SGLT2阻害剤により心不全のリスクを低減できることが示唆される
新しいSGLT2阻害剤クラスの糖尿病薬による治療が、心不全および死亡率を激減させる可能性があることがより現実的になってきたと、アストラゼネカは述べています。
ワシントンDCのAmerican College of Cardiology(ACC)の会合で発表されたCVD-REAL(最初の大規模リアルワールドエビデンス試験)において、6か国、30万人の患者記録が調査されました。
それによると、SGLT2阻害薬による治療が心不全の入院率を39%削減し、全死亡率で他のグルコース低下療法に匹敵する患者と比較して51%減少しました。
重要な点として、登録簿にある糖尿病患者の大部分(87%)は心血管疾患の病歴を持たず、2型糖尿病患者の心不全などの心血管合併症の発症に影響を与える可能性があることを示唆しています。
同様の所見は、イーライ・リリーとベーリンガーインゲルハイムのジャディアンス(一般名:エンパグロフロジン)が高リスク患者群の心不全による入院率を35%の減少できることを示した、無作為化EMPA-REGアウトカム試験が報告されています。
アストラゼネカの研究によれば、現在、利益は一般的な臨床環境で再現され、該社のブランド品であるフォシーガ(英語名:Forxiga もしくは Farxiga、一般名:ダパグリフロジン)および、ジョンソンアンドジョンソン(Johnson&Johnson)のインボカーナ(一般名:カナグリフロジン)を含む他のSGLT2阻害剤も同様の利益をもたらすことが示唆されています。
CVD-REALの患者の約42%は、フォシーガを服用し、インボカーナは約53%、ジャディアンスは約5%でした。
ヨーロッパではアストラゼネカの薬剤が一般的であり、米国ではJ&Jの薬剤がシェアを占めていました。
個々の薬物および地域にかかわらない同様の結果は、『クラス効果』があることをを指しています。
ミズーリ州カンザスシティ大学医学部のミハイル・コシボロッド博士はこのデータは心疾患リスクの下端において2型糖尿病の患者へも利益が及ぶことを示唆しています。
商品ではジャディアンスだけが心疾患リスクの減少といった利益があることが示されていますが、新しい知見では、DPP4阻害剤などの他のクラスよりもSGLT2阻害剤全体としての処方を促進するのに役立つ可能性があります。
「このクラスの薬剤は患者の転帰を改善する潜在的可能性を秘めています。」とコシボロッド氏は述べています。
一方で、アストラゼネガは心血管リスクに対するフォーシーガの影響を決定するために独自の大規模臨床試験を実施しており、結果は2019年に得られる予定です。
J&Jのインボカーナは製造ラインの拡張のため前年度の売上高ほぼ横ばいだったものの、アストラゼネガのフォシーガの売上高は832百万ドル(72%増)、Jジャディアンスは60%増の202百万ドルとなりました。
主要3商品の競合に続き、Merck&Coとファイザーが開発しているエルツグリフロジン(ertugliflozin)が追随するでしょう。
【以下のウェブサイトより引用】