オラパリブは卵巣癌の維持療法薬として日本で承認
日本の独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、一次化学療法を受けた後、BRCA変異卵巣癌患者の維持療法薬として
オラパリブを承認しました。
この承認は、無作為化二重盲検第III相SOLO-1試験からの結果に基づいており、この試験では、プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法後の、
患者集団において、オラパリブによる維持療法がプラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したという結果が示されました。
オラパリブは日本での使用が承認されている唯一のPARP阻害剤です。
メルク社とオラパリブとを共同開発しているアストラゼネカ社の腫瘍担当である、デイブ・フレドリクソン氏はプレスリリースで次のように述べています。
「この日本での承認は、卵巣癌でBRCAの突然変異を持つ女性にとって重要な進歩です。」
「現場療法での目標は、長期的な寛解または治癒ですが、現在、患者の70%が最初の治療から3年以内に再発しています。
SOLO-1試験で観察されたリンパルザ(オラパリブ)の無増悪生存期間で見られたメリットは、患者の転帰を改善するという、
私たちが嘱望していたことでの大きな前進です。」
日本の承認は、欧州委員会で2019年6月に決定された、進行性BRCA1
/ 2変異生殖細胞系および、または体細胞性悪性度の高い上皮性卵巣癌、
卵管癌、あるいは原発性腹膜癌で第一選択として、プラチナベースの化学療法の後に寛解または部分的反応(PR)が見られている原発性腹膜癌の
成人患者への維持療法に対する単剤オラパリブの承認を受けたものです。
第III相SOLO-1試験では、BRCA1
/ 2変異を有する進行性卵巣癌と新たに診断された患者、新たに診断された、FIGO病期III /
IV、
高悪性度漿液性または類内膜性卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌で、生殖細胞系または体細胞性BRCA変異を有する患者において、
プラチナベースの化学療法後の維持療法薬としてオラパリブが評価されました。
患者は細胞減少手術も受けていなければならず、臨床完全寛解またはプラチナベースの化学療法後の部分的反応があることが条件でした。
治療は疾患が進行するまで続けられ、2年後に疾患の徴候が見られない患者では中止されました。
しかしながら、2年後に部分的反応(PR)が見られる場合には治療は継続されました。
主要評価項目はPFSで、試験の副次的評価項目はPFS2 (2次治療までの無増悪生存期間)で、これは、無作為化から2回目の進行事象までの期間として定義され、全生存期間および生活の質が評価されます。
追跡期間の中央値である41ヵ月の時点で、オラパリブ維持療法は、プラセボと比較して疾患の進行または死亡のリスクが70%減少しました。
治験責任医師によって評価されたオラパリブ群のPFSは、プラセボ群の13.8ヶ月と比較して達成されませんでした。
さらに、オラパリブ維持療法を受けた患者は、プラセボ群の41.9ヶ月と比較して、PFS2の中央値が到達せず、
PFS2における統計的に有意な改善が見られました。
全生存期間データはまだ完成しておらず、臨床的に関連性のある生活の質(QoL)の変化はありませんでした。
また、オラパリブ群での離脱率は12%でした。
安全性に関しての結果として観察された有害事象は低悪性度であり、オラパリブ群で最も一般的な悪性度3以上の有害事象は貧血(22%)
および好中球減少症(8%)でした。
健康関連での生活の質のスコアを含む、ベースライン特性は、2つの群の間でバランスがとれていました。
その他の研究では、オラパリブを他の状況や併用療法で評価しています。
例えば、現在進行中の第III相PAOLA-1試験は、BRCAの有無にかかわらず、IIIB-IV期の高級漿液性または類内膜、卵管、
または腹膜卵巣がんに対する第一選択の維持療法としてオラパリブとベバシズマブ(アバスチン)の併用療法をテスト中です。
【以下のウェブサイトより引用】