PTSDや急性ストレス障害と心血管疾患の関連についての大規模な研究
スウェーデンの大規模な集団調査により、非常に強いストレスによる精神状態と、いくつかの種類の心血管疾患のリスクとの間に強い関連性があることがわかりました。
さらに、研究者らは、心臓発作やその他の突然の重度の心血管疾患のリスクが、ストレスに関連した精神疾患と診断された後の6か月間が特に高いことを発見しました。
心不全などゆっくりと発症する他の種類の心血管疾患では、精神疾患との診断後、12か月以内に発症するリスクが最も高いようです。
血栓から発生する主な症状である塞栓症や血栓症については、そのリスクはストレス性疾患の診断から1年以上経過してから高くなるようです。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)誌に載せられたこの研究に関する論文の中で、著者らは、この調査結果が男性と女性に等しく当てはまり、病歴、家族歴、または他の精神疾患によるものではないと述べています。
彼らはまた、この研究結果が、ストレス誘発性の疾患と心血管疾患との関係について行われた以前の研究の結果を支持するものであるとも述べています。
しかし、これまでの調査結果の大部分は、主に男性の退役軍人、または現役兵士の男性に焦点を当てた研究から得られたものであり、自己報告からの症状データも含めて、ほぼ完全にPTSDに焦点を当てていました。
PTSDと同様のストレス誘発症状
戦闘、強姦、暴力、自然災害などの外傷性の出来事を目撃したことがある人、または経験した人であれば、誰でもPTSDを発症する可能性があり、これは米国の成人の約3.5%に当てはまります。
しかし、外傷性の出来事を目撃したり経験したりしても、必ずしもPTSDにつながるわけではありません。
PTSDを診断するとき、医師は、時間が経っても癒えない怒りや悲しみ、そして苛立ちとともに大きな音に対する過剰反応、フラッシュバック、悪夢への驚きの反応などの症状を確認します。
一部の人々では、PTSDの症状は何年も続くことがあります。
急性ストレス障害はPTSDと似た状態です。
それは外傷性の出来事に反応して起こることがあり、同じ症状がいくつか見られますが、それは外傷性の出来事の3日〜30日以内に起こる傾向があります。
米国では、自動車事故で生き残った人の13〜21%、強姦、暴行、乱射事件で生き残った人の最大半数が、急性ストレス障害を発症すると推定されています。
また、急性ストレス障害を持つ人々の約半数がPTSDも発症しています。
研究とそのカギとなる主な調査結果
新しい研究では、「PTSD、急性ストレス反応、適応障害、その他のストレス反応を含むストレス関連疾患を有する」136,637人の患者について、
スウェーデン国民患者登録簿の1987年から2013年のデータを使用しました。
研究者らは、この「外傷性の出来事に遭遇した」グループのコホートと他の2つのそうでないコホートとの比較を行いました。
1つは一般集団における171,314人の兄弟姉妹です。
外傷性の出来事に遭遇していないことにより、研究者らはストレス関連の症状がないと位置づけました。
研究チームは最初に研究期間中の3つのコホートにおける心血管疾患の平均発生率を計算しました。
これは、外傷性の出来事に遭遇したグループで1,000人年あたり10.5%、遭遇していない兄弟姉妹、およびそれに匹敵する一般集団コホートで、それぞれ8.4%と6.9%でした。
さらなる分析は、外傷性または非常にストレスの多い生活上での出来事から生じる精神状態と、いくつかの心血管疾患を発症するリスクの上昇との間の関連を明らかにしました。
これらの関連は、精神疾患の診断後、12か月以内で特に顕著でした。
具体的には、ストレス関連の疾患がある人は、未診断の人よりも精神疾患との診断の後、12か月以内に64%が心血管疾患を発症する可能性が高くなりました。
一般集団の中で外傷性の出来事に遭遇していない人との比較でも同様の結果が得られました。
研究者らはまた、ストレス誘発性の精神状態と50歳以前に発症する傾向がある心血管疾患との間に特に強い関連性を見出しました。
「双方向的調査」を行う必要がある
著者は、彼らが行った研究の性質では、ストレス関連障害が実際に心血管疾患を引き起こすと結論付けることができないと指摘します。
カナダのモントリオールにある
コンコルディア大学のサイモン・ベーコン教授は、社説でこの点を取り上げています。
彼は原因が他の方向にある可能性を説いています。
例えば、すでにある程度の心血管疾患を患っている人は、ストレス誘発性の精神状態を発症しやすいということになるのでしょうか。
これに対抗するために、他の方向に向かっている原因の「証拠として」、彼は研究者が、患者の精神疾患診断の1年後の心臓発作、脳卒中、および他の急性心血管イベントのリスクを発見したと述べています。
しかし、彼はまた、研究者が心不全のリスクの上昇との関連で発見した大きな影響と、これが「診断後1年以内」にどのように発生したかについても強調しています。
心不全はゆっくり進行する疾患であるため、「逆の因果関係を完全に除外」することはできません。
ベーコン教授はこれらの質問が、社説で述べられた「潜在的な双方向性」へのさらなる調査が必要だと述べています。
研究者らは、特に最初の1年間に、心血管疾患がストレス関連の状態の診断につながる非常にストレスの多い出来事があった後に発症した可能性が高いことを、医師が認識することが必要だと示唆しています。
著者らは次のように結論付けています。
「これらの調査結果は、臨床での認識の向上、そしてもし症例が確認されれば、最近診断されたストレス関連疾患がある患者のモニタリングや早期介入が必要となるでしょう。」
【以下のウェブサイトより引用】