胃薬「PPI」が腎臓病の引き金に? 米調査
胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に使われるプロトンポンプ阻害薬(PPI)だが、この薬を服用している人では、そうでない人に比べて慢性腎臓病にかかる危険度が高まることが米調査から指摘された。米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のベンジャミン・ラザルス氏らが米医学誌「JAMA Internal Medicine」に報告した。
PPIは胃酸の分泌を抑える薬で、胃潰瘍や逆流性食道炎の治療、ピロリ菌の除菌補助などに使われる。世界で広く使用されているが、これまでの研究で、PPIの服用が骨折や肺炎、腎炎などと関連していると報告されている。一方で、明らかな理由もないのにPPIを服用している人が多いと指摘する専門家もいるようだ。
ラザルス氏らは今回、米国人1万482人(平均63歳、男性43.9%)を対象に、PPIの服用と慢性腎臓病の関連について調査した。
約14年の追跡調査を行った結果、PPIを服用している322人のうち56人、服用していない1万160人のうち1,382人が慢性腎臓病を発症。分析の結果、PPIを服用している人では慢性腎臓病になる危険度が、服用していない人の1.35~1.5倍高かった。
ラザルス氏らはこの結果を検証するため、米ペンシルベニア州の大手健康保険制度のデータ24万8,751人分を調査したところ、やはりPPIの服用と慢性腎臓病との関連が認められた。さらに、PPIを1日2回服用する人では、1日1回服用する人よりも慢性腎臓病になる危険度が高いことも分かったという。
なお、ラザルス氏らは「PPIの服用を制限すれば慢性腎臓病を減らせるのかについては、さらなる研究で明らかにする必要がある」としている。
記事元:http://kenko100.jp/articles