PTSD治療の成功は糖尿病リスクを低下させる
(ロイターヘルス)- 治療で改善が見込める心的外傷後ストレス障害(PTSD)の退役軍人は、2型糖尿病を発症するリスクも低下させている可能性があると米国の研究は示しています。
研究者は、PTSDの治療を受け、症状の重症度を評価するために定期的な評価を受けた1,598人の退役軍人の医療記録を調べました。
研究期間の開始時に、研究の参加者で糖尿病の人はいませんでしたが、全員がPTSD症状で最悪の場合、少なくともスコア50から最悪の場合80程度ある中等度から重度と評価されていました。
2年から6年の追跡調査の後、合計105人の退役軍人が糖尿病を発症しました。
PTSD治療の最初の1年間でPTSD症状の有意な減少(症状の重症度スコアが少なくとも20ポイント低下)がみられた退役軍人は、それほど改善しなかった人よりも糖尿病を発症する可能性が49%少ないことがわかりました。
「PTSDは一生健康を害するものであると見なしている人もいます。しかし、この研究は、PTSD治療が臨床的に意味のあるPTSD症状の軽減につながる場合、またはPTSD症状が自然に寛解する場合には当てはまらないことを示しています。」
と、研究の主著者でありセントルイス大学医学部とミズーリ州コロンビアにあるハリー・S・トルーマン退役軍人局医療センターの研究員でもある著者のジェフリー・シェラー氏は述べました。
「治療を行っていない患者が、これらの結果を見て、エビデンスに基づいたPTSD心理療法受けることに前向きになってくれることを望んでいます。」
PTSDはこれまで、心臓病、自己免疫疾患、性機能障害、2型糖尿病など、さまざまな健康上の問題のリスクの増加に関連付けられてきました。
2型糖尿病は、この病気の最も一般的な形態であり、一般的には肥満と加齢に関連しています。
研究の最初の1年間でPTSD症状の臨床的に意味のある減少がみられた退役軍人では、PTSDの改善がない患者5.9%と比較して研究中に糖尿病を発症したのは2.6%だったとは研究者はJAMA精神医学で報告しています。
血糖値がわずかに高い糖尿病や、肥満といった他の危険因子があるかどうかには関係がありませんでした。
この研究は、PTSD症状が糖尿病につながる可能性があるかどうか、またはどのようにPTSD重症度を下げ、それにより糖尿病リスクが低下するかということを証明するものではありませんでした。
この研究の限界の1つは、規模や期間の問題により、PTSD治療が糖尿病の生涯リスクを低下させる可能性があるかどうかについて広範な結論を出すには至らないということだと研究チームは述べています。
また、この研究は、重症度スコアに関するデータしかなく退役軍人が経験した特定のPTSD症状に関するデータも欠いていました。
PTSDが糖尿病につながる可能性のある見解がいくつかあることをシェラー博士は指摘しています。
PTSDによる慢性的なストレスは血糖値の上昇を引き起こし、糖尿病、肥満、うつ病に直接つながる可能性があります。
この疾患により日常生活で座りがちであったり、大量の飲酒や喫煙、または糖尿病の危険因子である他の健康を害する行動など、間接的に糖尿病を引き起こしている可能性があるのです。
「明らかに、これらの行動は機能不全によるストレス反応と相関しています。」
とシェラー博士は述べました。
「PTSD患者が糖尿病を発症する過程では、多くの相関する要因によるという可能性が高いと思われます。」
【以下のウェブサイトより引用】
Successful PTSD treatment tied to lowered diabetes risk
REUTERS