「アスピリンで大腸がんリスク低下」再び確認―米研究
近年、解熱鎮痛薬として知られる「アスピリン」に、がんを予防する効果があるのではないかと注目されている。
日本を含む各国の調査で、アスピリンを定期的に服用している人は大腸がんになりにくいことが示されているからだ。
国立がん研究センター(東京都)などの研究チームは昨年11月、この効果を確かめるべく、7,000人規模の臨床試験を開始した。
こうした中、米国人約13万人を32年もの長期にわたって追跡調査したところ、やはりアスピリンを服用している人では大腸がんになる危険性が低くなっていたとする結果が、3月3日発行の米医学誌「JAMA Oncology」(電子版)に掲載された。
アスピリンは比較的安価な薬のため、調査を実施した米マサチューセッツ総合病院のアンドリュー・チャン氏らは「アスピリンを定期的に服用することは、低コストの大腸がん予防策として有望」との見方を示している。
この調査では、アスピリンの定期的な服用と、大腸がんだけでなく肺がんや乳がんなど全てのがんのリスクとの関連が調べられた。
対象は、米国の医師や看護師などの医療従事者13万5,965人(女性8万8,084人、男性4万7,881人)。
平均で32年間追跡調査したところ、アスピリンを6年以上にわたって週2回以上、定期的に服用していた人では、服用していなかった人に比べてがん(全ての種類のがんを含む)になる危険性が3%低く、中でも大腸がんリスクは19%低かった。
また、大腸がんだけでなく膵臓(すいぞう)がん、胃がんや食道がんなどを合わせた消化管がん全体でも、アスピリンの定期的な服用は15%のリスク低下に関係していた。ただ、乳がんや前立腺がん、肺がんなど消化管以外のがんについては、リスクの低下は示されなかったという。
この調査結果について、チャン氏らは「観察研究と呼ばれる手法で調べた結果であり、因果関係を示すものではない」と断った上で、「医療資源が限られた状況下では、内視鏡による大腸がん検診よりもアスピリンの定期的な服用の方が、大腸がん予防の安価な対策として有望ではないか」との見方を示している。
(記事元)http://kenko100.jp 一部抜粋