COVID-19患者における喘息の有病率
パンデミックの初期に発表された最初のケーススタディは、喘息を危険因子として示しているようには思われませんでした。
武漢からの最初の報告の1つでは、重症とみなされた58症例を含む、140症例のCOVID-19についての臨床的特徴を説明されていました。
このコホートのうち、患者の喘息の自己申告による診断はありませんでした。
同様の研究で、COVID-19の検査室で確認された290症例の臨床的特徴が評価されましたが、そのうち喘息だった患者は1人だけでした。
ケースシリーズ分析が進むにつれても、喘息はCOVID-19での重篤な転帰に対する危険因子ではないままでした。
しかし、そのような研究において、慢性呼吸器疾患は、糖尿病と心血管疾患に次いで3番目に高い致死率が示されました。
このような研究では、喘息の人は呼吸器疾患の一群となっている可能性がありますが、それは喘息であるとは明確に特定されていません。
COVID-19で入院した米国の患者の大規模なコホート分析では、喘息の高い有病率(14%)を示しました。
ただし、年齢、性別、併存疾患など、COVID-19の他の既知の危険因子が管理されると、喘息との間に有意な関連はないものの、性別、年齢、併存疾患を調整した場合、喘息とCOVIDによる入院のリスクとの関連はありませでした。
米国疾病対策センター(CDC)が実施した後期分析では、入院患者の喘息の有病率は17%でした。しかし、繰り返しになりますが、他の疾病要因を管理することはできませんでした。
たとえば、入院中の喘息患者では、睡眠時無呼吸や肥満、高血圧の発生率が高く、喘息自体ではなくCOVID-19のリスクに寄与する可能性があるのは、これらの状態であることが示唆されています。
罹患率と死亡率のリスク
これまでの研究では、喘息がCOVID-19に感染しやすくなるということに説得力のある実証がありません。
H1N1鳥インフルエンザの発生など、以前の同様のパンデミックでは、ウイルスで入院した喘息患者は、病院での臨床経過がそれほど複雑ではありませんでした。
彼らが換気を必要とする可能性は低く、死亡する可能性もまた低いものでした。
COVID-19で入院した人々の臨床転帰を比較した2つの米国ベースの研究では、喘息のある患者とない患者の間で死亡率に差がないことが示されています。
大量の電子版の健康記録スクリーニングとバイオバンクデータを利用した英国のデータは、喘息とCOVID-19の関係がより複雑である可能性があることを示しています。
これらの研究では、COVID-19による死亡リスクは、喘息の重症度の指標である過去12か月間に経口コルチコステロイドを処方され使用した喘息患者の方で高いことがわかりました。
この研究では、喘息のさまざまな表現型とCOVID-19感染との関係についても調査が行われました。
興味深いことに、リスクは主に非アレルギー性喘息に関連していました。
非アレルギー性喘息は、これまた興味深いことにSARS-CoV-2ウイルスに対する保護因子を持っている可能性があります。
この喘息の表現型は、免疫系の一部を形成する血球である好酸球の炎症を特徴としています。
喘息管理のためのアドバイス
喘息患者は、個別化された『喘息治療計画』に従い続けることにより、喘息を自己管理することを目指すべきです。
これには、症状の監視、処方薬の継続、ピークフローメーターの定期的な使用が含まれます。
患者は喘息の引き金となるものを避け、自己隔離が必要な場合に備えて、緊急に服用できる処方薬を用意する必要があります。
喘息とCOVID-19の相互作用を取り巻く、強いコンセンサスがないことを考えると、CDCは喘息管理ガイドラインに変更は加えられません。
コルチコステロイドがCOVID-19の重症度を増加させるという証拠はないため、悪化した場合はコルチコステロイドで治療し続ける必要があります。
しかしながら、コルチコステロイドが喘息の状態が悪化した場合の治療に非常に効果的であることは十分に明らかです。
もし、喘息の悪化が、COVID-19感染によるものの疑いがあると臨床医が懸念している場合は、定期的な検査手順に従う必要があります。
COVID-19症状または感染症の喘息患者が薬剤の吸入投与を必要とする場合、医療スタッフは、高レベルの個人用保護具の使用や、臨床領域の徹底的な消毒など、エアロゾルを生成する安全手順に従う必要があります。
COVID-19の診断または症状のある患者が自宅で吸入治療を行う場合は、家族とは別の場所、できれば屋外で使用する必要があります。
【以下のリンクより引用】
Asthma prevalence in COVID-19 patients
News Medical Net