クリスマスシフトで働く2人の若い医師が人を癒すことの意味を知る
12月は、家族の集まりや休日が多く楽しい時期ですが、医療従事者にとっては、まったく逆です。
研修医に休暇はありません。
研修医というのは本当に骨が折れストレスの多い仕事です。
研修医は、24時間連続で、場合によっては申し送りも必要となり28時間の長いシフトで働いています。
多くの研修生、特に医学部を卒業したばかりの研修医にとって、これが休暇のない最初のホリデーシーズンになります。
私のような研修医プログラムディレクターの間では、1年目の研修医は、日が暮れるにつれっ気分は落ち込み、寒い暗闇の中、 病院に出向かねばなりません。
ホリデー期間中は研修医にとっては彼らの研修期間の中間点に近づきます。それは彼らが選んだ道に全力投球していると感じるのに十分な長さですが、ゴール地点が見えるほど十分な長さではありません。そして色々な疑問が沸き起こります。
感情的に低調になることに加え、この時期には多くの患者が亡くなります。そして、心が傷つきやすいということも理解されています。
多くの人は、この時点で自分の選択した職業は正しいのかどうか考えます。そして、極端な場合、彼らは研修医として生き残れるのかどうかに ついても疑問を抱きます。
私の場合はこの初めての12月に、最初からやり直さなければならないのではないかと嘆きました。
幸い、ある指導医の助言に助けられ、私は立ち直りました。
「クリスマスに働くことは特権です。」
と彼は言いました。
「私たちの患者は私たちを頼りにしています。あなたは病院にいるのがイヤかもしれませんが、彼らがここで何を経験しているのかについて考えてみてください。」
彼は特別なクラブに来た私を歓迎しているかのように微笑みました。しかし私には心からそれに参加する準備ができていませんでした。
「単にあなたがいることで、患者さんたちの喪失感は減るのですよ。」
私は集中治療室も巡回していました。そこでは季節を問わず、患者の状態が厳しいものになる可能性はいつでもあるのです。
私がウィル君と呼んでいた30代の患者は、路上で意識を失い救急隊員に連れてこられました。
彼は昏睡状態でした。私たちには原因がわかりませんでしたが、彼の病気による昏睡状態から回復させるあらゆる機会を与えるべく治療に取り掛かりました。
私は他の2人の研修医とローテーションをしていました。
私たちは交互に病院で夜を過ごしました最初の夜、同僚のポール(彼自身は患者の治療に精進し2018年末に亡くなりました)は、ウィル君のベッド脇で夜を過ごし、尿袋に大量に放出された水分を彼の体へ補う方法を見つけようとしました。
ウィル君には脳損傷がありました。そしてその影響のひとつが尿崩症でした。
これは、腎臓が体の水分を保持できない状態でした。
その結果、急速な脱水を起こし死に至る可能性があります。
ポールの治療は彼の命を救いました。ポールは静注液を数袋、彼の体内へ入れて水分を補給し、デスモプレシンと呼ばれる薬物を投与して水分バランスを回復させました。
ウィル君は脳損傷から回復しないということがすぐに明らかになりました。
彼の脳は、ウィル君が診断を受ける前に酸素がない状態が長すぎたのです。
私に申し送りコールが来た時の指示は簡単でした。
「彼の親族が来て彼にさよならを言うことができるまで、ウィル君を生かしてください。」
ウィル君の母親の願いでした。私たちはそれを叶えることができたことを名誉にさえ感じました。
私たちはウィル君の中に自分自身を見ました。そして彼の母親の願いもまた自分たち自身の願いでいた。
2日後、全員が彼に別れを告げてから、私たちはウィル君を生かし続けていた人工呼吸器をひ取り外し彼はその後まもなく亡くなりました。
数年後、病院で過ごした最初のホリデーシーズンを振り返り、私は指導医の知恵が非常に重要であることに気付きました。
その年の12月、ポールと私はプロになるための長いプロセスを歩み始めました。
【以下のリンクより引用】
Working The Christmas Shift, 2 Young Doctors Learn What It Means To Be A Healer
WGBH NEWS