抗ウイルス免疫に対するホルモン避妊薬の効果
世界中でHIVと共に生きる人の約半分は女性が占めています。
研究者達は、生殖器感染症に敏感な女性に対しての危険因子を識別したいと願っていました。
オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの研究者らは、HIVおよび他の性感染ウイルスの感染は生殖器の粘膜バリアを必ず通過するため、生殖器の粘膜バリアの防御が弱まってしまう要因を特定しようとしました。
最近、粘膜免疫学誌に発表されたマウス研究では、デポ酢酸メドロキシプロゲステロン(DMPA)とレボノルゲストレル(LNG)というホルモン避妊目的に女性に使用される2つの化合物で処置された後、雌のマウスの生殖器ウイルス感染への感受性が大幅に増加したことが示されています。
具体的には、DMPAまたはLNGによるマウスへの処置は、上皮透過性を増加させることにより、女性生殖管のバリア保護が減少しました。
これより大きな透過性ができてしまい、ウイルスの病原体が侵入し、ウイスルに感染する機会を増加させました。
「私達の調査結果は、DMPAと多くの臨床研究によって示唆された性器感染に対する感受性の増大との関係を証明します。」とオハイオ州立大学医学部感染免疫学の准教授で産婦人科医でもあるトーマス L チャープス博士は述べています。
「また、LNGは、同様にウイルス感染に対する感受性を高める可能性があることを確認しています。」
「驚くべきことに、女性の子宮頸部生検組織の評価は、DMPAの開始前、また開始後1ヶ月は、バリア保護が、同一プロゲスチン処置マウスで見られたように減少しました。」と、主執筆者であるナーク キスぺカーラ博士は述べました。
一方、研究者によって追加で行われた、マウス研究では、DMPAと膣内エストロゲンとの併用治療は、すべての性感染症に対する第一防御として性器粘膜バリアを復元することにより、マウスから単純ヘルペスウイルス2型の感染を防ぐことが示されました。
後者の結果に基づいて、チャープス博士は、エストロゲンの投与でDMPA処置を行ったマウスを救済する能力は、バリア保護の少ない避妊方法の開発のための基盤を作り、エストラジオール放出膣送達器具の使用などのホルモン避妊方法へ統合することができました。
「現時点では唯一の仮想代替品となりますが、ひとつの可能性として、女性はDMPAと抗ウイルス殺菌剤を放出するエストラジオール膣リングを装着することができます。しかし、それも更なる研究が必要となります。」と、別の研究の著者である、ロドルフォ ビセッティ ミゲル博士は述べています。
(記事元)https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160419184746.htm