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アルコール中毒は精神状態を変化させる。乱用者に医療支援が必要な理由

アルコール中毒は脳機能全体を変化させることで、乱用者の禁酒が困難になります。
これは、アルコール依存症患者が禁酒を試みると、脳の活動が急上昇し、認知機能障害や強い欲求が起こることが理由です。
科学者は、これは脳のモジュール性低下に起因していると考えています。

脳のモジュール性起因説は、脳の部位ごとに作用目的が異なることを示唆しています。
モジュール性が低下すると、脳の混乱を引き起こすことがあり、これにより認知機能の低下や感情障害、中毒物質に対する強い欲求が起こります。

米国にあるカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者らは、高度な脳スキャンを利用することでこの調査結果に至り、脳内でこのような変化が起こる作用秩序について新しい「経路」を提案しました。
彼らの調査結果は1月14日に、アメリカの査読付き学術誌Proceedings of the National Academy of Science(PNAS)にて発表されました。


<脳内の変化>
脳の一部である扁桃体(恐怖などの感情センター)や前頭前野が依存症の形成に関与していることは、長い間知られてきました。
しかしこの研究では、今まで明らかになっていなかった、依存症に関連する脳の部分についても解明されました。

この研究では高度な脳イメージング技術を使用し、単細胞レベルでの変化を調べました。
アルコール依存症のマウスの脳スキャンでは、アルコールの欠乏時にモジュール性が低下し、全体的な脳活動が急上昇する様子が見られました。
 この変化は、飲酒をしないマウスや、適量飲酒するマウスには見られませんでした。

実際、研究者は、アルコール依存症マウスにおける脳構造の変化は、アルツハイマー病や頭部外傷、発作性疾患による深刻な認知機能低下を患うマウスのものに匹敵していたと記述しています。

調査結果は、アルコール依存症は単に心理的やライフスタイルの選択によって発生する訳ではないという、科学界の認識を裏付けています。

アルコール依存がある脳は、適度に飲酒する者や全く飲酒しない者との脳とは対照的に、大きく変化しており、アルコールを絶つことが著しく困難であるようです。

研究者はまた、脳の特定の部分に注目することは重要である一方、構造全体の変化を見逃してはならないとコメントしています。
モジュール性の低下が不可逆性であるかどうかは、この研究では調査がされなかったため、まだ判っていません。
またこの研究では、中毒がいつ始まり、問題となるのかという疑問も生じました。

アルコール依存症の謎が部分的に解明されることで、将来的な禁酒プログラムや医療介入の計画に役立ちます。
加えて、これまでは認識されていなかった脳の部分の関与が明らかになったことで、今後の研究促進に繋がります。
脳の複雑さとサイズを考慮すると、これらの画像スキャンを人間に行うことはまだ不可能です。
しかし、これは依然として価値のある発見であり、研究者はコカインやニコチン、メタンフェタミン等他の薬物が関与する依存症にも調査を拡大したいと考えています。

出典 2020年1月15日更新 Firstpost『Alcohol addiction alters the mind. Here's why overusers need medical help』(2020年1月22日に利用)
https://www.firstpost.com/health/alcohol-addiction-alters-the-mind-heres-why-overusers-need-medical-...