うつ症状を和らげることで糖尿病患者はご長寿に
2019年7月3日水曜日(HealthDayニュース) - うつ病を治療することは、糖尿病患者にとっては、長生きするという
追加的な利点があるかもしれません。
台湾からの大規模な新しい研究では、抗うつ薬により、糖尿病やうつ病のある人々の3分の1以上で、
研究期間中の死亡リスクが3分の1以上に減少したことが分かりました。
主任研究者で台湾にあるチャングン大学医学部のヴィンセント・チンフン・チェン教授は、次のように述べています。
「最初の全国的な、集団ベースの研究では、抗うつ薬の使用が、真性糖尿病およびうつ病の患者の間で死亡率が35%と、
有意に減少したことに関連していることを示しました。」
チェン氏によると、この研究は、根本的に何がこういった利益をもたらしたのかについては、捜索されませんでしたが、
過去の研究は、糖尿病やうつ病の人の死亡リスクを抗うつ薬が下げるかもしれないことが示されています。
まず、抗うつ薬は自殺の危険性を下げる可能性があります。 また、これらの薬は気分も改善するため糖尿病管理の改善につながる
可能性があります。
チェン氏によれば、これらの薬には心臓病のような他の病気の危険を減らす可能性のある生物学的効果もあります。
抗うつ薬は体内の炎症を軽減し、血を希釈し、血栓を防ぐのに役立ちます。
米国疾病管理予防センターによると、糖尿病患者はうつ病になる可能性が2〜3倍高くなっています。
しかし、そういった人々の多くは未治療のままです。
CDCは、糖尿病患者の50%から75%がうつ病の治療を受けていないと推定しています。
新しい研究では、新たに糖尿病と診断され、うつ病とも診断された台湾の53,000人以上の人々について調査が行われています。
チェン氏によると、この研究には1型と2型の両方の糖尿病患者が含まれており、調査は2000年から2013年まで実施されました。
チェン氏によると、平均追跡期間は、死亡した人で7年強、死亡しなかった人で10年でした。
この研究の大多数の人々、ちょうど5万人以上が抗うつ薬を使用していました。
抗うつ薬を使用していなかったのは3,000人程度のみでした。
研究者らは、死亡リスクに影響を与える可能性があることを説明するために、データの管理を試みました。
彼らが管理した項目の例としては、他の病気の既往歴、年齢、性別、収入、居住地域、糖尿病の重症度などがありました。
研究者らは、異なるクラスの抗うつ薬で死亡リスクの低下が見られたと述べました。
チェン氏は、この研究は抗うつ薬の使用と死亡リスクの低下との間の関連性が示されたのみだと述べ、
原因と結果を証明することはできませんでした。
モノアミンオキシダーゼA可逆的阻害剤(RIMA)と呼ばれる抗うつ薬の一種は、死亡リスクがほぼ50%高いことと関連していました。
台湾では、このクラスの1つの薬剤、モクロベミドのみが承認されています。
この薬は米国での使用は承認されていません。
チェン氏は、この薬を服用している人の死亡リスクが高い理由は不明であると述べました。
しかし彼は、この薬は通常、より深刻なうつ病を患い他の薬に反応していない人に処方されていると述べました。
アメリカ・ニューヨーク市にある医療技術センターであるNYU Langone Healthの精神科の臨床助教授であるアマンダ・スプレー博士は、
この調査結果が理にかなっていると述べています。
「うつ病は、処方された通りに自分自身の健康を管理したり薬を服用したりすることや、運動や健康的な食事などの健康的なライフスタイルを
変えることを妨げる可能性があります。」
スプレー博士は、この研究による利点がうつ病の改善に由来するのか、または、薬剤治療や、要因の組み合わせによって引き起こされる
生物学的変化によるのもであるのかは、研究からは明らかになっていないものの、心理療法でも同様の利益が得られるという可能性があるのでは
ないかと考えています。
彼女は、糖尿病とうつ病を持つ人々の、抗うつ薬と治療法を比較した研究を見るのは素晴らしいことだと付け加えました。
「私にとって、この研究からの得られた最大課題は、これが精神的健康と身体的健康の絡み合いの一例にすぎないということです。」
とスプレー氏は述べました。
研究著者のチェン氏は、糖尿病患者のスクリーニングとうつ病治療の必要性を強調しています。
この研究はJournal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌に7月2日に掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】