「終息には程遠い」WHOのブリーフィングで
- 世界保健機関は6月10日にメディアブリーフィングを開催し、COVID-19コロナウイルスのパンデミックに関する最新情報を公表しました。
- 事態は進歩しているとはいえ、依然として重大なリスクが残されています。しかし、リスクの内容は地域ごとに異なり、マイケル・ライン博士は「終息には程遠い」と警告しています。
- 人々が平等にワクチンを接種できる環境を整える必要があります。
- COVID-19が気候や季節変動に影響を受けることを示すデータはまだありません。
6月10日に行われたWHOのメディアブリーフィングで、マイケル・ライアン博士とマリア・ヴァン・ケルホーヴ博士は、未だにCOVID-19の重大なリスクが残されていると説明しました。
しかし彼らは、リスクと優先順位の組み合わせは国や地域によって異なることを覚えておくことが重要であることを強調しました。
「世界に影響を及ぼしているのはパンデミックかもしれませんが、各国への影響は国ごとに異なります。」と、ライアン博士は言います。
「終わりには程遠いと言えるでしょう。」
このパンデミックは未だ世界中の多くの地域で蔓延、拡大を続けており、たくさんの国々で医療制度が危機に陥っていることを懸念していると、彼は説明しています。
ヴァン・ケルホーヴ博士は、例えばワクチンプログラムの崩壊等により、COVID-19以外の疾患に関連するリスクを考慮することも重要であると述べました。
<平等なアクセス>
WHO局長のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス博士は各首長に対し、COVID-19ワクチンが開発された際は全ての人が利用できるように尽力することを求めました。
「ワクチンの普及には、政治的な関与が重要となります。」と、彼はブリーフィングの中で述べました。
これは世界的な公益となるはずであると、彼は付け加えました。
【5段階のワクチン開発】
ワクチンの開発には通常10年以上の月日と、最大5億ドルの費用が必要となります。
1. 創薬研究(2~5年)・・・最大100種類のワクチンに絞る
2. 前臨床(2年)・・・20種類のワクチンに絞る
3-1. 臨床開発フェーズ I『安全かどうか』(1~2年)・・・10種類のワクチンに絞る
3-2. 臨床開発フェーズ II『免疫反応を活性化させるかどうか』(2~3年)・・・5種類のワクチンに絞る
3-3. 臨床開発フェーズ III『疾患の予防効果があるかどうか』(2~4年)・・・1種類のワクチンに絞る
4. 規制審査(1~2年)・・・1種類のワクチンに決定する
5. 製造と配達
ワクチンの製造には高度に制御された特殊な施設が必要となる上、開発に多額の費用がかかります。製造は通常、数千回分のワクチンが必要となるフェーズ III前のフェーズ IIの後に開始されます。
<季節ごとの違いとは?>
ブラジルの冬の到来に関する質問に対し、ライアン博士は、COVID-19にインフルエンザウイルスと同様の季節サイクルがあるかどうかについて言及するには時期尚早であると述べました。
ウイルスがどのように反応するかどうかはまだ分からず、ウイルスの拡散速度が激化するかどうかを示すデータは存在しないと彼は説明し、以下のように述べました。
「将来この疾患がどのようなものになるかを示す指標は、現状ありません。」
同氏はまた、気候変化の影響有無にかかわらず、各国が既に実施している対策に引き続き注力する必要があると付け加えました。
ヴァン・ケルホーヴ博士はまた、十分な開発がされ既に利用可能な状態にあるインフルエンザのシステムを利用するため、COVID-19だけでなくインフルエンザの検査も引き続き継続するよう各国に要請しました。
出典 2020年6月11日更新 World Economic Forum『'By no means is this over': WHO briefing』(2020年6月11日に利用)
https://www.weforum.org/agenda/2020/06/by-no-means-is-this-over-who-briefing/