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がんリスクを減らす5つの根拠に基づいた方法

がんはシンガポールにおける最大の死因となっており、2015年以降毎年全体の死因の29%を占めています。

画期的ながん治療の出現にもかかわらず、いくつかのがんは依然として致命的な病気であり、治療費も高価なままです。
これは、ベーコンからウイルスに至るまであらゆるものががんの要因となる可能性があると主張する多くのニュース報道と相まって、この消耗性疾患からどのようにして身を守れば良いのかと、絶望的な気分になるかもしれません。

しかし、研究では数種類のがん発症リスクを下げるためにできることがいくつかあることが示されています。

以下に、5つのがん予防法記載しました。


- 禁煙により致命的ながんのリスクを低下できる
喫煙は命を脅かす多くの病気を引き起こすものとして最も良く知られた原因の一つです。
このため、シンガポールでは喫煙を減らすためのあらゆる努力を講じており、かなりの成功を収めています。
成人人口の13%しか喫煙しておらず、これは先進国で最も喫煙率が低い部類に入ります。

タバコには、肺だけでなく、口や胃、血流、食道にも影響を与える数十種類の発がん性化学物質が含まれています。

研究では、喫煙と様々ながんの発症との間に強い相関関係が示されています。
がんの原因と考えられているタバコの煙に含まれる主な発がん性物質は、多環芳香族炭化水素(PAH)とニトロソアミンです。
PAHは、石炭や石油、ゴミなどが燃やされた際に形成される化合物と全く同じものです。

さらに、上海コホート研究の研究者らは、成人男性喫煙者におけるニトロソアミンによる試験を行ったことで、これらの化合物は食道がん及び肺がんリスクの増加と関連していることを見出しました。
したがって、喫煙しないことによりこれらの化合物の摂取量が減り、これらの種類のがん発症リスクを下げることにつながる可能性があります。


- アルコールの制限により、口腔、肝臓、直腸、結腸がんリスクを減らす
喫煙と同様、アルコール摂取とがんリスクには強い関連があります。

多くの疫学的研究では、大量のアルコール摂取と口腔がん、肝臓がん、直腸がん、および結腸がんとの間の因果関係が示されています。
例えば、一日に50g以上(約5スタンダードドリンク相当)のアルコールを摂取すると、がん発症リスクが2~3倍に増加します。

このような驚くべき数字にもかかわらず、アルコール消費はシンガポールで増加しています。
シンガポールにおけるアルコール乱用の生涯罹患率は、2010年の3.1%から2016年には4.1%に増加しました。
これは、アルコールとがんの関係を考えると憂慮すべき傾向です。

アルコールががんを引き起こす主な原因は、身体がアルコールを代謝する方法に起因しています。
体がアルコールを分解すると、それは最終的にアセトアルデヒドに変換されます。
アセトアルデヒドは有毒で発がん性があり変異原性のある化合物であり、これはタンパク質やDNAに損傷を与え、がん性の細胞変異を引き起こす可能性があります。

さらに、アルコールによる影響は長時間持続します。
研究では、飲酒を止めた後でも、がんリスクは10年以上の間、アルコールを摂取したことのない人と同レベルまで減少することはなかったことが示されています。
これは、禁煙により血圧や血行の改善などの健康効果がすぐに表れる喫煙とは対照的です。

ストレスの多い仕事後には飲みに行きたくなるかもしれませんが、代わりにノンアルコールドリンクを飲むことで長期的には良い効果が得られるでしょう。
どうしても飲む必要がある場合、毎日の推奨量を守ることお勧めしま。
それだけでなく、飲酒量を減らすことは大きな経済的利益にもつながります。
私たちが行った調査では、飲みに行く回数を半分に減らすだけで、年間約1,500シンガポールドル(約12万円)の節約となることがわかりました。


- 健康的な体重を維持することで、数種類のがんリスクが減少する
肥満は、心臓病からがんに至るまで、無数の健康問題を引き起こします。
しかし、世界中で肥満が増加していることから、今まで以上に健康的な体重維持の重要性を強調することが重要になっています。

疫学的研究では、太りすぎまたは肥満の人は、結腸や子宮内膜、腎臓、肝臓、胆嚢、非ホジキンリンパ腫、白血病、膵臓がんのリスクが高い可能性が示されています。
これはなぜなのでしょうか?
過剰な体脂肪は、慢性的な炎症やインスリン抵抗性、ホルモンの変化につながり、これらは全て腫瘍の増殖リスクを高める可能性があるのです。
例えば、フラミンガム心臓研究による研究では、太りすぎの人は、胴囲が正常値の人と比較して、結腸がんを発症するリスクが50~250%高くなることが示されています。

太りすぎとなるリスクがある場合、野菜や果物の摂取量を増やし、加工肉を魚や鶏むね肉などの脂肪分の少ないタンパク質と置き換え、砂糖の摂取量を減らすことで食事を改善することをお勧めします。

また、ジムのクラスに参加したり、散歩に出かけるなどして、毎日の活動量を増やすことを検討すべきでしょう。
推奨運動量を達成するためには、わざわざ豪華なフィットネスジムに通う必要はありません。
シンガポールには、月々たったの133シンガポールドル(約1万500円)から始められる手頃な価格のジムがたくさんあります。
これらのジムには、高級フィットネスジムと同じような装置やクラスが設置されています。


- カリフラワーは数種類のがんリスクを低下させる可能性
子供のころ、無理やり野菜を食べさせられるのは拷問のように感じたかもしれませんが、あなたの両親は心からあなたの為を思ってくれていたのです。
ブロッコリー、チンゲン菜、ケール、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜は、栄養がたっぷり詰まっているだけでなく、ホルモン感受性のがんリスクを下げる可能性があることが示されています。

アブラナ科の野菜(CF)には、健康に欠かせないビタミンが含まれているだけでなく、強い抗がん作用を持つ可能性のある化合物も含まれています。
これらの化合物には、プログラム細胞死の誘発や発がん物質の不活化、DNA損傷からの細胞保護に役立つ、I3Cやスルフォラファンが含まれます。

しかし、結果は概して良好ではあるものの、全てのがんに対する決定的な証拠を見つけるためにはさらなる研究を行う必要があります。
例えば、ある研究では、CFをたくさん摂取した人にがんリスクの軽減は見られなかったものの、野菜の摂取量が非常に少なかった人においては大腸がんリスクの増加が示されています。

とは言え、ブラナ科野菜の効果を確認するための研究が行われている間、食事にこれらの野菜を取り入れることで、全体的な健康を改善し、ある種のがんリスクを軽減する可能性を示めす証拠は十分に存在しています。


- 亜麻仁(フラックス)は、閉経した女性の乳がんリスクを低下させる可能性
食品販売業者は、ニキビからがんまで全てを完治することを約束する「スーパーフード」を推進することにより、近年の健康志向のトレンドによる利益を長い間教授してきました。
しかし、どの食品も、病気を治療または予防できることを証明する決定的な証拠はまだ存在していません。

それにもかかわらず、とあるがんに関する研究では、特定の食品に含まれる化合物のがん細胞の相互作用において、有望な結果が示されました。
例えば亜麻仁(フラックス)は、乳がんリスクを減少する見込みがある食品の一つです。

いくつかの動物実験では、亜麻仁はヒトの乳がん細胞の成長や増殖を減らす可能性があることがわかりました。
これは、亜麻仁がリグナン(secoisolariciresinol diglucoside、SDG)を含むことに由来していると考えられています。

リグナンは、エストロゲン代謝を変化させ、ダメージを受けた細胞が増殖する可能性を減らすことにより、腫瘍の増殖を妨げる可能性のある植物化合物です。
さらに亜麻仁は、抗がん剤を服用している人が食事に追加すると効果的である可能性があります。
トロント大学の研究では、タモキシフェン(乳がん治療薬)と亜麻仁入りの食事を組み合わせると、タモキシフェン単独で使用した場合よりも、マウスのヒト乳癌細胞の増殖をより効果的に阻害することが示されました。

しかし、亜麻仁の研究で示される有望な結果は、動物に対してだけではありません。臨床研究では、閉経後の女性や過体重の閉経前女性がリグナンが豊富に含まれる食事を摂ったところ、乳がんリスクの減少が見られました。
さらに、とある二重盲検臨床試験では、乳がんを患う閉経後の女性が亜麻仁を摂取したところ、がん細胞の死滅率が増加し、腫瘍細胞の増殖が減少したことも明らかになりました。

したがって、これらの研究は、リグナンが豊富な食品は閉経後の女性の乳がんリスク低下と関連し、ヒトの乳がん細胞の増殖を抑える可能性があることを示しています。
しかし、他の食品と同様に、リグナンとがんリスクの関連を明確に証明するためには、さらなる臨床試験の実施が必要です。
また、亜麻仁は食べ過ぎないように注意し、に1日当たり大さじ2〜3杯の推奨量を目安にしてください。


- 注意事項
がんに関する知識は未だ限られており、がんリスクを明確に測ることは困難であるため、がんリスクの軽減方法は未だ調査中です。
したがって、喫煙とアルコール摂取を除いて、前述の予防法はガイドライン、及び健康的で活動的なライフスタイルの一部として使用されるべきです。

食事や運動方法を大幅に変える前に、かかりつけの医師に相談し、その変更方法が自分に合っているかどうかを確認しましょう。
さらに、がんの治療費は非常に高額であり、年間10万シンガポールドル(約800万円)以上の費用がかかります
そのため、定期的ながん検査を受け、診断を受けた場合の経済的打撃を回避するため、包括的な健康保険への加入を検討すべきです。

概して、その他ほとんどの病気と同様に、病気を予防することが健康的にも経済的にも最善の方法となります。

出典:2019年6月17日更新 Asia One 『5 evidence-backed ways to reduce risk of cancer』 (2019年6月19日に利用)
https://www.asiaone.com/lifestyle/5-evidence-backed-ways-reduce-risk-cancer