“#MeToo”によるセクシャルハラスメントに対する意識の高まり
今や、米国において、#MeToo運動が巻き起こったセクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)というのは、単なる話題を通り越しているという証拠があります。
JAMA Internal Medicineに12月21日にオンラインで発表された研究によると、当時、注目が集まっていた、女優のアリッサ・ミラノが2017年10月に起こした#MeToo運動により、その後、数か月のうちに、グーグルではセクハラや暴力に関する情報、およびそのような行動の報告または防止に関する情報の検索が激増したそうです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の助教授である上級研究者のジョン・エアーズ博士は、次のように述べています。
「#MeToo運動が始まってからたった数ヶ月で、オンラインで性的暴力に対しての助けを求める人が数百万人にも上るというのは予想外のことです。」
セクシャルハラスメントと暴行に関連する検索が、2017年10月15日から2018年6月15日までの間の調査で予想より51%も高かったとエアーズ博士と彼の研究グループは見出しました。
2017年10月15日の午後、アリッサ・ミラノはツイッターのフォロワーに送信されたツイートで、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey
Weinstein)に対するセクシャルハラスメントおよび暴力に対して公に告発し、「性的嫌がらせや暴行を受けたことがある場合は、このツイートへの返信として「#MeToo(私も)」とタグをつけて。」と呼びかけました。
セクシャルハラスメントの報告と、予防策に関連した検索は、これと同じ期間中に30パーセント高かったことを研究者らは発見しました。
「#MeTooは性的暴力の被害者を力づける最初の運動ではありませんが、過去の運動と比べてユニークなのは#MeTooの持続力です。」とエアーズ博士は言います。
「#MeTooの開始から8か月後の調査で、予想以上の何百万もの人々がオンラインで性的暴力への助けを求めています。#MeTooの持続性、そして、リーダーに対してこれを警告する我々の研究が国民が健全な社会生活を行う上で大きな役割を果たす可能性があります。」
ボストンにあるハーバードT.Hチャン公衆衛生大学院の精神疫学教授であるカレスタン・コネン氏は、これらの調査結果は“#MeToo”が意識を高め、行動を促すという点で大きな違いをもたらしたことを証明しています。
「逸話的に、それにより何かが変わったということがわかります。」とコネン氏は言いました。
「これは単なる逸話ではないのだとという、私たちが持っている最初の実際のデータの一部であるように私は感じます。この運動は、これまでとは大きな違いを生み出しています。」
“タイムズ・アップ”の法的防衛基金のディレクターであるシャリン・テジャニ氏は、これらのグーグル検索の受け手側にいます。
この防衛基金は#MeTooをきっかけとして、国立女性の法律センターが2018年1月に設立しました。
「設立以来、3,800人を超える人々が職場でのセクハラに対する支援を求めて私たちに連絡を取ってきています。」とテジャニ氏は述べました。
「彼女たちは私たちにインターネット上で、援助要請を送っています。そう、みんなオンラインツールを使って告白しているのです。私たちは思っていた以上に、多くの援助要請を受けています。」
コネン氏は、セクハラの報告または防止に関連する検索が最も有望であると判断しています。
「トラウマ心理学者として、性的暴行の経験を分かち合うことは人々にとって非常に有効であり癒されることを私は知っていますが、それを超えて、私たちが期待するのは変化です。」と彼女は言いました。
「これは私にとって最も胸躍る発見です。私たち全員がこういった経験を共有することをはるかに超えているためです。一般の人々が実際に変化をもたらす行動を取っているということなのかもしれません。」
“#MeToo運動”への反応は、米国で対処されなければならない大きな社会問題を明らかにしたとエアーズ氏は述べました。
「セクハラの被害者は、物理的な怪我も含めPTSDの症状、精神的なトラウマなど、深刻な健康上の問題に直面しています。」
「それでも、性的暴力の予防と対応への公的投資は、他の健康問題と比較して不釣り合いに小さいと思います。何百万人もの人々が救済を必要としていることを表明しています。我が国の指導者たちは、予防策へ投資しこういった被害者たちのために改善対策を行うべきです。」