年から2010年にCOPDおよび糖尿病の診断を持つ、5,614人のメディケア受給者の記録を調査しました。

研究者は2008年から2010年の間に、メトホルミン、スルホニル尿素、インスリン、およびその他の抗糖尿病薬の服用を開始した人を対象としました。
患者の状態は、2年間追跡調査されました。

追跡調査中に、別の抗糖尿病薬に切り替えた人、または、複数の薬剤を使用した人は除外しました。

「我々の研究は、追跡期間の2年の間に、インスリン上のものと比較して、メトホルミンの治療を受けた慢性閉塞性肺疾患および糖尿病を併発している患者はすべての原因に対して、特にCOPDに関連した原因のために病院しにくいことを示しました。」
「我々は、メトホルミンが、COPD患者に有利な影響を与える可能性があるという興味深い信号を観察しています。」とビシュワカルマ博士は述べました。

彼は、研究者たちは、メトホルミンがCOPDおよび糖尿病の両方の重症度に基づいて、COPDにどのように影響するかを引き出すために、それらのデータをドリルダウンする予定だと述べました。

メトホルミンは、3,110人の患者で使用されており、スルホニル尿素は、1,133人の患者で使用されていました。
インスリンは936人の患者に処方され、435人の患者が他の薬剤を使用していました。
経口血糖降下薬と比較して、インスリン群での患者は、より病弱で、酸素に頼る可能性が高く、前年よりも重症で入院率がより多く、また、心血管合併症、サルコペニア、骨粗しょう症が多く、血液透析を受ける割合も多くありました。研究ではこれらの要因、および他の統計分析をも考慮しました。

ビシュワカルマ博士は、スルホニル尿素を服用した患者はまた、インスリン治療、研究における参照薬剤と比較して、全ての原因による入院ではなく、COPD関連入院の比率が少なかったと述べました。

他の抗糖尿病薬での患者は、同様の結果となり、COPD関連入院での入院ではなく、全ての原因による入院率をさげました。

抗糖尿病薬の使用と結果との間の関連付けは、患者の年齢、性別、人種/民族、二重資格、事前入院、酸素の使用、胃食道逆流症疾患、肺癌、鬱病、虚血性心疾患、脳血管疾患、不整脈、心不全、筋肉減少症、骨粗しょう症などの心血管疾患、およびCOPDの薬の使用などが調整された後、調査されました。

研究者らは、メトホルミン単独で治療、または他の糖尿病薬単独、またはインスリン単独で治療した患者のみを含みました。
患者が試験期間中に一つでも別の薬剤が処方された場合は、分析に含みませんでした。

「我々は、糖尿病とCOPDを併発していた患者は、メトホルミンの使用により利益を得ることができると信じています。」とビシュワカルマ博士は述べています。

アトランタにあるエモリー大学のデビッド・シュルマン博士は、「メトホルミンは、抗炎症特性を有することを示唆しているいくつかのデータがありますが、メトホルミンが血糖コントロールを改善するだけでなく、私たちがまだかじりかけであるけれども他の利点がある可能性があるといった、いくつかの研究の増加が見られます。」と、MedPageTodayに語りました。

「私がこの研究で観察した応答はそれほど堅牢になるとは思いませんが、メトホルミンに新たに発見された抗炎症作用に起因するいくつかの応答があった場合も、私は驚かないでしょう。」と彼は述べました。

またこの研究について、ニューハンプシャー州クレアモント、バレー地域病院のドナルド・マーラー博士は、「COPDは、全身性または全身に影響をあたえる気道の炎症性疾患です。メトホルミンは、ちょうど、赤ワインを飲んだり、ブルーベリーを食べることが利益になるように、抗炎症剤等の抗酸化剤として有益であると考えられています。これは、例えば、メトホルミンを服用する人々は、インスリンを摂取する人々よりもよいのかどうかはわからない、疫学的研究です。研究者は交絡因子のいくつかを排除しようとしました。」と、マーラー博士は述べました。

(記事元)http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CHEST/60994