アトルバスタチンは双極性障害および抑うつ障害の認知力や気分に影響しない
Journal of Affective Disorders誌に発表された研究結果によると、アトルバスタチンの使用は、双極性障害または大うつ病性障害(MDD)およびリチウム誘発性腎性尿崩症の患者の認知と気分に影響を与えませんでした。
研究者らは、認知症状または気分症状とスタチンとの関連の可能性を解こうとしました。
カナダのケベック州モントリオールにあるマギル大学のジョセリン・フォッソ・ソー氏、アフマド・アルマダニ氏と彼らの同僚は、双極性障害(n = 54)またはMDD(n = 6)の患者においてリチウム誘発性尿崩症の治療での、アトルバスタチンの効果を調査したランダム化比較試験のデータの二次分析を実施しました。
試験参加者は、アトルバスタチン(n = 27)またはプラセボ(n = 33)のいずれかを合計12週間投与するよう無作為に割り付けられました。
アトルバスタチンは、試験期間中、1日20 mgが投与されました。
この分析では、測定された主要エンドポイントは、『グローバル認知Zスコア』でした。
主要な気分エンドポイントは、MADRS (Montgomery Asbergうつ病評価尺度)を使用して測定された12週間でのうつ病の再発でした。
研究者らは、12週間でアトルバスタチン群とプラセボ群の間でグローバル認知Zスコアまたはうつ病の再発に有意な差がないことを発見しました(それぞれP = 0.91およびP = 0.70)。
さらに、実行機能と二次的認知または気分尺度の複合スコアに有意差は認められませんでした。
回帰分析では、重要な所見はなく、双極性障害サブグループの二次分析も同様にありませんでした。
否定的な結果となったにもかかわらず、研究者らは、この集団の心血管予防に対するスタチンの利点について強調しました。
この研究の重要な制限の1つは、統計設計力が不足していることでした。
その結果、気分転帰に対するアトルバスタチンのわずかな影響が検出されない可能性がありました。
MDD患者のサンプルも非常に少ないものでした。
「これらの調査結果は双極性障害とMDDの患者の治療に当たる臨床医にとっては、興味深いものです。既存の文献では、双極性障害とMDDの患者でスタチンを使用することは恐らく安全です。」
と、調査に当たった研究者らは結論付けました。
【以下のリンクより引用】
Atorvastatin Does Not Influence Cognition or Mood in Bipolar and Depressive Disorders
Cardiology Advisor