オキシトシンはアルコール依存症の治療に役立つ
オープンアクセスジャーナル『PLOS Biology』に4月16日に発表された、国立衛生研究所のツーリング博士、コーブ博士、
そして、ヴァンドロスコロ博士、そして、スクリップス研究所のカーソン博士とロベルト博士が率いる研究によれば、
神経ペプチド オキシトシンはアルコール依存性のラットの飲酒を阻止します。
オキシトシン系を標的とすることは、アルコール依存障害の治療のための、新規の医薬的介入を提供するかもしれないと著者らは指摘しています。
オキシトシンを投与することは、いくつかの乱用薬物に関連した、薬物の消費や離脱症状、および、渇望行動を減少させることができ、
薬物中毒を治療するための薬理学的方法として見込まれています。
しかしまず最初に、研究者はオキシトシンが動物モデルにおいて、これらの効果をどのように媒介するかを理解する必要があります。
この問題に取り組むために、ツーリング博士らは、オキシトシンの投与はアルコール依存症で起こる不適応な脳の変化を正常化し、
それによって確立されたアルコール依存症のラットモデルでの飲酒を減らすことができるという仮説をたて、検証を行いました。
著者らは、依存症によって引き起こされるアルコールの消費に対するオキシトシンの効果と、
アルコール依存症によって影響を受けるネットワークの重要な脳領域である扁桃体の中心核(CeA)にある抑制性神経伝達物質、
GABAのシグナル伝達の変化を調べました。
実験では、全身、鼻腔内、または脳内に投与されたオキシトシンをがアルコール依存症では過剰な飲酒を止めたものの、
正常なラットでは阻止しなかったことを証明しました。
さらに、オキシトシンはCeA中のGABAシグナル伝達を遮断しました。
これらの結果は、オキシトシンがCeA GABA伝達を変化させることによって飲酒の渇望を阻害する可能性が高いという証拠を示しています。
これらの結果を総合すると、オキシトシン系の異常がアルコール依存症の根底にあり、おそらく鼻腔内投与によりこの系統を標的とすることが、
アルコールを乱用する人々にも有望な治療法であることが証明できる証拠となります。
【以下のウェブサイトより引用】