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「スーパーエイジャー」が認知症とは無縁の理由

2021年2月23日 - 研究者は、一部のお年寄りが80代、90代になっても脳の状態が引き続きしっかりとしているという主な理由を明らかにした可能性があります。それは、彼らの脳がアルツハイマー病を特徴付ける特定のタンパク質の蓄積に影響されないということです。

この研究は、科学者が「スーパーエイジャー」と呼んでいるものに焦点を当てました。

「スーパーエイジャー」とは、数十年若い人々の記憶能力を持つ高齢者群のことです。

平均的な脳力の高齢者と比較して、スーパーエイジャーは彼らの脳に「タウのもつれ」を示す証拠がはるかに少ないことを研究者は発見しました。

タウは、健康な脳細胞において、内部構造を安定させるのに役立つタンパク質です。

しかし、タウの構造が異常(タウタンパク質同志が互いに癒着してしまう状態)も同様に発生する可能性があります。

アルツハイマー病の人では、アミロイドと呼ばれる別のタンパク質の塊である「プラーク」と同様、脳はそれらのもつれたタウが大量に蓄積します。

何年もの間、アミロイド斑はアルツハイマー病治療の潜在的な標的として最も注目を集めてきたと、新しい研究を主導した研究者のタマール・ゲフェン氏は述べました。

しかし、この研究による一連の証拠は別の事実を伝えています。

記憶力と思考力の低下と相関するのは、アミロイドではなく『タウの蓄積』であると、シカゴにあるノースウエスタン大学ファインバーグ医学部の助教授でもあるゲフェン氏は述べました。

スーパーエイジャーに関するこれらの最新の発見は、その研究と一致していると彼女は言います。

そこにスーパーエイジャーと呼ばれる人々が何人いるのかは明らかではありません。その理由の一つは、そうだと定義されるものがないからだと、アルツハイマー協会の科学プログラムおよびイニシアチブのディレクターであるクレア・セクストン氏は述べました。

 

この研究には、80歳以上の人々が参加しました。

しかし、セクストン氏によると、他の研究では、焦点を、90代、さらには百歳以上の感覚が鋭いお年寄りにまで絞り込まれています。

最も関心がある疑問は、このエリートグループのメンバーになるには何が必要かということです。

セクストン氏によれば、スーパーエイジャーは部分的に『感謝する遺伝子』を持っている可能性が高いのです。

しかし、おそらく、それは、よい遺伝子、ライフスタイルの要因や身体活動から社会的関与、精神的な刺激などを生涯にわたり経験したことの混合であるようだと彼女は述べました。

実際、ノースウェスタン大学による以前の調査では、これらはスーパーエイジャーの一般的な習慣であることが示されています。

ゲフェン氏と彼女の同僚はまた、スーパーエイジャーと典型的な脳力を持つ人と一般の人々の脳の違いを発見しました。

たとえば、スーパーエイジャーは、モチベーションや意思決定などのプロセスに関与する脳領域の組織量が多いことです。

スーパーエイジャーはまた、社会的知能に関連しているフォンエコノモニューロン(VEN)と呼ばれる細胞の密度が高いことが示されています。

この研究では、ゲフェン氏のチームは、80代または90代で亡くなった7人のスーパーエイジャー(すべての女性)の脳組織を分析しました。

この結果は、死ぬ前に通常の思考力を持っていた6人の高齢者の脳研究と比較されました。

スーパーエイジャーはすべて標準的な記憶力テストを受けており、20歳〜30歳年下の人々の基準以上のスコアを獲得しました。

研究者たちは、スーパーエイジャーと同世代一般の人の両方が脳内に同量のアミロイド斑を抱えていることを発見しました。

しかし、『もつれ』に関しては、それらは異なっていました。

平均的な記憶力と思考力を持つ人々は、嗅内皮質と呼ばれる記憶関連の脳領域に3倍の量のタウのもつれがありました。

セクストン氏は、この調査結果がタウの重要性に関する他の証拠と一致することに同意しました。

「タウはアミロイドよりも認知能力をよりよく追跡することが少し前からわかっています。」

セクストン氏によると、これらの発見は、スーパーエイジングの「秘密」におけるタウの役割を示唆しています。

しかし、それはプラークが重要でないという意味ではありません。異常なアミロイドとタウは、アルツハイマー病の脳の変化を促進するために、互いに、そして他の要因と相互作用する可能性があるとセクストン氏は述べました。

アルツハイマー協会によると、アミロイドが脳内で増加するにつれて、アミロイドが転換点に達し、タウの異常が脳全体に広がる原因になると考えられています。

そして、それは記憶力と思考力が下り坂に向かう時なのです。

ゲフェン氏は、スーパーエイジャーが典型的な加齢に伴う脳力の低下の影響を受けないのは、おそらく個人の素養と育成されたものという要因が複雑に絡み合っていうことだと述べています。

それは、薬に変えることができる魔法のようなものになる可能性は低いと彼女は述べました。

より広義には、ゲフェン氏は、タウのもつれを理解するには、記憶細胞に焦点を合わせる理由など、はるかに多くの作業が必要であると述べました。

タウが完全に無視されているわけではなく、現在、アルツハイマー病のタウ標的療法は開発中であるとセクストン氏は述べています。

今のところ言えることは、スーパーエイジャーになる人はほとんどいないということです。

しかし、セクストン氏によると、高血圧や糖尿病などの心臓病の危険因子の管理、定期的な運動、健康的な食事、精神的な健康を保ち社会的関与を維持することが、誰もができる脳の健康を保つ方法です。

この調査結果は、the journal Cerebral Cortexで2月17日に公開されました。

 

 

【以下のリンクより引用】

Why Some 'Super Ager' Folks Keep Their Minds Dementia-Free

HealthDay