「モバイルストロークユニット」が早期に患者を治療
2019年12月5日(HealthDay News)- 脳卒中を起こし苦しんでいる場合、大都市での交通渋滞で救急車に閉じ込められたまま、立ち往生しているのは最悪の状況です。
-「モバイルストロークユニット(MSU)」と呼ばれる特別装備の救急車を除いては。
新しい研究によると、MSUを介して近くの病院に運ばれたニューヨーク市の脳卒中の疑いのある患者は、普通に救急車で運ばれる患者よりも約30分早く、重要な救命治療を受け始めることができました。
ちなみにこの時差は救急車がどれだけ速く進んでいるかということとは関係がありませんでした。
「30分で完全回復と永久麻痺の違いが生まれる可能性があります。」
と研究著者でニューヨーク市のウェイルコーネル医科大学の神経学科長であるマシュー・フンク博士は述べました。
それは、脳卒中により酸素が欠乏し、その影響を受けた脳細胞が数分以内に死に始めるからです。
最も一般的なタイプの虚血性脳卒中は、脳への血流を妨げる血餅によって引き起こされます。
アメリカ心臓協会誌(Journal of the American Heart Association)で12月4日に発表されたこの研究では、救急車を呼んで脳卒中の疑いがある2組の患者が血栓を破壊する薬物アルテプラーゼによる治療を開始するのにかかった時間を調査しました。
これは患者が最初に脳卒中の症状を発現してから3時間〜4.5時間以内に投与する必要があります。
この研究で調査された85人の患者のうち、66人はMSUにより病院へ運ばれました。
MSUは、虚血性脳卒中とアルテプラーゼを正確に診断するポータブルCTスキャナーを備えた救急車です。
MSUには、脳卒中の診断と治療の訓練を受けた神経科医が同乗されました。
虚血性脳卒中と診断された29人の患者は、病院に向かう途中で治療を開始しました。
これは、通常の救急車に乗った19人の患者よりも約30分早くなりました。
これらのMSUでない救急車で運ばれた患者のうち9人は、病院で虚血性脳卒中と診断され、治療が行われました。
著者は、MSUが米国で最も人口の多い都市であるニューヨーク市のように混雑した環境で患者をより速く治療できるかどうかを調べる最初の研究であると述べました。
ある専門家によると、調査結果はやや驚くべきものだったといいます。
「多くの人が、MSUは、病院に行くのが難しい田舎の環境にいる場合に最も価値があると思っていたと思います。」
と、米国脳卒中協会の元会長でありアメリカ心臓協会の次期会長であるミッチェル・エルキンド博士は述べました。
エルキンド博士は研究には参加していませんでしたが、MSUで脳卒中の患者の診断および治療を行ったことがあります。
近年、MSUは、主に都市部での使用が拡大しています。
今日、それらは、ニュージャージー州トレントンからロサンゼルスまで、全国の約10か所の都市で運営しています。
しかし、コストが高いことは、このサービスを広げるための障害となっています。
1つのMSUの運用コストは約100万ドルで、年間では最大で100万ドルずつ上昇します。
さらに、患者にとって優れた長期的な利益を実証するデータがほとんどないと専門家は述べました。
研究著者のフィンク博士はすぐにその状況が変わることを望んでいます。
彼といくつかの州の研究者は、MSUの中で診断および治療された脳卒中患者の長期転帰を、病院に到着してから診断および治療された患者と比較する2年間の研究を進めています。
「入院前のケアに関する多くの発案が見られると思います。」
とフィンク博士は述べました。
「この研究はまだ始まったばかりの分野だと思います。」
フィンク博士は、さしあたり脳卒中を起こしていると思われる場合で、救急車を待つ間にとるべき重要な手順について、 次のようなアドバイスを行いました。
・脳への血液循環を改善するために平坦な場所で仰向けに寝てください。
・落ち着いてください。
・服用している薬を救急隊員に伝える準備をしてください。
・アスピリンを服用しないでください。
アスピリンは、動脈血が脳で出血を起こしたときに引き起こされる脳卒中を悪化させる可能性があります。
【以下のリンクより引用】
'Mobile Stroke Units' Help Rush Treatment to Patients
Healthday