mTOR複合体がどのように結合するかを理解する
生物学の世界では、個々の細胞にはそれぞれが特定の役割とポジションを持つ多くの稼働部分があります。
これらの部分の1つが正しく機能していないと、細胞全体に影響を与える可能性があります。
過去5年間、ブリガムヤング大学の研究者らは、細胞の成長と生存を調節する役割を担うタンパク質複合体という
“細胞が健康に成長するために不可欠なプロセス”について研究してきました。
研究の結果として、これらのタンパク質複合体は、また癌および他の疾患の標的ともなることがわかっています。
研究チームはラパマイシン、またはmTORというこの複合体の役割と機能をよりよく理解するために日々努力しています、
mTOR自体について、そしてそれがどのように機能するのかを学ぶことは、癌治療や糖尿病などの他の病気の治療を手助けする方法の
足掛かりとなります。
アメリカ・ブリガムヤング大学(BYU)の教授兼主任研究員である、バリー・ウィラードソン氏は、次のように述べています。
「私たちは癌治療を直接開発しているのではなく、それらの種類の治療の根底にある細胞機能の基本的な理解に貢献しています。」
Nature Communications誌に掲載された研究では、同様にBYUの大学院生であるニコール・テンズマイヤー氏とグラント・ラドラム氏らは、
mTOR複合体がどのように組み立てられているかを調べました。
細胞内では、たんぱく質がそれ自体で働くことはめったになく、それらは他のたんぱく質との複合体として働きます。
この研究の例では、mTORは、mLST8とRaptorというmTORの安定化を助ける2つのタンパク質と呼ばれるサブユニットを持っています。
「タンパク質は一連のアミノ酸として作られていますが、最終的にそれらは一緒になって三次元形状にならなければなりません。」
とテンズマイヤー氏は述べました。
「それがどのようにこの形に折り畳まれるかは、彼らがどのように機能するかに影響を与えます。さらに、それらはきちんと作用するために
非常に特定の形状でなければなりません。
時々、それは何もせずとも起こりえますが、その形状になるための助けが必要となる場合があります。
そしてそれこそがシャペロニンの効力が発揮されるところなのです。」
大人が子供のグループを見守るのと同じように、シャペロニンはタンパク質を監視し、それらが前述の特定の形状に折り畳まれたり、
正しく機能するようになったりするのを助ける細胞メカニズムです。
mTOR 複合体の場合、mLST8 とRaptorの両方を折り畳み、そしてそれらがmTORの集合を助けるためにCCTと呼ばれるシャペロニンが
必要とされます。
「CCTによって折りたたまれることは通常は良いことなのです。」
とラドラム氏は述べました。
「しかし、糖尿病や癌のような病気では、mTORは手に負えない状態になる可能性があります。CCTがmLST8を折りたたむのを止めることができれば、
癌の進行を止めることができると考えます。」
BYUの研究グループは、電子を使う最先端の機器である極低温電子顕微鏡により、複合体を確認することができたスペインの科学者と密に協力し、
研究者にほぼ原子レベルの複合体の外観を提供し、分子レベルで何が起こっているのかを理解することを可能にしています。
【以下のウェブサイトより引用】