DAPTは、抗リン脂質症候群における動脈血栓症の予防に有効で安全
医療誌『Rheumatology』で発表された研究データによると、二重抗血小板療法(DAPT)は抗リン脂質症候群(APS)患者の動脈血栓症の再発の予防に効果的である可能性があります。
1990年から2016年の間に北海道大学病院で、APS(抗リン脂質抗体症候群)の患者への後ろ向きコホート研究が行われました。
ワルファリン単独療法、抗血小板単独療法、ワルファリンと抗血小板の併用療法、そして二重抗血小板療法(DAPT)の4つの治療法での予防効果と安全性が調査されました。
主要評価項目として、研究者らは血栓症のない生存期間と有害事象のない生存期間について調査しました。『有害事象』については重度の出血および死亡と定義されました。
90人のAPS患者が登録され、そのうち81%が女性でした。
患者の平均観察期間は8年でした。
脳梗塞はベースライン時に最も頻度の高い偶発的な血栓性の有害事象であり、患者の90%に発生しました。
研究期間中、血栓の再発は、40人の患者で観察され、その中には35件の動脈血栓症と5件の静脈血栓症が含まれていました。
再発率は、ワルファリン単独療法を受けた患者と比較して、DAPTを受けた患者の間で有意に低くなりました(P
= 0.001)。
100人のリスク人年の再発率は、ワルファリン単独療法、抗血小板単独療法、ワルファリンと抗血小板の併用療法、およびDAPTでそれぞれ11.58%、5.47%、3.72%、1.81%でした。
カプランマイヤー分析によると、10年無再発生存率は全患者で62%でした。
重篤な有害事象(9件の重症出血事象および14件の死亡)が20人の患者において観察されました。しかし、重篤な有害事象の発生率はグループ間で差はありませんでした。
これらのデータは、APS患者での血栓性再発予防におけるDAPT療法の有効性と安全性を示しています。
これらの発見を確認するためには、より大きくより多様な集団において、各個人への追加の研究が必要です。
しかしながら、臨床医にとっては、動脈血栓症の危険性がある患者に適切な治療法を選択する上でこれらのデータが有用であると考えられます。
【下記のウェブサイトより引用】