COPD患者にとってインフルエンザの予防接種は重要
(HealthDay News) - 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患している場合、インフルエンザの予防接種は命を救います。
しかし、この肺疾患を持つ何百万という人の多くが予防接種を受けられていないと研究者らは報告しています。
COPDは肺に炎症を引き起こしますがインフルエンザによってそれが引き起こされると症状が再燃し、感染を悪化させると主任研究員のスニタ・マルプル博士は説明しています。
彼女はカナダのオタワ病院の準科学者です。
インフルエンザが悪いというだけでなく、肺炎などの他の合併症もさらに悪化する可能性がある、と彼女は付け加えました。
「10人に1人が亡くなり、5人に1人が集中治療室への入院を必要とする重症疾患を発症しています。」とマルプル博士は述べました。
しかし、インフルエンザの予防接種を受けたことで、インフルエンザに関連した病気で入院する確率が38%低下することを彼女の研究チームは発見しています。
「その発見にもかかわらず、この研究で、予防接種を受けたのは患者の66%だけです。」とマルプル博士は述べました。
さらに、インフルエンザの重症化を防ぐことができる抗ウイルス薬のタミフルとリレンザが使用されているのは、調査時には69%にすぎませんでした。
また、これらの薬は病院では発症初期には投与さませんでしたが、発症初期の投与が最も効果的になる可能性があると彼女は述べました。
これらの薬は、患者が集中治療室に入院した際に最も頻繁に投与されていました。
American Lung Association(アメリカ肺疾患協会)のスポークスウーマンでミシガン大学アナーバー校の内科の教授であるメイラン・ハン博士は、COPDの患者はもっと予防接種を受ける必要があると述べました。
「そこにはたくさんの誤解があります」とハン博士は言います。
「私は、“今までインフルエンザにかかったことがないので、感染することはないと思います。”といった声をよく耳にしますが、これはちょっとした虚偽です。」
多くの人々は、インフルエンザが悪性の風邪よりもはるかに深刻で命を脅かす可能性があるとは理解していないと彼女は述べました。
「良くても、一週間か二週間は地獄を見るでしょう。」とハン博士。
患者の中にはワクチンからインフルエンザにかかってしまう可能性を恐れている人もいますが、それは単にそうではないと彼女は付け加えました。
今年のインフルエンザシーズンにはどれほどの流行があるのかについて述べるのは時期尚早ですが、米国疾病管理予防センターによると、昨シーズンは約100万人のアメリカ人が病院に搬送され、8万人が亡くなりました。
研究のために、マルプル博士らは急性呼吸器疾患で入院した約4,200人のCOPD患者に関するデータを収集しました。
そしてインフルエンザの予防接種の状況を調べた結果、インフルエンザの予防接種を受けたCOPD患者はインフルエンザに関連した病気で入院する可能性が38%低いことが判明しました。
さらに、インフルエンザに罹患しているCOPD患者は、疾患に罹患していない患者よりも10%対8%で死亡する可能性が高くなりました。
これらの患者はまた、17%対12%で重症化する可能性が高かくなったと同調査結果は示しています。
インフルエンザに罹った場合、最も危険な患者は、75歳以上のお年寄り、心臓病を持病とする人、そして自宅で酸素を使う必要がある人だったと研究者らは報告しました。
この報告書は、『ジャーナルChest』の1月号に掲載されました。
レン・ホロヴィッツ博士は、ニューヨーク市にあるレノックスヒル病院の肺専門医です。
彼は次のように述べました。
「この研究はインフルエンザの予防接種を”売りこもう”としている医師が常に患者に伝える必要のある事柄を文書化しています。」
ホロヴィッツ博士によると、インフルエンザに感染したCOPD患者ではワクチン接種によって入院が減少するといいます。
「そうすることでインフルエンザの症状が軽くなるのであれば、入院を必要とする多くの合併症を発生させることはないでしょう。」と彼は付け加えました。
「インフルエンザが予防接種のバリアを破いたとしても予防接種がもたらすメリットは大きいのです。」
【以下のウェブサイトより引用】