コロナウイルス:ヨーロッパで「第2波」が起こっている証拠とは?
英国のボリス・ジョンソン首相は、ヨーロッパでコロナウイルス感染の「第2波」の兆候が見られているとの警告を発しましたが、どのような証拠があるのでしょうか?
第2波の発生は悪夢のようなものであり、致命的な感染症が再び急増するようなイメージが呼び起こされます。
第二次世界大戦後に発生したスペイン風邪では、第2はは第1波よりも致命的であることが証明されました。
しかし実際、多くの専門家がこのフレーズの使用を避けようとしています。
世界保健機関のマーガレット・ハリスは、私たちが目にしているのは「ひとつの大きな波」であり、これが世界中に拡大しているのだということを明確にしました。
韓国やシンガポールなどの一部の国は、初期から包括的な検査と接触追跡システムを使用し、ウイルスの拡散を抑制してきたことにより、感染の急増を平坦化する点において他国よりも優れています。
しかし、英国やフランス、スペイン、イタリアを例とするその他の国々は、ロックダウンの実施により、感染の急増を途中でなんとか抑えることができました。
これは、これらの国々はウイルスを抑制するための高度な感染症システムを持ち合わせていなかったことが原因です。
しかし今では数々の投資を行ったおかげでこうした国々の状況ははるかに改善し、検査や接触追跡によってウイルス感染の波の抑制が続く中、ロックダウンを解除することができるようになりました。
しかし、特にスペインでは、症例数が元に戻ってきている兆候があります。
ですが、これは第2波や第1波の発生というよりは、既存の感染の波が防御壁を突破したと考える方が良いでしょう。
ノリッジ医科大学のCovid専門家であるポール・ハンター教授は、第2波と呼ばれるためにはウイルスが一旦完全に無くなる必要があるため、今回の感染の波は、自分ならば「再発」と呼ぶだろうと述べています。
そして、これが西ヨーロッパのような人口の多い地域で起こることは、驚くべきことではないでしょう。
ウイルスの封じ込めは、症例を検出する高性能なシステムの他、民衆によるソーシャル・ディスタンスの実施や、検査および接触追跡システムへの参加にかかっています。
特に症状のない人でさえも蔓延させ得る今回のようなウイルスの場合、何かしらの弱点があれば国の症例が増えやすくなるのは明らかです。
しかし、症例数は増加しているかもしれませんが、パンデミックのピーク時に見られたレベルとは程遠いことも注目に値します。
これは当時、幅広く利用可能な検査が存在しなかったためです。
英国だけでも、ピーク時には1日あたり10万件の症例が発生していたと推定されています。
これは、当時実施されていた検査数の20倍以上です。
検査へのアクセスが良好であるほど、発症する感染症も軽度である傾向にあります。
病院の患者のみを対象に検査する場合(英国の大部分では4月末までこのような状況であった)は、多くの症例が見逃されることになります。
また、感染レベルは国によって大きく異なることも明らかです。
ウイルスが実質的に存在しない地域もあれば、膨大な量のウイルスが潜んでいる地域もあります。
英国では、レスターと、それよりも規模は小さいものの、ダーウェンとオールダムとのブラックバーンで感染の急増がありました。
スペインのデータを見ても、同様の傾向が見られます。
ドイツも影響を受けていない訳ではなく、ここ数週間で地域のロックダウン実施が発表されています。
このようなことが起きているのには、たくさんの理由があります。
まず、若者が特定の地域で感染を拡大している兆候があります。
確かに、若者は疾患が重症しづらいことで、ソーシャル・ディスタンスの必要性についてあまり深刻に考えない可能性があります。
しかし、ウイルスはこのような若者集団の間で長らく蔓延してきたものの、検査対象が拡大したことで検出される症例数が増えているだけである可能性もあります。
貧困との関連もあるようです。
人々が密集して住むエリアでは、感染率が高まります。
感染急増の理由が何であれ、このような状況が当面の間続くことは確かです。
ノッティンガム大学の感染症専門家であるキース・ニール教授は、今回のような感染急増は生活の一部になるものの、第2波が起こっているというこは「ありえない」と述べました。
同氏は、ヨーロッパの国々はソーシャル・ディスタンスやマスク着用などの予防策を取ることで、ウイルスと共に「生きる方法を学んでいる」最中だと語りました。
彼は、人々が警戒を怠らず、改善された治療法が開発され、より大規模な検査が行われることで、ピーク時に見られたような死者数の増加は再び起こらないだろうと考えています。
どうやら、今見られているのは第2波ではなく、第1波の波紋である可能性が高いようです。
出典 2020年7月29日更新 BBC health『Coronavirus: What's the evidence Europe is having a 'second wave'?』 (2020年7月30日に利用)
https://www.bbc.com/news/health-53579731
第2波の発生は悪夢のようなものであり、致命的な感染症が再び急増するようなイメージが呼び起こされます。
第二次世界大戦後に発生したスペイン風邪では、第2はは第1波よりも致命的であることが証明されました。
しかし実際、多くの専門家がこのフレーズの使用を避けようとしています。
世界保健機関のマーガレット・ハリスは、私たちが目にしているのは「ひとつの大きな波」であり、これが世界中に拡大しているのだということを明確にしました。
韓国やシンガポールなどの一部の国は、初期から包括的な検査と接触追跡システムを使用し、ウイルスの拡散を抑制してきたことにより、感染の急増を平坦化する点において他国よりも優れています。
しかし、英国やフランス、スペイン、イタリアを例とするその他の国々は、ロックダウンの実施により、感染の急増を途中でなんとか抑えることができました。
これは、これらの国々はウイルスを抑制するための高度な感染症システムを持ち合わせていなかったことが原因です。
しかし今では数々の投資を行ったおかげでこうした国々の状況ははるかに改善し、検査や接触追跡によってウイルス感染の波の抑制が続く中、ロックダウンを解除することができるようになりました。
しかし、特にスペインでは、症例数が元に戻ってきている兆候があります。
ですが、これは第2波や第1波の発生というよりは、既存の感染の波が防御壁を突破したと考える方が良いでしょう。
ノリッジ医科大学のCovid専門家であるポール・ハンター教授は、第2波と呼ばれるためにはウイルスが一旦完全に無くなる必要があるため、今回の感染の波は、自分ならば「再発」と呼ぶだろうと述べています。
そして、これが西ヨーロッパのような人口の多い地域で起こることは、驚くべきことではないでしょう。
ウイルスの封じ込めは、症例を検出する高性能なシステムの他、民衆によるソーシャル・ディスタンスの実施や、検査および接触追跡システムへの参加にかかっています。
特に症状のない人でさえも蔓延させ得る今回のようなウイルスの場合、何かしらの弱点があれば国の症例が増えやすくなるのは明らかです。
しかし、症例数は増加しているかもしれませんが、パンデミックのピーク時に見られたレベルとは程遠いことも注目に値します。
また、グラフに見られる全ての国のピーク(広範囲の検査が迅速に実施されたドイツを除く)は、実際の感染規模が大幅に過小評価されていることにも注意してください。
これは当時、幅広く利用可能な検査が存在しなかったためです。
英国だけでも、ピーク時には1日あたり10万件の症例が発生していたと推定されています。
これは、当時実施されていた検査数の20倍以上です。
検査へのアクセスが良好であるほど、発症する感染症も軽度である傾向にあります。
病院の患者のみを対象に検査する場合(英国の大部分では4月末までこのような状況であった)は、多くの症例が見逃されることになります。
また、感染レベルは国によって大きく異なることも明らかです。
ウイルスが実質的に存在しない地域もあれば、膨大な量のウイルスが潜んでいる地域もあります。
英国では、レスターと、それよりも規模は小さいものの、ダーウェンとオールダムとのブラックバーンで感染の急増がありました。
スペインのデータを見ても、同様の傾向が見られます。
ドイツも影響を受けていない訳ではなく、ここ数週間で地域のロックダウン実施が発表されています。
このようなことが起きているのには、たくさんの理由があります。
まず、若者が特定の地域で感染を拡大している兆候があります。
確かに、若者は疾患が重症しづらいことで、ソーシャル・ディスタンスの必要性についてあまり深刻に考えない可能性があります。
しかし、ウイルスはこのような若者集団の間で長らく蔓延してきたものの、検査対象が拡大したことで検出される症例数が増えているだけである可能性もあります。
貧困との関連もあるようです。
人々が密集して住むエリアでは、感染率が高まります。
感染急増の理由が何であれ、このような状況が当面の間続くことは確かです。
ノッティンガム大学の感染症専門家であるキース・ニール教授は、今回のような感染急増は生活の一部になるものの、第2波が起こっているというこは「ありえない」と述べました。
同氏は、ヨーロッパの国々はソーシャル・ディスタンスやマスク着用などの予防策を取ることで、ウイルスと共に「生きる方法を学んでいる」最中だと語りました。
彼は、人々が警戒を怠らず、改善された治療法が開発され、より大規模な検査が行われることで、ピーク時に見られたような死者数の増加は再び起こらないだろうと考えています。
どうやら、今見られているのは第2波ではなく、第1波の波紋である可能性が高いようです。
出典 2020年7月29日更新 BBC health『Coronavirus: What's the evidence Europe is having a 'second wave'?』 (2020年7月30日に利用)
https://www.bbc.com/news/health-53579731