はしかの流行:医師は両親に対し子供たちへの予防接種を促す
新たな麻疹(はしか)の流行により、多くの州で子供たちが危険にさらされています。
ここでは、子供を麻疹から守る方法をご紹介します。
ニューヨーク州は現在危機に瀕しています。
2018年9月以来、170件の麻疹が報告されており、これが過去数十年で最大の麻疹の流行となっています。
しかし、これまでワクチンで予防措置が取られてきたこの病気の復活がみられるのはニューヨークだけではありません。
CDC(疾病管理予防センター)によると、昨年だけでも、全米17か所で流行がありました。
原因
アメリカ小児科学会のスポークスマンである、ノースウェスタン大学ファインバーグ医科大学院の小児科の臨床助教授であるアンドリュー・バーンスタイン博士は、これらの最近の集団感染の原因については、疑いの余地はないと本誌に語りました。
「はしかが復活した理由は1つだけです。それは人々が予防接種を受けないためです。」
と彼は述べました。
ワシントン大学医学部の小児感染症部門の助教授でシアトル小児病院のサラ・バルガヴァ・ヴォラ博士も同意しています。
「これらの集団発生において、麻疹を発症する人の大多数はワクチンの接種を受けていません。」
「米国では全体的な予防接種率は依然として高いものの、残念ながら予防接種を躊躇している両親など様々な理由により免除され、予防接種を受けていない子供たちがいます。
最近の流行が発生しているニューヨークでは、私立学校のシステムによる報告では予防接種率が50%と報告されている地域があり、この地域がこの病気の蔓延の影響を特に受けやすくなっています。」
「だからこそ、できるだけ多くの人々に予防接種を受けてもらわなければなりません。」
とバーンスタイン博士は言います。
予防接種スケジュールの前倒し
ニューヨークは現在、この行動計画を非常に真剣に受け止めており、乳児が最初にMMR(はしか、おたふく風邪、風疹)ワクチンを接種する年齢を満1歳ではなく月齢6ヵ月に、そしてそれから数か月以内に2番目の予防接種(標準的な予防接種スケジュールでは4歳までの摂取が推奨)を推奨しています。
こういった大規模な流行に直面しても、できるだけ多くの子供たちを保護しようという試みなのです。
一部の親はこの予防接種スケジュールの前倒しについては心配するかもしれません。
しかしヴォラ博士は恐れることはないと言います。
「生後6ヶ月という早い時期にはしかの予防接種を受けることでのリスクはありません。私たちはまた、最初の投与から1ヵ月後という早い時期に2回目の投与をしても安全であることを確認しています。」
と彼女は述べました。
利益と危険性
CDCによると、MMRワクチンの一般的な副作用は、発作後の腕の痛みから発熱、一時的な痛みや発疹など比較的軽度です。
しかし、麻疹にかかってしまう危険性ははるかに深刻です。
「はしかの最大のリスクは、脳炎、脳の感染症、そして死んでしまう可能性もあるということです。」
とバーンスタイン博士は説明しています。
「死亡率はわずかですが、その1000人に1人があなただとしたら、それは耐えられないでしょう。」
ヴォラ博士は、麻疹の症状を以下のように列挙しながら詳述しました。
- 高熱
- 咳
- 鼻水や目の充血(結膜炎)
- 全身発疹
また、下記のような合併症が発生することがあります。
- 永久的な難聴を引き起こす可能性がある耳の感染症
- 子供のはしかによって引き起こされる最も一般的な死因である肺感染症
- 発作や長期的な認知障害を引き起こす可能性のある脳炎(脳の炎症)
「麻疹にかかった患者1000人のうち1人か2人が死亡するでしょう。」
とヴォラ博士は説明しました。
「長期の合併症はまれですが、SSPEと呼ばれる致命的な変性脳の症状や、男性の不妊を引き起こす可能性があります。」
ワクチンの危険性について尋ねられたときバーンスタイン博士は、次のように述べました。
「発熱、発疹、そして、一時的な痛み以外にMMRワクチンによるものと証明されている副作用はありません。しかし、まれなリスクがあったとしても、ワクチンを接種する利点ははるかにそれを上回っています。」
彼は数字を使って、その点を強調し、こう述べました。
「理論的には1,000万人にひとりがワクチンの接種でうまくいかなかったとしたら、それは恐ろしいことです。そう考えると、どうしてそうなってしまったのかを発見し、それを予防するようにしなければなりません。
しかし、もし、予防接種の1000万分の1のリスクと、病気にかかった場合に死亡するリスクが1000分の1であるという比べ方をするというのは良いやり取りではありません。」
なぜ両親は消極的なのか
それにもかかわらず、多くの親が子供の予防接種を拒否し、そしてその結果、症例が増えています。
「インターネット上には大量の誤った情報があり、エコーチャンバー現象が発生します。」
とバーンスタイン博士は指摘しました。
「人々はすでに同意している他の人々と話をします。彼らが悪いとは思いません。彼らは自分の子供に最適だと思うことをやろうとしているのです。しかし、彼らには、何が起こっているのかを理解するための科学的理解や医学的背景がありません。」
博士は益々、声を強め、こう続けました。
「私は息子が水疱瘡で亡くなっていった母親の手を握りました。水痘党を宣伝する人々は私が見たものを見ておらず、私が行った研究をしていません。」
予防接種を拒否し、診察を止めるように伝えてきた家族に対し予防接種を強く勧めることに彼は熱心に取り組んでいます。
「米国小児科学会は、正式に、小児科医が予防接種を受けていない患者の診療を止めることを推奨していません。彼らは医師がそういった家族へ継続して話をしてほしいと思っています。
それが私がメディアへの働きかけて行おうとしていることです。しかし…他の患者を危険にさらすこともできません。」
と彼は説明しました。
集団免疫
予防接種を受けたとしても、依然として感染の危険がある可能性について混乱している人々のために、バーンスタイン博士は、人口の約5〜7%の人には、予防接種は有効ではないと説明しました。
彼はまた、予防接種を受けられない免疫不全患者や乳児がいることも指摘しました。
「だからこそ、集団免疫がとても重要なのです。誰もがワクチンによって保護されるわけではないとしても、十分に保護されている人がいれば、ウイルスはその地域において感染の足掛かりを得ることはできません。」
と彼は言います。
これについて、
ヴォラ博士は同意しています。
彼女が本誌の読者に伝えたがっていた1つのメッセージはこういう事でした。
「この深刻な感染を防ぐためには、十分に予防接種を受けてください。 ワクチンは現代において唯一の最も重要な公衆衛生への介入です。 私たちがここ数十年間で幸運にも平均寿命が延びているという事実の主な理由のひとつなのです。」
子供が予防接種を完全に受けているかどうか、あるいはワクチン接種や最近の麻疹の流行についての懸念がある場合は、子供がかかりつけの小児科医に連絡してください。
彼らはどんな質問にでも答えることができますし、一歩前進するための後押しをしてくれます。
【以下のウェブサイトより引用】