インフルエンザの予防接種はいつが最適な時期か
アメリカ予防医学会誌に4月に掲載される予定のピッツバーグ大学医学部の分析によると、冬の終わりにインフルエンザの季節がピークに達すると、もし高齢者ががインフルエンザ予防接種を10月までに受けていれば、何万人ものインフルエンザの症例と何百人ものインフルエンザ関連死が避けられる可能性があります。
インフルエンザワクチンによる予防効果は、季節が進むにつれて弱まることが、以前の研究え示されていますが、ここにはインフルエンザの季節の始まりに近づくまで予防接種を待つことで免疫力が増すことが示されています。
しかし、現在オンラインで公開された新しい調査では、インフルエンザの流行期が早まったり、20人に1人以上が予防接種が遅れた、もしくは予防接種を省いてしまい利益を享受できないと報告されています。
「公衆衛生の分野では、8月にインフルエンザの予防接種の利用が可能になったらすぐにワクチンを接種するのが良いのか、それとも晩秋になるまで待つのがよいのかについての論争があります。」と主任研究者でピッツバーグ大学医学部の一般内科医であるケネス・J・スミス博士は述べています。
「我々が発見したのは、それがバランスの取れた行為であるということです。しかし、臨床医が患者が秋に予防接種を再度受けるべきだと信じているのであれば、我々の分析は、彼らがその患者には待つように忠告するのが最善であることを示しています。」
スミス博士と彼の共著者は、コンピューターモデルを実行して、10月に始まる「圧縮ワクチン」接種期間と、通常は8月に接種が始まる65歳以上の現状について比較しています。
彼らは高齢者に焦点を当てました。なぜなら、ワクチンの有効性を失うことが、免疫システムが一般的に若年者ほど感染に対する防御が強くない高齢者にとってより脅威だからです。
そのため、高齢者は若い成人よりも早期予防接種率が高いのです。
この研究では2013〜2014年および2014〜2015年のインフルエンザシーズンのデータを使用して、インフルエンザの季節が12月、2月または4月にピークに達した場合の、早期、通常、または晩期の予防接種シナリオの現状、入院数および死亡数を予測しています。
「ピーク」とは、その季節に最も多くの人が病気になっている期間のことです。
通常および晩期のインフルエンザシーズンの予測では、現状の予防接種の時期と比較して、圧縮ワクチンの接種は258人もの命を救い、最大22,062件のインフルエンザ症例を予防しました。
しかし、4シーズンに1回の割合でインフルエンザシーズンが早くピークに達すると、予防接種を受けていなかったために数十から数百人の高齢者が死亡すると予測されていました。
さらにチームは、予防接種を延期する高齢者の5.5%以上が最終的にインフルエンザの予防接種を受けられず、その場合は、圧縮予防接種は失敗となり、現状の予防接種よりもインフルエンザ症例の予防率は少ないということを見出しました。
スミス博士によると、これらの所見は、毎年複数の予約があり、秋に診察を受ける場合、または予定された診療所を通じてインフルエンザ予防接種が行われる高齢者である場合、臨床医が患者にインフルエンザ予防接種をいつ提供するかを決定するのに役立ちます。
それなら、待つのが賢明です。しかし、患者が年1回の診察のみを受けて、秋にインフルエンザワクチンを接種することはほとんどない場合、または予防接種がベストとされる8月に限られた期限内で予防接種を提供する場合は、診療所に圧倒的な負担をかけることになります。
「すべての状況において、単純に予防接種を受けることがインフルエンザを予防するための最善の方法です。」とスミス博士は言います。
「インフルエンザ予防接種を早めに行うか、まったく行わないのどちらかの選択である場合は、早めに行うほうが確実に良い選択であると思います。」
【以下のウェブサイトより引用】