ご安心を!一般的な糖尿病薬の服用で骨は傷つかず
これまでの研究では、インボカーナ、フォシーガ、ジャディアンスなどのGLT-2阻害剤と呼ばれる種類の薬が骨に害を及ぼす可能性があることが示唆されていましたが、新しい研究ではそういったリスクがないことが示されました。
2019年1月3日 - 2型糖尿病を患っていて、血糖値をコントロールするためにカナグリフロジンを服用している方にとって、この薬により骨折のリスクを高めないといった新しい研究報告は朗報です。
以前よりこれが事実である可能性を研究では示唆していました。
「骨折の危険性が高まったという無作為化試験が1件あり、また、そうではないといった別の無作為化試験があったため、この研究を実施することに興味がありました。
そこで、私たちは2型糖尿病に罹患している約20万人を対象とした調査を実施しました。」と研究著者のマイケル・フラリック博士は述べました。
「これらの調査結果が患者さんや医師にとって安心できるものであることを願っています。なぜなら、これらの薬は、2型糖尿病の大ヒット薬であるためです。このクラスの医薬品は、血糖値を改善し、心疾患のリスクを減らすことに役立ちます。」とフラリック博士は述べました。
彼は、ボストンにあるブリガムアンドウィメンズ病院において薬物疫学と薬経済学を専門としており、また、トロント大学の一般内科医でもあります。
カナグリフロジン(インボカーナ、インボカメット)は、SGLT-2阻害薬と呼ばれるクラスの薬物の1つです。
このクラスの他の薬剤としてはダパグリフロジン(フォシーガ)とエンパグリフロジン(ジャディアンス)があります。
米国食品医薬品局(FDA)によれば、これらの薬剤は腎臓で血液から余分な糖を取り除き、それを尿を通して排出させ、血糖値を下げます。
このクラスの薬は腎臓の損傷や深刻な性器感染症を含む多くの合併症に関連しています。
フラリック博士は、これらの薬が骨折の危険性を高める可能性があるといった理由の一つに骨密度を下げるといったことがあると述べました。
この研究に付随する論説の執筆者であるウィリアム・レスリー博士は、脱水というのがこれらの薬が骨折の危険性と関連している可能性がある別の理由である可能性を示唆しました。
レスリー博士は、カナダのマニトバ大学の医学部および放射線科の教授です。
新しい報告では、フラリック博士と彼の研究チームは2つの米国の商業ヘルスケアデータベースからのデータを精査しました。
彼らは、2つの異なる2型糖尿病薬のうちの1つ、カナグリフロジンまたはGLP-1作動薬と呼ばれる薬の中の1つを服用し始めている約2万人の2型糖尿病患者に関する情報を見つけました。
これらの薬は、骨折リスクの増加とは関連がありません。
研究者たちは、上腕と下腕、ならびに腰と骨盤の骨折について調査を行いました。
結局、研究チームはカナグリフロジンを服用している約8万人をGLP-1受容体作動薬で治療されている約8万人と比較しました。
患者の平均年齢は55歳で、そのうち約48%が女性でした。
この研究は、これらの低リスクの中年集団においても同様に骨折のリスクが示されました。
フラリック博士とレスリー博士の両方は、高齢者のように骨折のリスクがより高い人々での調査結果はまだ出ていないと述べました。
この研究は「比較的リスクの低い集団での調査ですが、よりリスクの高い集団についてはどうでしょうか。さらなる安全性データが必要となります。」とレスリー博士は述べています。
米国食品医薬品局は現在、潜在的な骨折の危険性について警告を表示するようにカナグリフロジンのラベルの変更を要求していますが、フラリック博士は、特に骨折の危険性が高い人々のためにラベルを変更するには早すぎるかもしれないと述べました。
両方の専門家はともにより多くの研究が必要であると述べました。
さしあたって、カナグリフロジンの服用を心配しているのなら医師へ相談すべきだとフラリック博士は勧めています。
しかし、彼は、「ベースラインでのリスクが高くない人々にとって、骨折のリスクは非常に小さく、SGLT-2を服用することの明確なメリットがその潜在的なリスクを上回ります。」と付け加えました。
この調査結果は2019年1月1日、『Annals of Internal Medicine』のオンライン版で掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】