『心臓の健康ガイドライン』は糖尿病のリスクを80%も減らす
健康体重を維持することは心臓病のリスクを下げるための最も効果的なステップです。
2019年1月16日
心臓病と糖尿病は密接に関係しており、どちらか一方に効果があれば同じ予防方法がもう一方の疾患にもあてはまるというのは、理にかなっているでしょう。
今、それを示唆する証拠があります。
2019年1月に医療学会誌「Diabetologia」で発表された研究によると、米国心臓協会(AHA)が推奨する心臓の健康に関するガイドラインに従うと2型糖尿病のリスクを最大80%減らすことができます。
オハイオ州立大学医学部の研究者は、AHAのLife Simple 7(心臓の健康に関連する一連の健康とライフスタイルの行動)を使用して、9年半にわたる研究参加者の「脳卒中についての地理的差異、および人種差の理由」という研究から、7,758人の研究参加者の健康を評価しました。
彼らは、Life Simple 7のうち2個から3個の行動を実行している正常な空腹時血糖値(つまり糖尿病でない)の参加者は、糖尿病のリスクが36%低く、また、少なくとも4つ実行していた参加者では、糖尿病のリスクが80%低いことを見出しました。
オハイオ州立大学ウェクスナーメディカルセンターの内分泌学者兼助教授である主執筆者のジョシュアJ.ジョセフ医師は、次のように述べています。
「もし個人がこれらの理想的な心血管の健康測定基準を得ることができれば、彼らは長期的に糖尿病のリスクをずっと低いまま保てるのです。」
「2型糖尿病の前兆で前糖尿病の一形態である、空腹時血糖障害を発症する前に、これについて考えることは本当に重要です。」
AHAのLife Simple 7は次の通りです。
・総コレステロールの管理(200 mg / dL未満)
・血圧の管理(120/80 mmHg未満)
・血糖値を低下させる
・健康的な食生活(果物、野菜、繊維、低ナトリウム、糖分を含まないドリンクの摂取)
・喫煙をやめる
・定期的に運動を行う(少なくとも週に75分)
・BMIが25未満
2型糖尿病予防についてこれまでの研究が示すもの
2017年6月にアメリカ心臓協会の学会誌で発表された以前の研究で、ジョセフ博士と彼のチームは、7つの行動をたどることと、黒人の糖尿病リスクが低いことの関連性を見つけました。
この研究では、Life Simple 7因子が正常な空腹時血糖値の人々の糖尿病リスクにどのように影響するかと、空腹時血糖値が低い人々にどのように影響するかを比較しました。
彼らは、空腹時血糖に障害のある参加者は、Life Simple 7因子が2つ、3つ、または4つ程度あっても、糖尿病のリスクが有意に低いわけではないことを発見しました。
「空腹時血糖障害のある患者には、目標とする減量介入が必要です。」とジョセフ博士は言います。
これには、食事のカロリー量を減らすための特定のカロリー摂取量の学習や調理の教室などの手段や、筋力と筋肉をつけるためのフィットネスに関する具体的なガイドラインの確保が含まれます。
「彼らは本当に医者に診てもらう必要があり、減量を目標とした介入を始めなければなりません。」と彼は言います。
2型糖尿病の治療に使用され、前糖尿病の人々の糖尿病リスクを下げるのに役立つかもしれない、グルコファージ(メトホルミン)のような薬剤を服用する必要がある人もいると以前の研究は示しています。
心臓病と糖尿病の予防に関する新しい研究からその他の引用
米国立衛生研究所によると、新しい研究では、黒人の方が疾患を発症する可能性が高いため、「人種」が糖尿病リスクの要因となっています。
研究者らは、少なくとも4つのLife Simple 7因子を持つ黒人研究参加者は糖尿病のリスクが66%低い一方で、非ヒスパニック系白人でのリスクは73%低かったことを見出しました。
研究参加者の平均年齢は63歳で、チームのこれまでの調査に基づいています。
ジョセフ博士は彼らの調査結果は40歳から70歳までの人々に適用されるものの、若い集団での研究を望んでいると述べています。
体重管理を通じて若い頃から糖尿病を予防することが重要だとボストンのジョスリン糖尿病センターのリピッドクリニックの所長である、O.Mガンダ博士は言います。
ガンダ博士はこの研究には関わっていません。
「多くの場合、若い人は体調が悪くても健康診断を受けませんが、糖尿病患者でも血糖値が非常に高くなるまで症状を示さないことがよくあります。」とハーバード大学医学部准教授でもあるガンダ博士は言います。
「彼らは自分の血圧、血糖値、およびA1Cをテストする必要があります。これは絶食なしで行うことができます。」
現在の研究で、著者らは、BMIが糖尿病の潜在的リスクに最も大きな影響を及ぼす要因であることを見出しました。
「脂肪が多いほど、インスリン抵抗性が非常に高くなります。これにより、食事をして体内へ摂取したグルコースを体が使用することが困難になります。」
とジョセフ博士は言います。
「それは、糖尿病の主な要因の1つです。」
インスリン抵抗性は、体の細胞がインスリンに鈍感になると起こります。
インスリンは、エネルギーにするためにグルコース(血糖)を体の他の部分に運ぶホルモンです。
これの影響は“高血糖”と呼ばれる血糖の蓄積を引き起こし、心臓病だけでなく糖尿病性ニューロパチー(神経障害)、腎臓病、そして失明といった多数の健康上の合併症と関連しています。
ジョセフ博士は、血圧、現在の喫煙、および食事摂取も影響の大きい要因であり、これらはすべてインスリン抵抗性とグルコースを体が使用できないことに関連していると述べています。
喫煙は体内の炎症を増加させ、それがインスリン抵抗性につながります。
「これらの要因はすべて相互に関連しています。」とガンダ博士は言います。
「あなたのライフスタイルを改善することが、糖尿病のリスクを予防するだけでなく、心血管疾患を防ぐためのリスクも改善するということを強調することが重要です。」
【以下のウェブサイトより引用】