メトホルミンで糖尿病患者の大腸がんリスクが37%低下
中国の研究
最近、糖尿病およびその治療薬とがんリスク上昇との関連が指摘される一方、糖尿病治療薬の「メトホルミン」(商品名「メトグルコ」など)ではがんリスクが低下する可能性が多数の研究から報告されており、注目を浴びている。
中国・上海交通大学のZhi-Jiang Zhang氏らは、5つの論文(計10万8,161人対象)を解析し、メトホルミンを使用していた2型糖尿病患者の大腸がんリスクが、使用していない患者に比べて37%低下していたことを米医学誌「Diabetes Care」10月号に報告した。
Zhang氏らによると、以前から2型糖尿病患者の大腸がんリスクが高いことはよく知られているが、糖尿病患者が服用しているメトホルミンががんを抑える遺伝子の発現にかかわるメカニズムを持っていることや、腫瘍細胞の増殖を抑制することなどが報告されている。このほか、大腸がんの前段階にある糖尿病でない患者が服用したところ、服用しなかった人たちに比べて腫瘍のサイズが減少したとの報告もあるという。
同氏らは、2型糖尿病患者を対象にメトホルミンによる大腸がんへの効果を調べた文献を選定。大腸がんに関する4つと大腸腺腫(せんしゅ、良性腫瘍)に関する1つ、計5つの論文を対象に「メタ解析」※と呼ばれる検討を行った。
その結果、メトホルミンを使っていた群では、使っていなかった群に比べて大腸がんリスクが37%低下していることが分かった。大腸腺腫に関する論文を除いた場合でも、同じリスクの低下が確認された。
Zhang氏らは、解析対象とした試験の欠点をいくつか挙げつつも、メトホルミンによる大腸がん予防の強いエビデンス(根拠)が示唆されたと評価。今後、より詳細な検討が行われることが望ましいとしている。
記事元:http://kenko100.jp/