COVID-19検査や抗体検査を受けるべきタイミングとは?
- COVID-19の検査には、鼻咽頭スワブ検体を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)診断検査があります。
- その他、血液検査である抗体検査でも、過去の感染有無を判断できる可能性があります。
- 新型コロナウイルスの潜伏期間は約5〜7日ですが、最長14日となる場合があります。
COVID-19の検査数が増えるにつれて、検査を受ける必要性について疑問に思う人がいるかもしれません。
COVID-19の検査には、鼻咽頭スワブ検体を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)診断検査が含まれます。その他、血液検査である抗体検査でも、過去に感染したかどうかを判断できる可能性があります。
では、症状が出るまで待ってから検査を受けるべきなのでしょうか?
それとも、過去に感染したかどうかを確認する必要があるのでしょうか。
<COVID-19の検査を受ける>
ジョージ・メイソン大学で世界保健疫学教授を務めるアミラ・ロス博士はHealthlineの取材に対し、コロナウイルスの感染が確認された人物と密接に接触し、ウイルスに曝された人は、症状の有無にかかわらず検査を受ける必要があると語りました。
「症状が現れる前に疾患進行の初期段階で陽性反応の出る個人を特定し、公衆衛生介入を実施することにより、感染の大部分を防ぐことができます。無症候性感染がウイルス流行の主な元凶となっていることが判っているため、これは重要です。」と彼女は述べています。
「無症候性の感染者を見つけることで、ウイルスの蔓延を防ぐことができます。」
一方で、過去にウイルスに曝されておらず、症状も無い人は、検査を受けるべきではないと、ロス博士は付け加えています。
ウイルスの潜伏期間は約5〜7日ですが、最長14日になる場合もあります。
ウイルスに曝されたタイミングと検査のタイミングが近すぎると、検査結果が偽陰性となる可能性があると、ブリガムアンドウィメンズ病院とハーバード大学医学部で内科医を務めるアドラー・カラン医師は述べています。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で陽性反応が出た場合、RNAウイルスが検出されたことを意味します。
「これは、必ずしも感染していることを意味する訳ではありません。」と、カラン氏は言います。
PCRで陽性反応が出たとしても、研究では一部の人には、約9~10日後には培養可能なウイルスは殆ど、もしくはまったく見られなかったことが示されています。
これは、ウイルスに感染していた個人が、他人への感染力を失って大分経ってから検査を受けた際、陽性反応が出たということです。
しかし、活動性感染症を発症してから数週間は、PCRの結果は陽性を示し続けます。
「すなわち、ウイルスRNAが検出されても、他人への感染力が無い場合があるということです。」と、カラン氏は言います。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、陽性反応が出た場合、10日間自宅隔離を行う必要があるとのことです。
ミネソタ大学分子診断研究所のディレクターであり、Fairview/M Health COVID-19検査研究所のメディカルディレクターであるソフィア・ヨーエ博士は、この検査は感染者が自主的に自分自身及び他人の予防策を取った場合のみ役立つと指摘しています。
陽性反応が出ても自己隔離が行われなければ、検査の意味がなくなると、ヨーエ氏は言います。
<抗体検査>
抗体検査では、免疫グロブリンM(IgM)と免疫グロブリンG(IgG)値を調べることによって、最近もしくは過去に感染症にかかったどうかを判断することができます。
「抗体検査は、COVID-19の症状があるものの、直ちにCOVID-19のPCR検査を受けられる状況にない人に対して実施すべきです。」と、ミネソタ大学ヘルスウェストバンク研究所の医学部長であるエイミーB.カルガー博士は述べています。
通常、症状が出てから抗体が出来るまでには1~2週間かかります。
このため、症状の持続期間が1週間未満である場合、診断目的で抗体検査を受けることは理想的ではないと、彼女は話します。
抗体検査は、症状が出てから8日以内の人には推奨されていないと、カルガー氏は言います。
「条件に満たない場合、診断にはCOVID-19検査(PCR検査)のみを使用するべきです。」と、彼女はHealthlineの取材に答えています。
症状発症から日数が経過していない人は抗体がまだできていない可能性があることから、偽陰性の結果となるリスクが高まります。
加えて、検査の正確性にも問題があります。
2月初め、食品医薬品局(FDA)は、コロナウイルスを検出できる検査の緊急使用を承認しました。
これにより、FDAによって効果が評価される前に、検査を開始することができるようになりました。
<両方の検査を受けるタイミング>
連邦のガイドラインでは、症状発症後9~14日経過してから検査を希望する患者には、両方の検査を受けさせることを推奨しています。
抗体検査は、14日前にCOVID-19様の疾患を発症した、無症候性の感染者への使用が有効です。
その他、14日前にCOVID-19感染者と接触した人にも使用できます。
こうしたケースでは、過去にウイルスに感染していたかどうかを判断することができます。
専門家は、抗体があることで防御免疫を得たことになるとは断言していませんが、これを肯定する証拠は存在すると、カルガー氏は言います。
加えて、特にCOVID-19の症状が現れていない場合、抗体検査で偽陰性の結果がでることもあり得ます。
「これらの重要な要素に関する新しいデータが得られるまで、専門家は抗体検査で陽性の結果が出ても、免疫ができたとは推定しないことを推奨しています。」と、カルガー氏は言います。
抗体検査で陽性反応を示したとしても、人と物理的な距離を取りマスクを着用を継続する必要があります。
抗体検査で陽性となっても、できることはあまりありません。
この検査は単に過去の新型コロナウイルスへの曝露歴に関する情報を提供するものであり、特定の行動を取る必要が出る訳ではないと、カルガー氏は言います。
<再検査>
PCR検査を既に受けており、その後ウイルスへの曝露があった、もしくは症状を発症した場合は、再検査を受ける必要があります。
CDCは、医療従事者がPCR検査で陽性反応が出ても、 24時間以内に収集した検体が連続して陰性となれば、職場に戻っても危険はないとしています。
残念ながら、過去にPCR検査で陰性反応が出ている、無症候性の、ウイルスに曝露していない個人が定期検査をうけるべきかどうかに関するデータは不足していると、ヨーエ氏は述べています。
出典 2020年6月8日更新 Healthline『When Should You Get a COVID-19 Test? What About an Antibody Test?』(2020年6月10日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/when-should-you-get-a-covid-19-test-what-about-an-antibody-te...