なぜ花粉量よりも花粉の種類が重要であるのか
冬が終わり、気温が上昇して日が長くなり、植物の開花が始まると、世界中で4億人近くの人が草木や雑草から発生する空中花粉によるアレルギー反応に苦しむことになります。眼のかゆみや鼻詰まり、くしゃみなどの症状から、喘息の悪化、10億ドルにも上る社会の経済的負担まで、幅広い影響が出ます。
花粉の種類による影響
花粉量と予測の精度を向上させるために、イギリスでは草花粉の種類を区別するための新しいプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトの目的は、草の開花期を通してイギリス全土に存在する花粉の種類を調べることです。アレルギーを引き起こす木や雑草の花粉の多くは顕微鏡によって識別することができますが、残念ながら草花粉は識別することができません。草花粉粒は顕微鏡で見た時、見た目が非常に似ているためです。これは、視覚的な観察により草花粉の種類を日常的に識別することはほぼ不可能であることを意味します。そのためここ数年間に、私たちの研究チームPollerGENは、分子遺伝学を含む新しいアプローチによって、空中の異なる草花粉を識別することができるかどうかを調査しています。
開花シーズンの特性
収集した花粉をイギリスの植物DNAバーコードライブラリー(草種のDNAデータベース)のサンプルと比較することによって、複雑に混ざり合った空中花粉から、異なる種類の草花粉を識別することができました。これにより、草の開花時期を通してイギリスに存在する様々な種類の草花粉の分布を視覚化することが可能になりました。花粉の移動性や開花時期が種類によって異なることから、空中に含まれる花粉の種類の割合は非常に多様で偶然性のあるものであるという可能性がありました。しかし、私たちが新たに発表した研究では、この可能性は否定されました。
花粉の対策と治療法
この研究は、植物に関する理解度を深める以上に需要です。私たちの身に起こっている現象は、同じ市販薬が開花シーズンを通して同じ効果をもたらさないことを示しています。そのため、特定の種類の草花粉は、他の種類の草花粉よりも強くアレルギー性疾患に寄与している可能性があります。症状が特に悪化する時、そのアレルギー症状は花粉量だけでなく、花粉の種類によっても引き起こされているのです。花粉症の症状を軽減するためには、マスクの着用や屋内での活動を増やすなどの対策が有効です。また、抗ヒスタミン剤やセチリジンなどの薬物療法も効果的ですが、副作用として眠気が出ることがあります。ジェネリック医薬品も市場に出ており、費用対効果の面でも検討されるべきです。
出典:2019年4月29日更新 Independent 『Why pollen type is more important than pollen count』(2019年6月13日に利用)
https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/pollen-type-allergy-sufferers-grass-hayfever-count-hayfever-spring-a8884901.html
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