乾癬に新薬トファシチニブが有効- 1日2回10mgでエタネルセプトに非劣性-
乾癬は皮膚に赤い発疹ができ、表面がボロボロと剥がれるなどの特徴的な症状を起こします。
原因ははっきりわかっていませんが、免疫の異常が関わっているという説があり、治療のひとつにエタネルセプトという免疫抑制薬があります。
さらに、エタネルセプトとは別のしくみで免疫を抑えるトファシチニブという薬が乾癬に試され、エタネルセプトに劣らない結果が得られたことが報告されました。
*ほかの治療で治らなかった人が対象
この研究は、1年以上続いた乾癬があり、ほかの治療で効果が十分に出なかったか、理由があってほかの治療を受けられなかった人を対象としました。対象者は次のように4つのグループに振り分けられました。
条件に合った患者は3:3:3:1の比で、トファシチニブ5mgを1日2回約12時間間隔で飲み偽薬の注射を受ける群、トファシチニブ10mgを1日2回約12時間間隔で飲み偽薬の注射を受ける群、エタネルセプト50mgの皮下注射を週2回約3日から4日間隔で受け経口偽薬を飲む群、偽薬群にランダム割り付けされた。
4つのグループはそれぞれ、
トファシチニブを5mgずつ1日2回飲む
トファシチニブを10mgずつ1日2回飲む
エタネルセプトの注射を週2回受ける
治療薬を使わない
という治療に対応し、対象者には自分がどのグループに当たったのかわからないよう、偽薬の飲み薬と偽薬の注射を使って、すべてのグループで見た目は同じ(飲み薬が1日2回+注射が週2回)になるようにされました。
それぞれの内容で12週間治療した後で、治療効果は乾癬の症状の重さを表すPASIスコア(数字が大きいほど重症)が75%以上減少した「PASI75」の割合で評価することとしました。
*トファシチニブ10mgに効果あり
4つのグループについて次の結果が得られました。
12週後、PASI75治療応答はトファシチニブ5mg群329人中130人(39.5%)、トファシチニブ10mg群330人中210人(63.6%)、エタネルセプト群335人中197人(58.8%)、偽薬群107人中6人(5.6%)だった。有害事象の率は4群を通じて類似し、深刻な有害事象はトファシチニブ5mg群で329人中7人(2%)、トファシチニブ10mg群330人中5人(2%)、エタネルセプト群335人中7人(2%)、偽薬群107人中2人(2%)に起こった。
12週間の治療後、PASI75はトファシチニブ5mgのグループで39.5%、トファシチニブ10mgのグループで63.6%、エタネルセプトのグループで58.8%、偽薬のグループで5.6%の人に見られました。
治療中、副作用の可能性がある深刻な症状などは、4つのグループで頻度に大きな差が見られませんでした。
研究班は「この研究は、将来中等度から重度の局面型乾癬患者に対して、トファシチニブが使いやすく耐用性良好な治療選択肢となりうることを示唆する」と結論しています。
なお、トファシチニブは日本でも関節リウマチの治療薬としてすでに使われていますが、日本リウマチ学会は副作用の恐れなどを理由に、市販後調査において1日2回5mgを推奨される用量としています。
対象者が違うので同列に考えることはできませんが、この研究で有効とされた1日2回10mgをどう考えるかには議論の余地があるかもしれません。
記事元:https://medley.life/news