アルツハイマー病の患者を「ステージで分類」するための新しくより良い方法
2019年7月17日(HealthDay News) - アルツハイマー病の顕著な特徴の1つは、脳内のβアミロイド斑の蓄積ですが、
これらの斑が疾患の発症に果たす役割は明らかではありません。
研究者たちは、存命中の患者においてプラークの蓄積の進行を追跡するための第一歩を踏み出しました。
この病気の「ステージ分類」は研究にとっては意味があり、いつか医師がこの精神が衰弱してゆく致命的な病気の治療を助けるかもしれません。
スウェーデンのルンド大学の臨床神経科学准教授である主任研究者のニクラス・マットソン博士は、次のように述べています。
「PETスキャンを使用して、ベータアミロイド沈着がどれほど進行しているかという観点から、個人をステージ分類することは可能です。」
βアミロイドが現れると、それは特定の段階をたどると彼は説明しました。
いくつかの脳領域は早期に関与し、他は中期段階に関与します。そしていくつかは後期のアルツハイマー病に関与しています。
「これらの病状のステージは、別の種類のタンパク質である脳脊髄液中のタウのレベル、認知機能低下および脳細胞の無駄使いなど、
アルツハイマー病の他の特徴とも関連しています。」
とマットソン博士は付け加えました。
「このステージ分類システムは、特定の薬がアルツハイマー病のどの段階で最も効果的である可能性があるかどうかを確認するために、
研究を改善するために、そしておそらく臨床試験においても使用することができます。」
研究に関わっていないロサンゼルスの南カリフォルニア大学の神経学の助教授であるメレディス・ブラスキー博士は、
アルツハイマー病と診断されたときには、脳はすでに破壊されていると述べました。
この疾患は発症するのに何年もかかるため、早期に診断する方法を見つけることが重要だとブラスキー博士は言います。
プラークに関するほとんどの研究は死んだ人々の脳で行われてきました。
「この研究は、アミロイドが生きている患者の中でどのように広がるかを確認し、そのためのステージを考え出したという点で重要です。」
とブラスキー博士は述べました。
今日のアルツハイマー病に対する治療法は存在しませんが、この発見は開発された薬のテストにも役立つ可能性があると彼女は述べました。
「しかし、これは患者のケアとは直接関係がありません。治療効果が出ているかどうかを調べることが研究にとってより重要です。」
この研究のためにマットソン博士と彼のグループは、アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブデータベース
(Alzheimer's
Disease Neuroimaging Initiative database)でのPETスキャンのデータを使用しました。
741人の参加者のうち、304人に認知障害がなく、384人に軽度の認知障害があり、そして53人はアルツハイマー病がでした。
患者は2年後、4年後、6年後に追跡調査が行われました。
調査の開始時には、2,072件の検査データのうちの約98%がステージがつけれれていませんでした。
プラーク発生の初期段階にある人のうち、約15%がよりステージは進んだ可能性が高く、ステージ1が71%、ステージ2が53%でした。
患者がステージ1からステージ2およびステージ3に移行するにつれて、アミロイド斑が脳のより活発な領域で発生したと研究者らは述べました。
興味深いことに、1%近くの患者がステージが逆戻りしたことを研究者らは見出しました。
より進行したステージは、脳脊髄液中のより高濃度のタウに関連していました。
ステージ2においてタウが多いほど、認知機能の低下がより加速したことが示されました。
研究者らは、474人の患者からなる別のグループにおいて彼らの発見を確認することができました。
脳内の患部は各ステージで異なり、遺伝、血液の循環、脳細胞の動きやコレステロール値の違いにも関連していました。
「これらのデータから、アルツハイマー病の診断がアミロイドイメージングによって早期に支持されるほど、
初期に臨床医が薬物療法を開始する可能性が高いことは明らかであると考えています。」とサム・ガンディー博士は述べました。
彼はアルツハイマー病研究の第一人者であり、ニューヨークのマウントシナイ認知医療センターおよびNFL神経治療センターの所長です。
これは、患者が軽度の認知障害を超えて、軽度のアルツハイマー病になるまで薬物療法を開始しないという現在の慣習を
変えるものであると研究に参加していないガンディー博士は述べています。
しかし、ガンディー博士は、軽度の認知障害が始まった時に薬物療法を始めることや、スキャンがプラークを示したときに薬物療法を開始することが、
すべての患者または一部の患者のみに有益であることを確信していません。
また、彼は、ステージ分類システムが、アルツハイマー病に関連する『APOE遺伝子変異』の有無にかかわらず、
同じように機能するかどうかを確認したいと考えています。
「これらのデータは、患者のケアや将来の調査研究を設定する上で何らかの影響を及ぼすでしょう。」
とガンディー博士は述べています。
「実際のこれらの変更が患者にとって有意義な利益をもたらすかどうかは明らかではありません。」
この報告は、ロサンゼルスで開催された『Alzheimer's Association』の年次総会での調査結果の発表と同時に、
7月17日にJAMA Neurology誌に掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】