シクロスポリンはループス腎炎のタンパク尿をより迅速に寛解
欧州リウマチ年次総会(EULAR 2019)で本日発表された研究結果によると、ループス腎炎患者におけるシクロスポリン(CYA)による維持療法により、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)またはアザチオプリン(AZA)と比較してタンパク尿がより迅速に寛解することが示されています。
ループス腎炎(LN)の寛解や維持におけるCYA、MMF、AZAの有効性は、長期に渡り同様に維持されています。
「我々の研究は、長期的に維持療法としてこれら3つの薬物を比較した最初のものです。」と、イタリアのミラノにあるループスクリニックのリウマチ科のコンサルタントであるロレンザ・マリア・アルゴリーニ氏は述べました。
「興味深いのは、CYAグループで達成された結果です。そこでは維持療法の開始時の臨床状態が悪いにもかかわらず、大多数の患者で寛解を急速に達成したことが観察されました。」
この研究では、10年間にわたってループス腎炎の患者104人に追跡調査が行われ、6ヵ月の治療法の導入後、CYA、MMFまたはAZAのいずれかによる維持療法を受けました。各薬剤を投与された患者数はそれぞれ、32人、36人、36人でした。
維持療法の開始時の部分反応率および無反応率はCYAで28.2%、59.3%、12.5%、MMFで50%、44.5%、5.5%、AZAで38.8%、55.2%、6%でした。
治療開始1年後では、6か月の維持療法後、CYAでは完全寛解状態の患者の割合が、72%に増加しました(MMFでは64%、AZAでは44.2%でした)。
5年後には81.5%(AZA 86%、MMF 81%)、10年では84.5%(MMF 72%、AZA70%)でした。
「ループス腎炎は寛解を達成するために早期の積極的治療を必要とする重篤な疾患であるが、反応を達成した後の免疫抑制の種類と持続期間については議論の余地があります。」
とEULAR 2019のアブストラクトセレクション委員会の議長であるジョン・D・アイザックス博士は述べています。
「この複雑な分野の理解を深めるのに役立つこれらの長期データは素晴らしいものです。」
ループス腎炎は、腎臓の炎症または腫れであり腎臓が正常に機能しなくなる疾患です。
また全身性エリテマトーデス(SLE)の深刻な合併症でありさまざまな臓器や身体の一部に影響を及ぼす自己免疫疾患です。
治療はしばしば、誘導療法としての集中的な免疫抑制療法を行う期間と、それに続くより集中的でない維持療法の期間で構成されます。
この多施設後向き観察研究には、診断時または発症時に研究参加したSLEを伴うか生検により証明されたループス腎炎の患者が含まれていました。
導入時に、腎生検での組織学的クラス、平均血清クレアチニン、eGFRおよびタンパク尿の3つのグループと導入療法のタイプで有意差はありませんでした。
【以下のウェブサイトより引用】
Cyclosporine benefits patients through more rapid remission of proteinuria in lupus nephritis
Medical Xpress