「アンチエイジング薬」は最新の研究で実現できる可能性を示す
実験薬の健康上の利点について、薬剤の新しい組み合わせでテストした臨床試験では有望な結果が示しています。
薬剤は、高齢者の免疫系に対する加齢の影響を逆転させることによって試験に参加した高齢者での感染症を安全に約40%減らしています。
それは錠剤の中「若返りの泉」が見つかったとは厳密には言えませんが、その発見の背後で、研究者たちは、薬の効果が高齢者を健康にし、
そしておそらくもっと長寿になるということを期待しています。
アメリカ・マサチューセッツ州のノバルティスバイオメディカルリサーチ研究所による二重盲検無作為化試験では、
ラパマイシンの哺乳類標的、『mTOR』と呼ばれるタンパク質を遮断するように製作された2種類の薬剤を試験に参加した65歳以上の
264人のボランティアへ6週間、投与しました。
この酵素は、様々な細胞プロセスの調節、それらの成長や生存状態、および動作の調節において重要な役割を果たしています。
それはまた、脳がまだ発達しているときに起こるニューロンの「剪定」にも関係しています。
ショウジョウバエのような様々な生物での実験において同様の酵素を阻害することでそれらの寿命を延ばすことを考えると、それはまた、
老化研究への影響には不可欠であるように思われます。
mTORを阻害する薬剤はすでに癌の治療や臓器移植の補助に使用されているため、ヒトの老化への影響に対抗する方法としてそれらの可能性を探求するという考えは、すんなり受け入れられました。
マウスでの試験では、以前、老齢のマウスでのmTOR活性が活発になり、血液幹細胞が減少してワクチンに対する免疫反応が低下し、
癌のリスクが高まることが示されていました。
酵素を阻害することで、幹細胞の健康に拍車がかかり、ワクチンがはるかにうまく機能するようになりました。
ノバルティス社がmTOR阻害剤を使用してヒトでの試験を実施したのは今回が初めてではありません。
数年前に実施された初期の実験では、すでに2種類の薬剤のうちの1種類を使用しただけで、インフルエンザワクチンに対する免疫反応が20%向上することがわかりました。
今回のヒトでの試験において、研究者らは以前の発見を改善するために2種類の阻害剤を組み合わせ、ダブル効果でmTORが機能しないように調整しました。
被験者を無作為に8つのグループ( 4つの異なる投薬量レジメンと4つのプラセボグループ)のうちの1つに振り分けました。
6週間の投薬、2週間の休憩期を経た後、グループ全体が季節性インフルエンザの予防接種を受け、
その後、数週間後に抗体を検査するため血液検査が行われました。
彼らの血液検査の結果では、再び、プラセボ群と比較してインフルエンザ抗体の20%の増加が示されました。
その後、1年間、両方のグループの被験者の健康状態が、毎週、電話確認を通して追跡されました。
どちらの阻害剤からも有害な副作用はないようでした。
しかし、感染率においてはプラセボを投与された人々の間で2.41%の感染が見られたのと比較して、2つの阻害剤の組み合わせを投与された人々は、
12ヶ月間での平均感染率は1.49%でした。
それは大したことではないように思われるかもしれませんが、高齢者にとっては、1年のうち1つ気管支炎や胃の問題が少ないということで、
命が救われうる可能性があるのです。
呼吸器感染症の発症率を下げることは、それが特に高齢者の感染症による死亡の主な原因であることを考慮すると、
こういった薬剤は多くの人がより長く生きることに役立つ可能性があることを意味します。
ワクチンを最大限に活用できれば、一般社会をより安全にすることにも役立つでしょう。
免疫学者のデボラ・ダン - ウォルターズ氏はガーディアン紙のレイアル・リバプール氏に次のように話しました。
「将来的には、高齢化社会が進むでしょう。」
ダン - ウォルターズ氏はこの研究には関与していませんでしたが、彼女はこのような薬剤を利用可能にすることにはメリットがあるとみています。
「高齢者が予防接種にうまく反応しない場合、益々多くの人が感染症から保護されず、
そして地域社会の中で他の人に潜在的に感染させてしまう人が増えるでしょう。」
このような老化防止薬がどれだけ期待できるのかを話すには時期尚早です。
そして、よく食べて活動的でいること以上に、老化防止に勝るものありません。
しかし、たとえそれらが、他の生物に見られたように長寿に効果がなくても、晩年での免疫力の向上については追跡する価値があるでしょう。
この研究はScience Translational Medicine誌に掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】