その薬、本当に期限切れですか?
1979年以来、米国食品医薬品局(FDA)は製薬会社が処方薬と市販薬に有効期限を設定することを要求してきました。
それはあなたのイブプロフェンが、例えば箱入りの牛乳と同じように有効期限を過ぎると悪くなるという意味ではありません。
薬瓶に印刷されている日付は、その薬の製造元がその薬の安全性と効力を完全に保証するまでの日数です。
しかしながら、実際にどれだけの期間、薬が安全で効果的なままであるかについては、しばしば議論の余地があります。
インスリン、ニトログリセリン、液体の抗生物質などは、有効成分の経時安定性が低いことで知られていますが、多くの薬はそれらのラベルが示すよりはるかに長い有効期限があります。
しかし、誰もがその事実を知っているわけではないため、毒物管理センターでは、時折、期限切れの薬を服用してしまい心配だという人々から
電話を受けることがあると、カリフォルニア・ポイズンコントロールシステムのサンディエゴ地域部長である、リー・カントレル氏は述べました。
「前回も確認しましたが、査読付きの文書で、”期限切れの薬が人に問題を引き起こした” と報告しているのを見たことがありません。」
とカントレル氏は当誌に語りました。
しかしながら、薬の有効性は時間の経過とともに低下する可能性があるものの、この問題に関する研究がほとんどないと彼は言います。
それは数年前のこと。
カントレル氏は薬局の在庫置き場にある抗ヒスタミン薬、鎮痛剤、ダイエット薬などの古い薬を調べるという、珍しい機会に恵まれました。
「私たちは、製造日から40年以上経ったこれらの薬の中には、まだ十分な効力を保持しているものがあることを見出しました。」
とカントレル氏は述べました。
その研究は、2012年にジャーナル『JAMA Internal Medicine』に掲載されました。
研究の中で、カントレル氏は、命を脅かすアレルギー反応を治療するために使用される、高価なペン型自動注射器であるエピペン(EpiPen)が、
有効期限を4年以上、経過してもその効力の84%を維持しており、緊急時には、何もないよりはましである程度に、期限切れのエピペンは使用できることを示唆しています。
カントレル氏の見解では、製薬会社は、薬の効力について長期的な研究をするための資金がある唯一の会社です。
「しかし、彼らがそれを行うことでによる利益は全くありません。」
連邦政府は、しかし、薬の有効期間を研究することに対して経済的に推奨しています。
米国はテロ攻撃や病気の発生のような緊急事態の場合に必要とされるかもしれない薬を備蓄しています。
1986年に、FDAと米国国防総省は、この備蓄の期限切れの薬を交換する費用を節約するための対策としてShelf-Life
Extension Program(SLEP)を
開始しました。
2006年のSLEPでは、理想的な条件下で保管されていた122種類の薬剤がテストされ、その結果、備蓄中の大部分の薬剤の有効期限が平均約4年間延長されました。
非営利の独立系報道機関である、ProPublicaの調査によると、SLEPは2016年に備蓄品の有効期限切れの薬を交換するために費やされたであろう
21億ドルの節約に貢献したことを国防総省が報告しています。
そうだとしても、FDAはなおも期限切れの薬を服用することを、消費者に対して警告しています。
「期限切れの薬は細菌増殖の危険性があり、効力の低い抗生物質は感染症の治療に失敗し、
より深刻な病気や抗生物質耐性につながる可能性があります。」
と、FDAはウェブサイト上で警告してます。
特定の期限切れの薬についての質問がある場合は、薬剤師か医師へ確認するのが最も良い方法です。
FDAはまた、薬剤の乱用を防ぐために、未使用で期限切れとなった薬品を米国医薬品取締局(DEA)が主催する、
全国処方薬回収期間(the
National Prescription Drug Take-Back days)の際に持ち込むことを奨励しています。
ホワイトハウスでは、2018年にこれらの出来事で、約370万ポンドの未使用および期限切れの処方薬の回収という「記録を打ち破った」
と声高に述べられています。
しかしトランプ政権がその高い数字で勝利を目にしている間にも、他の国民は、確実に大量の医薬品廃棄物を目にしているでしょう。
【以下のウェブサイトより引用】