オーストラリアはHIV感染率が安定する一方で他の性感染症は上昇
オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学のカービィ研究所によってリリースされた2016年のオーストラリアでの性感染症および血液媒介性ウイルスの年次監視報告書によると、1999年以来、新しいHIVの報告は過去4年間に渡り安定しています。
オーストラリアでは、HIVについての主要なサービスの提供が拡大し、過去5年間にHIV検査の頻度が27%増加、過去10年間にHIVと診断された患者の治療率が45%増加しました。
HIVに感染し抗レトロウイルス治療を受けている人々の90%以上が検出限界以下のウイルスレベルを有するようになりました。
これは、彼らへの治療がうまくいき、他人にHIVが感染する可能性が極めて低いことを意味します。
「これらの結果は非常に喜ばしいことですが、世界中の保健当局が合意した2020年の排出削減目標を達成するためには、予防プログラムを強化し、家庭用検査キットやOrEP(感染前予防)のような予防的薬物両方などの新技術へのアクセスを増やし続ける必要があります。」と、カービィ研究所のレベッカ ガイ准教授は述べています。
非先住民族のHIVパターンとは対照的に、アボリジニとトーレス海峡諸島の男性の割合は過去5年間で倍増しています。アボリジニとトーレス海峡諸島で人口に対するHIV症例の割合が高いのは異性愛者と薬物を注射する人々の間で、非先住民集団よりも高くなりました。
「これらの増加は、有害物質削減というイニシアチブを含み清潔な針や注射器の使用の拡大、薬を服用する人々への薬物依存症治療、地域社会の為の標的キャンペーンやこの脆弱な集団における治療とPrEPの効果といった、HIV予防への強化に焦点を当てることの重要性を強調しています。」
と南オーストラリア州保健医療研究所のジェイムズワード准教授は述べました。
この報告書はまた、オーストラリアにおける性感染症の最新情報を提供しています。
2015年末には、15-29歳のクラミジアの新たな症例が26万人と推定され、昨年のオーストラリアの若者20人に約1人がクラミジアを罹患していました。若者の新たな感染症の大半(72%)は未診断であり治療されていません。
実際には15歳から19歳の間でクラミジアの通知率が急激に低下していますが、診断されていないクラミジアの割合が高いことから、性的に活発な青少年やそのパートナーに定期的にテストを行う必要性が浮き彫りになっています。
2015年には18,588件の淋病の報告がありました。
主にオーストラリアの遠隔地域の男性や若いアボリジニとトーレス海峡島民と性交渉のある男性でした。
過去10年間、淋病の診断率は検査の増加に伴いほぼ倍増しています。
HIV陽性率の上昇は、男性との性交渉をしている男性のコンドームなしでの性交渉の増加と関連しており、有効性の高いHIV予防戦略の可能性と意識の向上につながっています。
「これらの知見は、性感染症予防、特に定期的な検査と治療を続けることを心がけています。」とガイ准教授は述べています。
全体として、アボリジニやトーレス海峡諸島の人々は、2015年にクラミジア、淋病、感染性梅毒の感染率が非先住民の人口よりも大きく(それぞれ3倍、10倍、6倍)、遠隔地での病気の疾患率が引き続き不均衡です。
対照的に、過去9年間で、学生にワクチンプログラムを導入したことにより、21歳未満の若いアボリジニおよびトーレス海峡島嶼の女性の生殖器疣贅が91%減少しました。
生殖器疣贅は、以前はヒトパピローマウイルスによって引き起こされた非常に一般的な性感染症でしたが、子宮頸がんを予防するために学生へ使用されているのと同じ予防接種によって防止することができます。
(記事元)http://medicalxpress.com/news/2016-11-australian-hiv-stable-stis.html