イベルメクチンとメトロニダゾールで眼瞼炎の治療に成功
イベルメクチンとメトロニダゾールで眼瞼炎の治療に成功
眼科学術誌である『Contact Lens and Anterior Eye』で発表された研究結果によると、イベルメクチンとメトロニダゾール(商標名:フラジール)を組み合わせた局所ジェル薬を用いてニキビダニへの感染による眼瞼炎の治療に成功しました。
イベルメクチンとメトロニダゾールの局所ジェル、ニキビダニ眼瞼炎の新たな治療法として期待
ニキビダニ眼瞼炎、局所ジェル治療の可能性
ニキビダニは、人間の皮膚や毛穴に寄生する微視的なダニです。まぶたにも感染する可能性があり、眼瞼炎を引き起こすことがあります。
現時点では、ニキビダニ眼瞼炎の治療には、全身用抗寄生虫薬や抗菌薬が用いられています。しかし、これらの薬剤には、副作用や耐性の問題があるという課題がありました。
この課題を解決する新たな治療法として、イベルメクチンとメトロニダゾールの局所ジェル薬が注目されています。
イベルメクチンは、寄生虫やマラリアなどの治療に用いられる薬剤です。メトロニダゾールは、細菌や原虫の治療に用いられる薬剤です。
これらの薬剤は、それぞれ単独でもニキビダニ眼瞼炎の治療に効果があるとの報告があります。しかし、単独療法では、ニキビダニの完全な根絶が難しいという問題がありました。
そこで、イベルメクチンとメトロニダゾールを組み合わせた局所ジェル薬の開発が進められました。
イベルメクチンとメトロニダゾールの相乗効果
イベルメクチンは、ニキビダニの細胞膜を破壊することで殺虫作用を発揮します。メトロニダゾールは、ニキビダニの代謝を阻害することで殺虫作用を発揮します。
これらの薬剤を組み合わせることで、相乗効果が期待されます。
具体的には、イベルメクチンがニキビダニの細胞膜を破壊することで、メトロニダゾールの細胞内への侵入を容易にし、メトロニダゾールの殺虫作用を高めると考えられます。
また、イベルメクチンがニキビダニの細胞代謝を阻害することで、メトロニダゾールの殺虫作用を長持ちさせると考えられます。
さらなる研究で安全性と有効性を確認
コロンビア国立大学の研究グループは、ニキビダニ眼瞼炎と診断された60人の患者を対象に、ランダム化臨床試験を行いました。
患者は、イベルメクチン(0.1%)/ メトロニダゾール(1%)の局所ジェル配合薬を初日、15日目、30日目に投与する群と、賦形薬を投与する群に分けられました。
その結果、治療群の患者では、15日目から30日目までにニキビダニの数が減少し、96.6%の患者でニキビダニが完全に根絶されました。また、治療群の患者では、症状の統計的に有意な改善と発赤の減少が確認されました。一方、対照群では、ニキビダニの数に変化はありませんでした。
これらの結果から、イベルメクチンとメトロニダゾールの局所ジェル薬は、ニキビダニ眼瞼炎の治療において、全身用抗寄生虫薬や抗菌薬よりも優れた効果と安全性を持つことが示されました。
【まとめ】
ニキビダニ眼瞼炎は、局所ジェル治療の可能性を秘めている疾患です。今後の研究で、安全性と有効性が確立されれば、新たな治療法として広く普及する可能性があります。
【以下のリンクより引用】
Ivermectin-metronidazole therapy successful in treating blepharitis
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