2型糖尿病 :バルデナフィルでの治療効果
2型糖尿病の男性において、6ヶ月間、ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害剤バルデナフィル(商品名レビトラ、バイエル/グラクソ・スミスクライン社)での治療を行った結果、治療は安全であり、内皮機能および血行動態機能対策の両方を改善し、炎症マーカーを減少させたことがわかりました。
そして、勃起不全の治療においての新規かつ予想外の発見は、性腺機能低下症、糖尿病、男性のサブセット内のテストステロンの血清レベルの改善があったことでした。
「臨床試験は製薬会社ではなく、研究者によって行われたということが重要です。」と、主任研究者である、イタリア、モデナ大学のダニエル・サンティ博士はMedscape医療ニュースにこう語りました。サンティ博士は2015年の内分泌学の欧州議会(ECE)に、彼の研究内容を発表し、若手内分泌学研究賞を受賞しました。
「バルデナフィルは、慢性使用が安全であることが判明しました。それは、このタイプの薬剤の長期使用には、一般的に不安材料があるため、この結果は重要です。」
彼は続けました。
「この結果は、薬物の新しい用途、内皮の健康を改善することを示唆しています。更なる研究によりこれが死亡率の低下に関連している場合があることが証明されれば、より広い意味合いを持つでしょう。」
サンティ博士と彼のチームは、6カ月間の2型糖尿病患者へのバルデナフィルによる治療終了後、さらに6ヶ月間、慢性治療の内皮機能に及ぼす影響と効果を調べることを目的としました。
試験ではまた、遡及的研究を行い、男性の生殖腺の状態を評価しました。
「このような評価は前例がないため、私は、これが最も興味深い知見であると思います。」と、サンティ博士は強調しました。
イタリア ローマ・ラ・サピエンツァ大学のアンドレア イシドリ博士は、コメントを求められ、この研究作業の重要性について説明しました。
「それは、抗糖尿病薬の使用頻度の増加にもかかわらず、2型糖尿病患者の多くは、心血管事故が原因で死亡しますが、それは、糖尿病でない患者と比べた場合、2倍から4倍も高い確率です。」
「内皮機能障害は、2型糖尿病の心血管系合併症の特徴です。」
臨床試験において、サンティ博士のチームは、血糖調整が必要な2型糖尿病患者の内皮機能障害をターゲットとすることが可能であることを実証したと、彼は語りました。
「臨床研究は全てが終了したわけではありませんが、研究により慢性的にPDE-5阻害薬を投与することで、心血管保護作用に関する以前の観測をより展開することができます。」
「違いは、おそらく、他の血管障害と比べて、糖尿病により特有の損傷が発生することに関連しています。この状況において、サンティ博士による研究は注目に値する新たな証拠をもたらします。」
と、彼は続けました。
サンティ博士は、この研究の動機は、2型糖尿病の男性で、他のPDE-5阻害剤、シルデナフィル(商品名バイアグラ、ファイザー社)での内皮健康の大幅な改善を発見した、以前のメタ分析から来たと述べました。
また、この新しい研究では、直接、内皮機能に対するバルデナフィルの効果を確認するだけでなく、生殖腺に対するものを含め、この薬の治療を止めた後、6ヶ月間、その影響や効果を観察ました。これは最初の研究であることも述べています。
この研究には、40〜65歳の2型糖尿病の男性患者、合計54人が登録しました。
すべての参加者は、体格指数(BMI)が未満35kg/㎡で、軽度または重度の勃起不全(勃起機能の国際指標(IIEF-15)<25)を有していました。
彼らは、無作為に26人と28人に分けられ、それぞれ、バルデナフィル群とプラセボ群とされました。
そして、6ヶ月間、プラセボ、またはバルデナフィル10mgを1日2回服用しました。
結果には、薬物関連有害事象は示されませんでした。
予想されるように、治療中の6ヶ月は、勃起機能を改善し、そして同様に、内皮健康の改善が見られました。
「炎症マーカーインターのロイキン6もまた、治療の6ヶ月間で60%以上の減少を示しました。サンティ博士は、「これが最も重要な成果の一つです。」と報告しました。
「6ヶ月間の治療後、さらに6ヶ月のフォローアップ期間中に、フロー依存性血管拡張への影響は減少しましたが、炎症マーカーは、「炎症に長期的な効果」を示唆し、治療中に見られる改善レベルを保持しました。」と、サンテイ博士は述べました。
【予期せぬ発見 - テストステロンレベルの上昇】
最後に、サンティ博士は、ベースラインでの性機能低下した男性のテストステロンのレベルの改善を強調しました。
研究者らは、この効果は精巣で改善された微小循環が原因の可能性があることを示唆しました。
「これはテストステロンのレベルの上昇を発見した最初の研究です。」と彼は述べました。
「バルデナフィルは、約12nmol/Lに10.4nmol/L以下のテストステロンのレベルを向上させることが見出されました。」
サンティ博士は、性腺機能低下症は、選択基準の一つではなかったことを観察しました。
彼は次のように述べています。
「テストステロンに関する我々の結果は、レトロスペクティブ分析の際に発見されました。私たちの発見は、この小さなサブグループに適用されますが、これらの結果は、性腺機能低下症の分野での研究のための新しい地平を開くことができます。」
本研究において、バイエル社は、バルデナフィルを提供しました。サンティ博士は、会社とは利害関係はないことを宣言してはいません。
【記事元】 http://www.medscape.com/viewarticle/845054#vp_2