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 「iPhoneハンド」に注意

フェイスブックやインスタグラムの画面のスクロールを続けた後、手に痛みを感じたことはありますか?
もしそうなら、それはあなただけではありません。

医師は、携帯電話への依存が”iPhoneハンド”と呼ばれる症状の蔓延につながっていると警告しています。

最近、親指の付け根に痛みがでる反復運動過多損傷の一形態である、”iPhone腱炎”により医者を訪れる人が増えています。

私たちの親指は、以前よりも動かす機会が少なくなりました。

ペンを持つには親指で支える必要がありますが、現在ではスクリーンをタップするだけとなりました。

専門家らは、この現状が続き、人間の手の形が進化していくと、他の霊長類のように、脳の機能が低下していく可能性があると警告しています。


- 萎縮した親指
理学療法士のRaquel Cantero医師は、次のように述べています。
「親指の萎縮(不使用により器官が小さくなること)は、私たちの診療においてますます頻繁にみられるようになっています。実際、私たちは既にiPhone腱炎に関する議論を始めています。」

リウマチジャーナルに掲載されたマラガ大学の科学者による論文では、携帯電話の使用習慣により、手の炎症を引き起こす危険性が警告されています。

「手のひらサイズの携帯電話が広く普及したこの時代、多くの人の親指は、スマートフォンで文字を打つために毎日繰り返し、数えきれない位使用されています。」

「携帯電話を使用する成人は、親指で数字を入力するため、手根中手関節に滑膜炎を発症します。」


- 滑膜炎とは?
滑膜炎とは、関節の軟部組織が炎症を起こす症状であり、この場合親指の付け根(手根中手関節)に起こります。

スマートフォンは小さく、同じ動作を長期間繰り返し行うようには設計されていません。

そして、インスタグラムやバンブル、スナップチャット等に長時間費やしている人はどれだけいるのでしょうか。

私たちは、携帯電話を使うことで書痙(文字を書くことで起こる指の痙攣)を経験しているのです。


- 結果として脳のサイズが縮小する可能性
科学者らは、近い将来、人間はつまむ様な手の握力を形成し始め、その過程で親指は”消滅”する可能性があると予測しています。

「木から地上に降りたことで脳の構造が変化し、手を使って様々な機能を果たすようになった霊長類の脳に起こった例を考えてみてください。」と、Cantero教授は述べています。

「人間の手の圧力や機能において重要な指である親指の使用方法が変わったことによって、時間の経過によりこれと似たような出来事が起こるのではないでしょうか。」

そして、こうした変化は私たちの脳の形も変える可能性があります。

手の動きが脳の活動に関連していることを示す証拠はたくさん存在しますが、この研究チームは関節炎のような疾患が、手を動かそうとする時の脳の活動の変化とどのように関連しているかについては言及していません。

彼らは、人間の手の進化が、複雑な活動や社会の進化に貢献してきたと結論付けています。

「そして、これは私たちの種の脳の発達に影響を及ぼした可能性があります。手の使用不足が、結果として脳の発達不足をもたらすのでしょうか?」

「言い換えれば、テクノロジーは私たちの手の動きを減らすことで、脳の機能も低下させるのでしょうか?これは、時間と科学だけが解決できる問題でしょう。」


- 問題は親指の握力低下だけではない
物理療法家のDan Baumstark氏によると、携帯電話のスクリーンをアンロックしたり、出会い系アプリでスワイプする親指の動作も、問題を引き起こす可能性があるといいます。

「この動作は、最初は無害のようにみえますが、1日に数十回、数百回と繰り返し行うことで、長期的には深刻な影響を及ぼす可能性があります。」と、彼はPhysio DCに掲載された記事の中で述べています。

「親指の兼の何本かが、通常腱が使用されたときに定位置に保たれる手首のコンパートメントからすりぬけてしまいます。」

親指をスクリーン上で繰り返しスワイプすることで、このコンパートメントの炎症を引き起こし、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)という症状を引き起こします。

Dan氏は、この問題は10年前と比べて、特に若い人の間でより一般的になっていると主張しています。

治療はどうすれば良いのでしょうか?
携帯電話のスクロールに費やす時間を減らし、文字を打つ手を変え、たまには文字を書いてみると良いでしょう。


- ”スマホ首”(テキスト・ネック)とは?
専門家らは、スマートフォンを持つ姿勢により大きな被害が出ると主張してきました。

ハーレイ・ストリート・スパインクリニックとハイゲート私立病院の外科医を務めるBob Chatterjee氏は、”スマホ首”による片頭痛や視界のぼやけを経験する人が増えてきていると警告しています。

”スマホ首”とは反復運動過多損傷もしくは首の使いすぎを意味し、頭部が前方に固定され、長時間携帯電話のスクリーンを見るために前かがみになることによって引き起こされます。

もちろん、この現象の原因は携帯電話だけではありません。

ノートパソコンやアイパッド、その他個人用の電子機器も、頭や首を同様に固定する原因となります。

Chatterjee氏は、スマートフォンの使用よってこの症状を発症する患者が増えていると話します。

出典: 2019年6月17日更新 The Sun 『Docs warn of rise in ‘iPhone hands’ as people are left blighted by painful joints from using touchscreens』(2019年6月20日に利用)
https://www.thesun.co.uk/news/9312732/docs-iphone-hands-joint-pain/