シンバスタチンはコレステロールの調整とは異なる方法でSPMSを治療する

コレステロール値を下げる働きをする広く処方されているスタチンであるシンバスタチンは、血中コレステロールの変化とは無関係の理由で、

二次進行型多発性硬化症（SPMS）の人々の脳萎縮および疾患の進行を遅らせる可能性があります。

これらの所見は、「進行性多発性硬化症におけるシンバスタチンの作用機序を調査するための因果モデルの適用」のタイトルで、PNAS誌に掲載されています。

SPMS患者においてシンバスタチンによる治療が障害の進行を遅らせる可能性があることに焦点を当てた新しい第3相試験（NCT03387670）が、

英国内全域とダブリンの施設で進行中であり、試験に適格な1,180人の成人が登録を始めています。

スタチンは血中のLDLコレステロール（「悪玉」コレステロール）の量を減らすために使用され、通常、心臓病の危険がある場合に処方されています。

これらの薬には、シンバスタチン（Merck社のZocorなど）が含まれています。これは、潜在的なSPMSの治療薬として試験が行われる経口薬です。

血中を循環する脂肪分子のレベルを下げることに加えて、スタチンには、多発性硬化症(MS)の治療においての潜在能力として抗炎症性および神経保護性があります。

2011年に終了したMS STATと呼ばれる無作為化プラセボ対照第2相試験（NCT00647348）では、SPMSの成人140人を高用量のシンバスタチン（80mgを1日1回）

またはプラセボのいずれかに割り当て2年間研究が行われました。

2014年に発表された試験結果の分析では、MRIスキャンを使用して測定した治療により、脳萎縮（MSにおける神経損傷の一般的な結果である脳の萎縮）が

プラセボと比較して43％減少したことがわかっています。

しかし、この試験を導いたユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者らは、研究で示されたメリットが血中コレステロール値に対する

シンバスタチンの効果に関連しているのかどうか、またはスタチンに関連する他の作用機序が関与しているのかどうか確信が持てませんでした。

彼らは、数値モデルを使用して、シンバスタチンによる治療がSPMSにおいて肯定的な臨床転帰につながる可能性がある理由を探りました。

彼らの研究は2つの数値モデルの作成に焦点を当てていました。

1つはSPMSにおけるシンバスタチンの血中コレステロール値を下げる能力と関連しているというプラスの効果に基づいており、『コレステロール媒介モデル』と呼ばれるものです。

そしてもう1つは、『コレステロール非依存性モデル』というこの2つは無関係であるという考えに基づいています。

研究者らは、どちらのモデルがMS-STAT試験で見られた知見を説明する可能性が最も高いかを評価するために作られた統計分析を使用し、

両方のモデルをテストし比較した。結果は、SPMSに対するシンバスタチンの好ましい効果は、コレステロールに対するその効果とはほとんど無関係であることを示しました。

つまり、コレステロール非依存モデルが最も可能性の高い選択肢であることを意味します。

より具体的には、この分析は、治療を受けた患者において観察された身体障害の進行の減少が、脳萎縮の減少に対する間接治療効果（３１％）と

障害に対する直接治療効果（６９％）との組み合わせによって最もよく説明されることを示しました。

これらの影響はすべて血中コレステロール値の変化とは無関係でした。

「私の研究によると、スタチンは、人々がコレステロールを下げるのとは異なる理由で、MS患者に役立つことがわかりました。

例えば、スタチンはコレステロールよりも前の経路で産生されますが、免疫系には間接的な影響を与える他の要素を調節することができます。」

研究の主執筆者であるアルマン・エシャギ博士は言います。

「これは、MSのような難病のためのより良い薬物標的を見つけるための道を開きます。」と博士は付け加えました。

MS STAT2と呼ばれる、現在進行中の無作為化プラセボ対照第3相臨床試験では、25歳から65歳でEDSSスコアが

4.0ポイントから6.5ポイントの1,180人の成人について、3年間の調査でシンバスタチンの疾患進行停止効果を評価します。

この主な目標、エンドポイントは試験開始時のスコアと比較して、6ヶ月ごとのEDSSスコアの変化を通じて測定されます。

「シンバスタチンは、私たちの生涯で二次進行型MSの最も有望な治療に見込みがある薬剤の1つです。」

「まだ研究は初期段階ですが、シンバスタチンは人生を変えることができると信じています。」

【以下のウェブサイトより引用】