イミプラミンによる長期治療がラットの尾状核被殻におけるD2ドパミン受容体の生合成と機能特性に及ぼす影響
論文「イミプラミンによる長期治療がラットの尾状核被殻におけるD2ドパミン受容体の生合成と機能特性に及ぼす影響」は、抗うつ薬であるイミプラミンの長期投与がラットの尾状核被殻におけるD2ドパミン受容体の生合成と機能特性に及ぼす影響について検討しています。
この研究では、イミプラミンの単回投与(10 mg/kg, p.o.)または反復投与(14日間、1日2回)が、ラットの尾状核被殻におけるD2ドパミン受容体のmRNAレベルに及ぼす影響が調査されました。その結果、イミプラミンの反復投与は、D2ドパミン受容体のmRNAコーディングのレベルを増加させました。
また、D2受容体アゴニスト[3H]-N-0437によるラジオリガンド結合研究では、イミプラミン投与後にアゴニストのD2ドパミン受容体への親和性が有意に増加することが示されました。さらに、イミプラミンの投与後には、シクリックAMP生成システムへの薬理学的な介入により、シクリックGMP形成を抑制する要因がアップレギュレーションされることが明らかになりました。
結論として、イミプラミンの長期投与は、D2ドパミン受容体のmRNAおよび機能に影響を与え、その影響が受容体の生合成の増加によるものである可能性が示唆されています。この研究は、抗うつ薬の治療効果が長期の治療を必要とすることと関連して、遺伝子発現の変化がそのメカニズムに関与している可能性を示唆しています。
出典:https://bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1038/sj.bjp.0701681