アルコール使用量を測定する血液検査で出血性脳卒中のリスクが予測可能
2020年6月16日(アメリカ心臓協会ニュース)- 新しい研究によると大量にアルコールを摂取する人は、ほとんど、または、全く飲酒しない人と比較して、致命的なタイプの脳卒中を経験する確率が5倍近くあります。
しかし、研究者たちは、自己申告によるアルコールの摂取に依存せず、むしろ、彼らはホスファチジルエタノール(PEth)の血中濃度について調べました。
これは、過去1か月間のアルコール消費を反映するバイオマーカーです。
米国心臓協会の協会誌『Stroke』に掲載されたこの研究には、スウェーデン在住の277人の中年男性と女性が含まれていました。
22年間の研究中に脳出血(ICH)を発生する確率は、PEthの血中濃度が最も高い人のほうが、最も低い人より5倍近く高かった事がわかりました。
ICHは、脳の出血につながる血管の破裂によって引き起こされる脳卒中の一種です。
脳卒中は平均して、この血液検査から7年以内に発生しました。
PEthの測定値は、飲酒の頻度や量を示すものではなく、最近、数週間にシステムにアルコールが含まれていたかどうかのみを示します。
研究者はPEthの結果を使用して、研究参加者をグループに分けました。
飲酒をする人へは、AHAは男性で1日グラス1杯〜2杯、女性では1日1杯を推奨しています。
「私たちは、高いアルコール消費量がICHのリスクを予測するとは考えていましたが、リスクの増加の大きさに驚きました。」
と、研究の筆頭著者であるスウェーデンにあるウメオ大学のクリスティーナ・ヨハンソン博士は述べました。
「私はまた、バイオマーカー『PEth』がアンケートで測定されたアルコール消費量と比較して、ICHのリスクを予測するのにはるかに優れていたことにも驚いています。」
と彼女は言った。
アルコールの消費をICHのリスクの増加に関連付ける以前の研究では、自己申告によるアルコールの使用に依存してきました。
しかし、新しい研究では、自己申告によるアルコールの使用が、将来の脳卒中のリスクを予測するのに効果的ではないことがわかりました。
「自己申告では、患者は日常的な飲酒の量を過少報告する傾向があります。」
とボストン大学医学部の神経学の助教授であり、フラミンガム心臓研究の研究者である、
ヒューゴ・J・アパリシオ博士は述べました。
彼はこの研究には関与していませんでした。
「これは比較的小規模な研究ですが、彼らの調査結果は、飲酒量の高さがICHのリスクの高さに関連していることを裏付けています。私たちは、より個別化された医療に移行しつつありますので、このバイオマーカーは人々にリスクの評価を助ける役割を果たす可能性があります。」
と彼は述べました。
ICHは米国で2番目に一般的なタイプの脳卒中です。脳卒中から1か月以内の推定死亡率は約40%です。
また、生還した人への重度の障害を引き起こす可能性もあります。
アパリシオ氏は、バイオマーカーではわからないことが1つあり、それは、その人が飲みすぎであるのか、もしくは、慢性的な飲酒の習慣があるのかについてだと警告しました。
「バイオマーカーでそれほど多くはわかりません。人が飲んでいるアルコールの種類や飲酒のパターンについては表示されないのです。」
ヨハンソン氏は、アルコール摂取について患者に尋ねるだけでなく、バイオマーカーを使用することで、医師が誰かの疾患リスクについて貴重な情報を得ることができると述べました。
「PEth分析は定期的な健康診断の一部である可能性があります。」
「医療提供者は患者のPEthレベルを出発点として、大量飲酒により起こり得る影響を議論するためには使用できます。ライフスタイルの変化について話し合ったり、ICHの他の危険因子(高血圧など)を治療するときには、患者と医療提供者の両方にとって重要となります。」
アパリシオ氏は、鍵となるのは医師と患者の会話だと述べました。
「プライマリケアの提供者と良好な関係があれば、飲酒習慣についてより親しく話し合うことができるかもしれません。質のよい診察とその面談に費やす時間も同様に重要です。」
【以下のリンクより引用】
AHA News: Blood Test That Measures Alcohol Use May Predict Risk for Bleeding Strokes
Healthday