「免疫療法のマルチナイフ」のような新しいHIV薬
HIVは、抗レトロウイルス療法(ART)薬による治療を受けているときに、ウイルスが患者の免疫細胞内に隠れるという特有の現象を引き起こす厄介なウイルスです。
薬の服用を止めると、ウイルスは戻ってきます。
研究者たちは今、隠れたウイルスを追い出し、一度で仕留めるという新しい薬を考案しました。
予備調査の結果は先週、医療誌『EBioMedicine』に掲載されました。
この免疫療法を開発したピッツバーグ大学のチームは、これがHIVに対するワクチン開発に向けた最初のステップであると述べました。
実験室での薬物の初期の結果が、それらが追加されうる見込みを示しています。
しかし、彼らは治験まではしばらくかかることにも触れています。
研究員のロビー・メリアード氏は、
「これは免疫療法のスイスアーミーナイフのようなものです。」
と述べました。
研究チームは、彼らがどのように免疫療法を開発し、それをMDC1と呼んだかについての研究の概要を説明しています。
この薬はHIVとサイトメガロウイルス(CMV)の両方を攻撃する能力があります。
CMVは、95%のHIV感染者に影響を与えるHIVとの一般的な合併感染症でです。
ピット公衆衛生局の感染症および微生物学科の教授兼会長であるチャールズ・リナルド研究員は、次のように説明しています。
「免疫システムはCMVを抑制するために多くの時間を費やしています。一部の人々では、5つのT細胞ごとに1つがその1つのウイルスに特異的です。
そのことで私たちは考えました。おそらくCMVと戦うことに特有であるそれらの細胞はまた潜在的なHIV貯蔵部の大部分を構成します。
そこで我々は、HIVを標的とするだけでなく、CMV特異的Tヘルパー細胞も活性化するような免疫療法を作成しました。」
チームはピッツバーグ大学の研究機関から2ダースの男性の血液サンプルを集めました。
この大規模な研究もまた、多施設エイズコホート研究(MACS)の一部でした。
ヤン・クリストフ研究員は、次のように述べています。
「MACS参加者はこの研究の成功に不可欠でした。 ART(抗レトロウイルス治療)を受けている人の中で機能的HIVに潜在的に感染しているT細胞を見つけるためには、大量の血液を集めなければならず、
それは1000万個の細胞ごとにわずか1つになる可能性があります。
そういった男性たちは、血液を処理する装置に4時間も座ることになり、更にサンプルを提要するために何度も戻ってくるという事態になっていたでしょう。」
彼らはHIVウイルスを死滅させる樹状細胞を単離しました。
ロビー・メリアード氏は、これらの細胞が、「ボールを引き渡して役割を指令し、他の免疫細胞にどこへ行けばいいのか、そして何を戦うべきかを告げるもの」と説明しました。
メリアード氏氏は、次のように述べています。
「MDC1は、他の薬物や治療法を追加することなく、キラーT細胞を動員してウイルス感染細胞を排除することができました。
MDC1だけで、我々は追放と死滅の両方を達成しました。
それは免疫療法においてのスイスアーミーナイフ(マルチナイフ)のようなものです。
我々の知る限りでは、これは樹状細胞をプログラムしてCMVを組み込むことで、ウイルスを追放し、更に、死滅させることができた最初の研究です。」
チームはこのアプローチで成功を見つけ、MDC1が潜伏型または隠されたHIVウイルスを血液中に閉じ込めてから効果的に殺すことができることを確認しました。
彼らが追加したこの新しい治療法は、HIV感染者に対する「オールインワン」の免疫療法であり、患者はもはやHIVに対して一生ARTを服用する必要がないことを意味する可能性があります。
【以下のウェブサイトより引用】